#8 「Beatles For Sale」 - 熱狂と休息のあいだ【The Beatles Album Review】
今回のレビューは、ビートルズの4枚目のオリジナルアルバム
「Beatles For Sale」です。
基本情報
オリジナルリリース 1964/12/4 (UK)
No Reply
I'm a Loser
Baby's in Black
Rock and Roll Music
I'll Follow the Sun
Mr. Moonlight
Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!
Eight Days a Week
Words of Love
Honey Don't
Every Little Thing
I Don't Want to Spoil the Party
What You're Doing
Everybody's Trying to Be My Baby
Total Time 33:43
前作「A Hard Day's Night」の発売から1ヶ月と間もない頃に制作が開始されたアルバム。
ビートルマニアの熱狂が最高潮に達していた頃で、
ツアーの合間を縫って忙しい時期にレコーディングされたようです。
前作は「完全オリジナル曲のみ」で完成させていましたが、
今作から再びカバー曲が復活しています。
多忙な中制作したという情報が先にあるせいか
ジャケット写真のメンバーも何だか疲れているように見えてきます。
レビュー
☆☆☆☆☆☆★★★★(6/10)
ビートルズのオリジナルアルバムの中では多分最も地味。
良く言えば「シブい」アルバムと言えると思います。
キャッチーな曲は少なめですが、
聞き続けていると「結構悪くないかも」と思えるような感じ。
ライブツアーのない時期にゆっくりしたいところを
それもせず曲作りしていたせいなのか、内容は重くて暗いのが多いです。
楽曲解説
以下、アルバム内で特に好きな曲について一言ずつ。
No Reply
居留守を使われた上にフラれてしまったという悲しい歌。
コード自体はメジャーキーなので、無理して
「まあいいんだけどさ」と納得しようとしている感が出てます。
I'm a Loser
2曲続けて「俺は負け犬だ」とフラれた男についての歌。
どちらもジョン作。ちょっと病み気味ですね。
Rock and Roll Music
ここまでの重い空気を吹き飛ばすようなチャック・ベリーのカバー曲。
歌詞そのものは「俺はノリノリなロックが好き!」というだけなのですが
これまでの流れの中で聴くと自暴自棄になっているようにも聞こえる……w
I'll Follow the Sun
ポール作のおとなしめな曲。ビートルズより前に書いたそうな。
ジョンが失恋して「俺もうダメだ」と言っている横で、
「いつか僕はいなくなるけど、太陽を追い続けるんだ」
とポジティブともネガティブとも取れることを言っています。
2人の視点の違いが面白い。
Mr. Moonlight
ミスタァァァァ! っていう歌い出しがもう、最高だよね。
オルガンの音も入って曲名の通り幻想的な音世界が広がります。
Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!
メドレー形式ですが、それぞれ違う人のカバー曲です。
この2曲をつなげたことで、
「別れたあの娘を連れ戻すためにカンサスまで来たぜ」
↓
「なぁ、ちょっとマジで……ねえ。あーそうかいもういいよ!! 俺帰るよ? 帰っちゃうよ?」
というコントのような流れができています。
これもフラれる歌なんだけど、ちょっと面白い。
Eight Days a Week
おそらく今作中のリードトラック。これはフラれてない。
「週8で愛してる」って面白い表現ですが、
ポールが運転手さんとの会話の中で
「俺ら週8で働いてるんすよ」と言ったのがきっかけだそうです。
まとめ
先にも書いていますが何周もするとだんだん味がしてくる
スルメのようなアルバムです。
3周くらいするとちょっと好きになるかもしれない。
それでも感想が変わらなければ、他のを聴きましょう。
それでは、かしまさでしたー。
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