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#4 「The Beatles」 - 何でもありの大ボリューム【The Beatles Album Review】

今回は実質10作目のオリジナルアルバム、
「The Beatles」通称「ホワイトアルバム」のレビューです。

基本情報

オリジナルリリース 1968/11/22 (UK)

  1. Back in the U.S.S.R.

  2. Dear Prudence

  3. Glass Onion

  4. Ob-La-Di, Ob-La-Da

  5. Wild Honey Pie

  6. The Continuing Story of Bungalow Bill

  7. While My Guitar Gently Weeps

  8. Happiness Is a Warm Gun

  9. Martha My Dear

  10. I'm So Tired

  11. Blackbird

  12. Piggies

  13. Rocky Raccoon

  14. Don't Pass Me By

  15. Why Don't We Do It in the Road?

  16. I Will

  17. Julia

  18. Birthday

  19. Yer Blues

  20. Mother Nature's Son

  21. Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey

  22. Sexy Sadie

  23. Helter Skelter

  24. Long, Long, Long

  25. Revolution 1

  26. Honey Pie

  27. Savoy Truffle

  28. Cry Baby Cry

  29. Revolution 9

  30. Good Night
    total time 93:33

ビートルズのオリジナルアルバムの中で唯一の2枚組アルバム。
90分以上あるのでCD時代に出ていても1枚には収まらなかったね。
全30曲、ほんとにいろんな曲が収められています。
よく言えば多種多様、悪く言えばバラバラ
そんな風に表現されることが多いようです。
この頃からビートルズもマルチトラックを駆使するようになり、
4人で一斉に演奏することがだんだん少なくなってきます。
また、アルバム製作前にデモテープを作ることを
本格的に行ったのもこのアルバムからと言われており、
ある程度形になっている状態の曲を作曲者の意向に沿って演奏する
とような流れでレコーディングが進められました。
そういう意味でメンバーソロ曲のコンピみたいな気がしないでもない。
しかしそんなアルバムのタイトルがよりにもよって
「The Beatles」っていうのがまた面白いですねw

このアルバムも2018年にリミックス版が出ています。
アルバム製作にあたり製作されたデモテープ
(通称「イーシャー・デモ」)もまるっと収録されたボーナスディスク付き。

レビュー

☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8/10)

名曲と呼ばれる曲は数多く入っている一方、
「なんじゃこりゃ」という曲や「どうしてここに」というような
曲も入っているので、トータルとしてはこんな感じかなぁ。

楽曲解説

以下、アルバム内で特に好きな曲について一言ずつ。

Back in the U.S.S.R.

レコーディング中のケンカでリンゴが脱退してしまい、
ポールがドラムを叩いている曲。
後に復帰したリンゴはその演奏を聴いて「巧いね」と言ったそうです。
いい人や。

Glass Onion

これまでに発表した曲のタイトルが散りばめられた曲。
歌詞を深読みしようとしている人を逆に困らせてやろうとしたらしい。
「Glass Onion」とは片眼鏡のこと。

Ob-La-Di, Ob-La-Da

このアルバムの中でも人気が高く、また知名度も高い曲。
楽しげな曲なのに、レコーディングは度重なるメンバーの衝突など
結構やばい雰囲気だったらしい。
というか後期ビートルズってなんか常に緊張感あるよね。

The Continuing Story of Bungalow Bill

史上初、というか唯一ビートルズメンバー以外で女性が
リードボーカルをとった曲。さあ誰のことでしょう。

While My Guitar Gently Weeps

「泣きのギター」が良い感じに弾けなかったジョージが
親友のエリック・クラプトンを呼んで弾いてもらった曲。
「これが『泣き』なのかぁ」って最初に聴いたときは思った。

Blackbird

アコギ弾き語りのシンプルな曲ですが、
いかにも鳥が飛び立ちそうなギターのリフが大好きな曲。
イギリス英語で「bird」には女性の意味があって、
黒人女性解放の意味が込められているとのこと。

Don't Pass Me By

初のリンゴ作による楽曲。
カントリー調の楽しげな曲ですが
未だに2番の歌詞がどんな意味なのかよく分からない……。

Julia

ジョンによるアコギ弾き語り曲。
ジュリアは10代の頃に亡くしたジョンのお母さんの名前だそうです。
歌詞の中にはOcean Child(洋子)の名前も出てきます。
この時点ではまだ2人は結婚していませんが、
(ジョンはこの年の7月に前妻シンシアと離婚。
ヨーコは69年の2月に離婚して、69年3月に結婚)
かなり心の支えになっていたらしいことが分かります。

Birthday

日本人の大多数が条件反射で「あれ」を連想する曲。
(20代以下はそうでもないのかな?)

Helter Skelter

雑誌に載っていたThe Whoの記事を見て
「The Whoよりやかましくて下品な曲を!」とポールが作った曲。
ヘヴィメタルの先祖なんて言われてたりする。
メンバー全員キマっている状態でレコーディングしたらしく
全ての音がもう、前のめり。
力一杯ドラムを叩き続けたリンゴが
「I got blisters on my fingers! (指にまめができた!)」
と最後に絶叫しています。
いつもニコニコのリンゴがそんなになってるの含めて、狂気

Long, Long, Long

とってもやかましいHelter Skelterの後のとっても静かな曲。
セットで捉えると「動と静」と言えなくもない。
2018年版を聴いてイメージがガラッと変わりました。
ドラムの緩急よ。
そして地鳴りのようなエンディング。これもやっぱり狂気

Revolution 1

シングル版の「Revolution」を先に聴いていると
びっくりするくらいイメージが違いますよね。
製作はこちらの方が先だったようです。
「破壊活動をやるんだったら俺は仲間に入れな...入れてくれ」
(when you talk about destruction / Don't you know that you can count me out, in)
みたいに立場も曖昧。これじゃ革命にならなそうだ。

Revolution 9

狂気の沙汰
「好きな曲」について一言ずつ書いてますが正直好きじゃない
こういうクリエイティビティ自体は大歓迎なのですが
なぜここに入れたんでしょう
こういう前衛音楽のアルバムとしてまとめてくれていたら
覚悟を持って聴き始められたんですが、
いきなり始まるので面食らっちゃうんですよね。

Good Night

泣きたくなるほどリンゴのボーカルが優しい曲。(前曲のせい)
ホワイトアルバムを全曲通して聴くたびに
「こわーいお化け屋敷をクリアしたら出口でリンゴが待っててくれた」
みたいな気持ちになります。ありがとうリンゴ。助かったよ。

まとめ

多種多様な曲が収められた本作ですが、
曲ごとに見ていくと「狂気」という裏テーマが見えてきてしまった。
後半にかけてだんだん怖い展開が増えてきますが、
そういう視点でもう一周すると、意外と前半にも怖い瞬間あるよね。

「英語の授業で聴いたから興味を持った」みたいな中学生が
まず手にするアルバムとしては多分いちばんおすすめできない。w
おとなしくベスト版を買ってください。

あ、オリジナルアルバム以外にベスト盤のレビューもしようかな。
かしまさの最初の1枚もベスト盤でしたからね。
それでは、かしまさでしたー。

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