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話題のChatGPT Proで5時間のセミナーコンテンツから書籍1冊分の原稿を1日で作成できるか試してみた

本記事は「知財系 もっと Advent Calendar 2024」に12/13に投稿したものとなります。ChatGPT Proが12/5(現地時間)にリリースされましたが、どれくらいの性能があるかを試してみるために、5時間のセミナーコンテンツから書籍1冊分の原稿を1日で作成できるか挑戦してみました。なお、筆者の過去の執筆経験からすると、5時間のセミナーコンテンツがあれば200ページ程度の書籍の原稿は作成可能であると考えています(ただし執筆には数ヶ月かかる)。


ChatGPT Proとは

ChatGPT Proとは何か、従来のChatGPTとはどう違うのかについてChatGPT Proに聞いてみました。

AIチャットツールであるChatGPTは、その自然言語処理能力と豊富な知識ベースで、瞬く間に多くのユーザーを獲得しました。しかし2022~2023年頃は「ChatGPT」と呼ばれる基本モデルがほとんどで、利用は無料でした。その後、OpenAIはさらなる機能強化や拡張を求める声に応える形で「ChatGPT Pro(プロ版)」とも呼ばれる高度な有料プランを展開し始めたのです。
ChatGPT Proは、ChatGPTの上位互換的なサービスを想定した有料サブスクリプションモデルです。無料版と比較して、以下のような特徴的なアップグレードが見込まれることが多いとされています。
優先アクセス・安定性の向上:大量のアクセスが集中する時間帯でも、Proユーザーはサーバー負荷の影響を受けにくく、スムーズかつ即時的な応答を得られます。無料版の場合、アクセス過多時には「ChatGPTに接続できない」「応答が遅い」といった問題が発生しがちでしたが、有料プランはその点を大幅に改善します。
高性能モデルへのアクセス:ChatGPTはモデル更新に伴い精度やコンテキスト保持力が向上してきましたが、Pro版は最新かつ高度な言語モデル(たとえば「GPT-4」など、より高精度な推論が可能なモデル)へ優先的・無制限にアクセスできることが多く、ビジネス用途やプロフェッショナルな作業にも適した回答品質を実現しています。
拡張機能やプラグインへの早期利用権限:Pro版ユーザーは、追加機能や外部サービスとの連携(プラグイン機能)をいち早く試すことができます。これは、単なるQ&Aツールにとどまらず、より幅広い作業――たとえば資料の自動要約、検索補助、クリエイティブな原稿作成サポートなど――を可能にする環境を整えるものです。
優れたカスタマーサポート:有料プランは、問題発生時のサポート優先度が高く、メールや専用チャネルを通じて迅速なトラブルシューティングが受けられることが多いです。ビジネスで利用する場合、サービスダウンタイムを最小限にすることは極めて重要であり、その点での安心感もPro版の付加価値といえるでしょう。
従来版ChatGPTとの比較:従来のChatGPTは、革新的な自然言語処理能力を無料で利用できる点が魅力でした。しかしその一方で、利用者が急増すると応答遅延やアクセス制限が発生し、ビジネスや研究など「いつでも確実な回答が必要」なユースケースには物足りない面もありました。さらに、モデルそのものが最新バージョンへのアップデートを経ても、無料版では利用可能なモデルが制限される場合や、より高度な創造性が求められるタスクで物足りない場合がありました。
それに対しChatGPT Proは、そうした「もう少し先の品質」や「安定性」「拡張性」を求める層に応えるプランとして位置づけられます。月額もしくは年額での有料契約を行うことで、常に高品質なモデル、十分な処理リソース、そしてより豊富な機能にアクセスできるのです。

https://chatgpt.com/c/675c0c28-e12c-800b-9d8a-ede199ff108b

ちなみに、毎月200ドル(約3万円)のサブスクモデルとなります。果たしてそれだけの価格に見合う価値があるのでしょうか?

セミナーコンテンツから原稿を作成するにあたっての下準備

今回、書籍の原稿を作成するにあたり、セミナーコンテンツとして発明推進協会で11/6,13の両日にわたって開催された「ITソフトウエア特許の明細書作成の基礎知識および裁判例から紐解く最先端の保護・活用戦略」を用いました。

◆◇◆◇プログラム◇◆◇◆◇◆◇

(前編・11月6日)
1.新しい事業のビジネスモデルを知的財産でどのように保護するか
 ・ビジネスモデルそれ自体は特許により保護することが難しい
 ・ソフトウエア技術を組み合わせることによりビジネス関連発明として
  保護することを考える

2.日米におけるコンピュータソフトウエア関連発明の歴史
 ・米国における1990年代のビジネスモデル特許の動向
 ・日本における2000年前後のビジネスモデル特許の動向および
  2002年特許法改正について(「プログラム」を発明として追加)

3.コンピュータソフトウエア関連発明が特許として認められるための要件とは
 ・コンピュータソフトウエア関連発明の発明該当性の判断の流れ
 ・ソフトウエア関連発明における進歩性の判断について

4.コンピュータソフトウエア関連発明特有の4つの留意事項
 ・クレームのカテゴリー
 ・複数主体の問題
 ・サブコンビネーション発明
 ・間接侵害の適用

5.属地主義に関する判例の紹介
 ・ドワンゴvsFC2の2つの裁判例の紹介
 ・裁判例から紐解く特許明細書の作成のあり方について

(後編・11月13日)
6.侵害の立証容易性を高めるクレームの表現方法
 ・入力手段、記憶手段、通信手段、出力手段をクレームでどのように規定するか
 ・装置感で送受信される情報をクレームで規定する上で気をつけるべきことは?

7.競合他社による市場参入の予防や侵害訴訟に向けた訂正審判および分割出願戦略
 ・侵害サービスにターゲットを絞った訴訟提起前の訂正審判
 ・分割出願で事件を特許庁に継続させ続けることによる
  侵害サービスへの当て込み戦略

8.AI関連技術について特許権を取得する際に注意すべき点
 ・AI関連発明の最近の特許出願動向は?
 ・AI関連発明の権利化手法や実務上の留意点について

9.外国出願を見据えたコンピュータソフトウエア関連発明のクレームおよび
  実施形態の書き方
 ・アメリカ出願における101条の特許適格性および112条(f)の
  ミーンズプラスファンクションクレームの問題
 ・ヨーロッパでは技術的特徴と非技術的特徴を含む請求項の進歩性判断が
  どう行われるか
 ・中国におけるコンピュータソフトウエア関連発明の近年の動向

このセミナーコンテンツからスライド資料および音声データを文字起こししたデータを用いますが、スライド資料としてパワーポイントやPDFデータをChatGPT proに読み込ませようとすると下記のように拒否られてしまいます。イメージデータくらいしか受け付けてくれないようです。ChatGPT 4oならパワーポイントやPDFデータも受け付けてくれたのに・・・

ChatGPT proに拒否られる・・・

しかし、音声データを文字起こししたデータだけだと、最終的に生成される原稿の正確性が失われてしまう可能性があります。
このため、気を取り直して、
(第1段階)ChatGPT 4oに、スライド資料および音声データを文字起こししたデータを入力して、講義の各章の概要を作成させる
(第2段階)ChatGPT proに、第1段階で作成した講義の各章の概要および音声データを文字起こししたデータ(第1段階と同じもの)を入力して、講義の各章の詳細原稿を作成させる
という2段階のステップをふむことにしました。

ChatGPTの入力文字数の制限について

ChatGPT proおよびChatGPT 4oの入力文字数の上限を調べたところ、それぞれ2万5000字のようでした。また、ChatGPT 4oの最大応答長の文字数は2,048単語のようです。ChatGPT proの最大応答長の文字数は明確ではないものの、ChatGPT 4oよりもずっと多いようです。ですので、第1段階でChatGPT 4oに原稿の概要を作成させ、ChatGPT proに原稿の詳細を作成させるという方針はあながち間違いではないようです。
ここで、5時間のセミナー講義の音声データについて、講義の目次に従って下記の10パートに分割しました。これだと、長いパートでも音声データを文字起こししたテキストの文字数は2万文字程度に収まりました。

0.序章
1.新しい事業のビジネスモデルを知的財産でどのように保護するか
2.日米におけるコンピュータソフトウエア関連発明の歴史
3.コンピュータソフトウエア関連発明が特許として認められるための要件とは
4.コンピュータソフトウエア関連発明特有の4つの留意事項
5.属地主義に関する判例の紹介
6.侵害の立証容易性を高めるクレームの表現方法
7.競合他社による市場参入の予防や侵害訴訟に向けた訂正審判および分割出願戦略
8.AI関連技術について特許権を取得する際に注意すべき点
9.外国出願を見据えたコンピュータソフトウエア関連発明のクレームおよび実施形態の書き方

第1段階 ChatGPT 4oで各章の概要を作成する

第1段階として、前項で区分けしたセミナーの各章についてChatGPT 4oに講義資料のパワーポイントのデータとともに下記のプロンプトを入力します。ここで、執筆要綱として書式を設定しておくと、後でマージするときに章ごとの不一致が生じてしまうというトラブルを防止することができます。

「ITソフトウエア特許の明細書作成の基礎知識および 裁判例から紐解く最先端の保護・活用戦略」という5時間のセミナーから、同タイトルの書籍を作成したいと思います。 第1章から第9章までありますが、第1章について、添付ファイルのセミナー資料、およびセミナー音声のスクリプトに基づいて、第1章の原稿の概要を作成してください。その際に、ですます調ではなく、である調にしてください。
【執筆要綱】
1.書式設定 (1)網掛け、下線、傍点、段組等は用いない。 (2)図(写真を含む)・表は本文中に組み込まない。挿入箇所を右欄外に赤字で指定する。
2.表題、見出し (1)表題は執筆内容を具体的かつ的確に表したものとする。商品名・社内用語の明記、過度に商業的な 内容の記述は避ける。 (2)本文は読みやすいように区分し、見出しを付ける。 見出し番号つけ方 大見出し 1.○○○○○○ 1.○○○○○○ 中見出し 1.1 ○○○○○○ 1.2 ○○○○○○ 小見出し 1.1.1 ○○○○○ 1.1.2 ○○○○○ さらに小さい見出し (1) ○○○○○○ (2) ○○○○○○
3.図・表・式 (1)図・表はできる限り鮮明なものを用意する。特に図表中の説明や記号、単位などが小さくなりすぎない ように注意する。 (2)図(写真を含む)・表はモノクロ印刷を基本とする。カラーでなければ表現できない図表はカラー印刷 とする。 (3)図・表にはキャプションをつける。 図・表・式番号とキャプションの配置 図 表 式 図1 ○○○○○○○○○ 表1 ○○○○○○○○○ □□□df (x)=f´(x)dx (1) (□は全角1字アキ) ※写真は「図」扱いとする。
4.参考、引用文献 (1)参考文献は本文の最後にまとめ、文献を引用する場合には該当個所の右肩に通し番号をつける。 (2)ひとつの文献を記す場合は 1),複数の文献を記す場合は 1,2) 1-3)とする。(例:文献1-3)を参照。)
【第1章のセミナー音声のスクリプト】
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このようなプロンプトをChatGPT4oに入力することにより、下記のような概要が出力されました。

1. 新しい事業のビジネスモデルを知的財産でどのように保護するか
1.1 ビジネスモデルとは何か
ビジネスモデルとは、製品やサービスを通じて利益を生み出すための事業戦略や収益構造を示すものである。この概念は、1990年代中盤から後半にかけて、アメリカでのIT(情報技術)の発展と共に広く普及した。特に、クリントン政権下におけるIT産業の振興政策が影響を与え、インターネットを活用した事業形態が台頭したことで、その重要性が増した。
日本においても、2000年10月に「ビジネスモデル学会」が発足したことを契機に、実務界や学術界において活発な議論が展開された。具体的には、顧客が企業から提供される製品やサービスの対価として支払う代金を通じ、企業が利益を得る一連の構造を指す。この構造の中で、消費者と企業間のやり取りを効率化し、収益性を高める仕組みが注目される。
例えば、インターネットを利用した商品の選択、購入、決済、配送までの一連のプロセスを整理し、新たな価値を提供することで競争優位性を確保する形態がその一例である。また、近年では、フリーミアムや広告モデルのように、無償で製品やサービスを提供しながら別の経路から収益を得るビジネスモデルが成功例として取り上げられている。
1.2 ビジネスモデルと特許制度の関係
ビジネスモデル自体を特許で保護することは原則として難しい。なぜなら、特許法においては「自然法則を利用した技術的思想の創作」であることが発明の要件とされているためである。ビジネスモデルは一般的にこれに該当しない。しかし、ソフトウェア技術を組み合わせることで、ビジネス関連発明として特許保護を受けることが可能となる。
例えば、「いきなりステーキ」のシステム特許は、特許化の成功例として知られる。この特許は、効率的な顧客サービスを実現するシステムの設計とその運用方法に関するものである。このような形で、ビジネスモデルに技術的な特徴を加えることで特許として認められるケースが増えている。
1.3 コンピュータソフトウェア関連発明と他分野発明の違い
コンピュータソフトウェア関連発明は、他の分野の発明といくつかの点で異なる。例えば、機械や電気分野では、発明が構成として規定される。化学分野では、発明が組成や製造方法として規定される。一方で、コンピュータソフトウェア関連発明は、情報処理方法や情報そのものに独自性が求められることが多い。
また、特許のカテゴリーとして、プログラム、記録媒体、データといった他の分野には見られない独自のカテゴリーが存在することも特徴的である。これにより、情報処理方法やデータ構造の工夫が特許の対象となる可能性がある。
1.4 属地主義と国際的な課題
属地主義の下では、特許権は基本的にその国の領土内でのみ有効である。これに関連して議論されるのが、サーバが海外に設置されている場合の侵害判断である。たとえば、「ドワンゴ vs FC2」の判例では、属地主義に基づく侵害の判断が示された。このようなケースでは、法改正や新たな判例が求められることが多く、現在も議論が続いている。
1.5 権利の活用方法
コンピュータソフトウェア関連発明においては、医薬分野のように単一の特許で競合他社の参入を完全に防ぐことは難しい。しかし、UI設計や独自の情報処理方法を活用することで、競争優位性を確保する方法が取られている。また、コンピュータ単体による発明と、クライアントサーバ型ネットワークのような複数のコンピュータ間の協働に関する発明とでは、権利化の対象となる内容が異なる。
例えば、卓球のプレー映像に基づく情報処理装置(特許第7334527号)では、コンピュータ単体による情報処理が発明として規定されている。一方で、眼鏡レンズ供給システム(特許第3548569号)では、複数のコンピュータ間の情報交換とその処理が発明として規定されている。

第2段階 ChatGPT proで各章の詳細を作成する

次に、いよいよChatGPT proの出番です。果たして毎月3万円の価値があるのかドキドキしながら下記のプロンプトを入力します。念のため執筆要綱も再びプロンプトに入れました。

「ITソフトウエア特許の明細書作成の基礎知識および 裁判例から紐解く最先端の保護・活用戦略」という5時間のセミナーから、同タイトルの書籍を作成したいと思います。 第1章から第9章までありますが、第1章について、下記のセミナーの概要、およびセミナー音声のスクリプトに基づいて、第1章の原稿の詳細を1万文字〜2万文字程度で作成してください。その際に、ですます調ではなく、である調にしてください。
【執筆要綱】 1.書式設定 (1)網掛け、下線、傍点、段組等は用いない。 (2)図(写真を含む)・表は本文中に組み込まない。挿入箇所を右欄外に赤字で指定する。
2.表題、見出し (1)表題は執筆内容を具体的かつ的確に表したものとする。商品名・社内用語の明記、過度に商業的な 内容の記述は避ける。 (2)本文は読みやすいように区分し、見出しを付ける。 見出し番号つけ方 大見出し 1.○○○○○○ 1.○○○○○○ 中見出し 1.1 ○○○○○○ 1.2 ○○○○○○ 小見出し 1.1.1 ○○○○○ 1.1.2 ○○○○○ さらに小さい見出し (1) ○○○○○○ (2) ○○○○○○
3.図・表・式 (1)図・表はできる限り鮮明なものを用意する。特に図表中の説明や記号、単位などが小さくなりすぎない ように注意する。 (2)図(写真を含む)・表はモノクロ印刷を基本とする。カラーでなければ表現できない図表はカラー印刷 とする。 (3)図・表にはキャプションをつける。 図・表・式番号とキャプションの配置 図 表 式 図1 ○○○○○○○○○ 表1 ○○○○○○○○○ □□□df (x)=f´(x)dx (1) (□は全角1字アキ) ※写真は「図」扱いとする。
4.参考、引用文献 (1)参考文献は本文の最後にまとめ、文献を引用する場合には該当個所の右肩に通し番号をつける。 (2)ひとつの文献を記す場合は 1),複数の文献を記す場合は 1,2) 1-3)とする。(例:文献1-3)を参照。)
【第1章のセミナーの概要】
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【第1章のセミナー音声のスクリプト】
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そうすると、いよいよ原稿ができあがってきます。

第1章 新しい事業のビジネスモデルを知的財産でどのように保護するか
1.1 ビジネスモデルの概念とその重要性
ビジネスモデルとは、製品やサービスを顧客に提供し、その対価を得ることで企業が利益を生み出すための事業戦略・収益構造を示す概念である。1990年代中盤から後半にかけて、アメリカではクリントン政権下でIT産業の振興政策が推進され、インターネット等の情報技術(IT)が急速に発展した。その影響により、インターネットビジネスや電子商取引といった新たな事業形態が台頭し、それらの事業形態を効果的に整理・説明する用語として「ビジネスモデル」が広く用いられるようになった。
日本においては、アメリカから約5年程度遅れて、2000年10月の「ビジネスモデル学会」の発足を契機に、この概念に関する研究・議論が活発化した。実務界では新規ビジネス立案や戦略策定の場で用いられ、学術界でも研究対象として多くの成果が発表されている。ビジネスモデルは、単に企業が生産するモノやサービスに限定されず、顧客とのインタラクション、支払い方法、流通経路、顧客獲得手法、収益ポイントの設計といった、収益獲得に関わるあらゆる仕組みを包括的に示す。
こうしたビジネスモデルの重要性は、インターネットやスマートフォンの普及により顕在化したオンラインサービスの例に見ることができる。顧客がオンライン上で商品を検索し、比較し、購入し、決済し、配送を受けるといった一連の流れを円滑に組み上げることが競争力の源泉となる時代では、ビジネスモデルの創出や改良こそが企業優位性の確保につながる。特に、フリーミアムモデル(基本無料で提供し、追加機能やサービスに課金する手法)や広告収益モデルなど、従来の取引様式とは異なる新手法が浸透したことで、ビジネスモデルの革新が企業戦略上の中核的要素となっている。

おお、なかなかいい感じ。と思いきや、プロンプトで1万文字〜2万文字と指定したのに5000文字程度しかありません。文字数が少ない!ということで、

とChatGPT proに注意を促します(やりすぎるとパワハラプロンプトになってしまうのでご注意)。しかし、何度このプロンプトを入れても出力される文字数は変わらず。ChatGPTはproでも出力量を調整するのは難しいようです(それともChatGPT proの限界か?)。

最後に各章をマージ

このような作業を各章で繰り返し、できあがった原稿をマージします。最後に、パワーポイントの図表スライドを適宜原稿に挿入してできあがりです。
このようにしてできあがったのが下記の原稿となりました。
なお、後ほど説明しますが内容に誤りのある部分も多く、決してこの資料の内容をそのまま鵜呑みにすることはしないでください。

内容についての評価

最後に、ChatGPT proにより作成された上記原稿について内容を評価したいと思います。

1.ボリュームが少ない

冒頭にも書いたように、5時間のセミナーコンテンツがあれば200ページくらいの原稿は作成できるかと思っていましたが、実際にできあがったのは図表も入れて63ページと、予想の1/3しか取れ高がありませんでした。もっとボリュームのある原稿を自動で作成できるだろうと思っていたので、これはちょっと残念な結果に終わりました。文字数を増やすプロンプトを入力しても、大幅に原稿の文字数を増やすことはできませんでした。今回のセミナーコンテンツは裁判例の解説が多かったのですが、裁判例以外の部分については頑張ってボリュームを落とさないようにしているものの、裁判例の紹介についてはスライドデータおよび音声データのみから原稿を作成するのは難しいらしく、大幅に内容がカットされてしまっているようです。

2.内容についても疑問点のある部分が多い

ChatGPT等の生成AIの問題としてハルシネーション(入力情報にない情報まで生成AIが勝手に付加して出力する)が挙げられますが、今回ChatGPT proが作成した原稿でもセミナー中に喋っていないことやスライド資料にも載っていないことが勝手に追加されており、しかもそれが間違っているという箇所がいくつか見受けられました。また、同じ章の中で、最初の方に喋った事項と後の方で喋った事項をChatGPTがごっちゃにして原稿として出力してしまっているという場面が見受けられました。このため、ChatGPT proが作成した原稿といえども、そのまま用いるのは危険であり、人間の手によるレビュー、修正がマストになってきます。なお、後者の問題については、章ごとに区切るのではなく、もっと細かく区切ればある程度解消されるのではないかと思います(その分、人間の労力は増えますが)。

3.それでも原稿執筆のとりかかりとして下書きがあるのはありがたい

実際に雑誌の原稿や書籍を執筆したことがある方ならご存知かと思いますが、真っ白な状態から原稿や書籍を執筆するのは、取り掛かりに苦労するものです。いざ書き始めると流れに乗ることができる場合もありますが、最初の第一歩は荷が重いですね。しかし、ChatGPT 4oやproに今回のレベルの原稿を作成してもらっておけば、それを起点として原稿を書き始めることができるため、何もない状態からはじめるよりはだいぶ楽になるのではないかと思いました。

4.ChatGPT proに毎月3万円課金する価値があるかどうかは保留

最後に、今回の原稿は最終的にChatGPT proによる出力のものとしましたが、同様の方法でChatGPT 4oに出力させても、内容にそれほど大きな差はありませんでした。ChatGPT 4oが毎月3千円、ChatGPT proが毎月3万円と10倍の差がありますが、今回の実験ではそのメリットを感じることはできませんでした。このあたりは他の方のChatGPT proの活用事例も見ていきたいですね。

まとめ(をChatGPT proに作らせてみた)

今回の記事では、ChatGPT Proを用いて、5時間のセミナーコンテンツから書籍1冊分の原稿を1日で作成する挑戦を振り返りました。結果として、200ページ相当の原稿を期待していたところ、実際には63ページの内容に留まりました。また、内容にはハルシネーションや情報の混同といった問題が含まれており、人間によるレビューと修正の重要性が再認識されました。一方で、白紙状態から原稿を執筆する負担を軽減できるという点は、生成AIの大きな利点として挙げられます。さらに、ChatGPT ProとChatGPT 4.0の違いについては、現状では価格差に見合う価値を見出せず、他の活用事例を参考にする必要がありそうです。今後、AIツールの精度がさらに向上し、執筆プロセスをより効率化できるようになることを期待しつつ、本記事を通じて感じた可能性と課題を引き続き検討していきたいと思います。


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