ここが知りたい!ピースウィンズ・ジャパン「内輪の人々」とのおカネの流れ⑤貸すも大西、借りるも大西で「利益相反」が発生
NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)は、「特定非営利活動法人特別代理人選任申請書」を2017年4月28日付で広島県知事に提出しています。
NPO法第17条4項には、「特定非営利活動法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合においては、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない」とあります。
PWJは当時、姉妹団体のような関係にあるNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、神石高原町、大西健丞理事長)に対し、6000万円を貸し付けていました。最新決算時点(2019年1月期)でも未回収が1000万円残っています。
6000万円の融資について、債権者であるPWJは債務者であるSAPFの土地・建物に抵当権を設定し、登記することになりました。
しかし、お金を貸すPWJの大西健丞代表理事は、お金を借りるSAPFの理事長でもあります。一般に「利益相反」という関係が生じてしまいました。
お金を貸す側が甘くならないよう、PWJは大西代表理事とは別の人物を代理人としてこの事務にあたらせる必要があります。
法律上、その代理人を選任する権限は所轄官庁である広島県知事にあります。そこでPWJは大西代表理事の代理人候補として長瀬理夏理事(副代表理事)を選任し、県に申請したわけです。
申請に先立って、PWJは代理人候補を選任した総会の議事録と本人承諾書の写しを用意して、申請書に添付しなければなりません。とても厄介に思える手続きが課せられるのは、「利益相反」が通常はあってはならない深刻な問題だからです。
SAPFに対する貸し付けは2015年には始まっていました。抵当権を設定する前、PWJはどのようなリスク回避策を講じていたのでしょう?
返済能力があるかどうかわからないSAPFへの融資は、担保なしでは回収不能になる恐れも大きいわけで、抵当権設定は遅すぎるくらいです。
問題を放置して、不良債権が発生した場合など監事や会計事務所の責任も問われかねません。
PWJ監事の報酬は年10万円ということですから、1千万円前後の給料をもらっている一部の理事と比べてワリにあわない仕事です。私だったら監事就任を辞退します。監事に対し、あらいざらい実情を打ち明ける組織だとは思えないからです。
ところで、大西健丞氏が代表理事や理事長など代表者を務めるNPOや社団法人はほかにもたくさんあり、筆者も現時点ではつかみ切れていません。
大西氏が貸し手の代表であり、借り手の代表で、同じように利益相反ではないかと思われる取引は、ほかの法人との間でもすでに起きていているのではないでしょうか?
広島県が開示した資料からだけでも、公益社団法人Civic Force(東京都渋谷区)からPWJが3億円を借りたことが判明しています。
また、PWJから2000万円を借りているNPO法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(佐賀市)に対して、PWJはSAPFに対して行ったのと同じような手続きを踏んで、抵当権を設定しているのでしょうか?(続)
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