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「財務状況で遅れ」—2020年9月開校目標のピースウィンズ・ジャパンの全寮制国際高校、愛媛・広島に計画

 12月12日付の愛媛新聞によると、前日の11日に開会した愛媛県上島町議会の一般質問で、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が2020年に上島町内に開校させるとしている全寮制の国際高校の準備状況について問われて、町役場の中辻洋総務課長は「財務状況で遅れているが、資金調達ができ次第進める方向と聞いている」と答弁しました。

 この学校は「ピースウィンズ・グローバルシチズン・スクール」とも呼ばれ、PWJのピースワラベプロジェクトの中核的な事業となる予定でした。

 PWJが制作したピースワラベ・ジャパンのホームページによると、「国内以外の16-19歳の子ども」を対象にした全寮制の学校で、生徒数は1学年15~30人を予定しています。

 候補地は、PWJが地域再生事業を展開している広島県神石高原町、愛媛県上島町です。廃校になった学校や施設を改修し、開校するといい、2018年に神石高原町でサマーキャンプを開催して、カリキュラムの編成準備などを始めているということです。

 町総務課長の答弁にある「財務状況」が具体的にどのような状況かは説明されていないようです。

 それでは、2019年1月期のPWJ決算資料を開いてみましょう。PWJの主要な5つの事業のうち、農業・観光・医療などを含む地域再生に関連する部門は1億4557万円の赤字要因になっていました。

 この地域再生(地域創生)部門の赤字は慢性的ともいえる状況です。

 愛媛県上島町でPWJと事実上一体となって豪華ゲストハウスや美術館の運営事業にあたっているNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、広島県神石高原町、大西健丞理事長)は、財務諸表から見る限り、2018年度に所有していたゲストハウスの所有権を手放したものとみられます。

 PWJもSAPFも「主たる事務所」が広島県神石高原町にありながら、主たる事務所を上島町内におくNPOだけを対象とすると条例で決めているはずの上島町のふるさと納税の支援対象NPOにリストアップされています。全寮制の国際学校の創設もPWJなどの活動目的、支援対象として紹介されています。

 リストアップされたこと自体、主たる事務所を町内におくという基準に合致せず、町役場の運用は条例の規定から逸脱していますが、事業の運営状況や展望についてもPWJ/SAPFグループはほとんど説明をしていないようです。

 ふるさと納税を募集し始めた当初、PWJが地元の町役場や議会に説明した計画の通りなら、今頃は学校の制度・規則を整え、教員らの採用活動や入学試験の出願受け付け、支援企業の募集など資金調達が行われているべき時期です。

 広島県神石高原町では、このピースワラベ・プロジェクトとは全く関係のない、学校法人神石高原学園による小学生対象の神石インターナショナルスクール(JINIS)が2020年に開校を予定しています。

 JINISを、PWJの全寮制学校だと誤認する人が増えないことを祈ります。

 

 

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