広島県動物愛護センター⑦譲渡活動、NPO任せで週末は原則おやすみ

 殺処分を減らすため、全国各地の動物愛護センターは新しい飼い主に保護した犬を譲渡する活動に力を入れていて、週末の土曜・日曜や祝日に譲渡会を開くところも増えています。

 三原市にある広島県動物愛護センターはどうでしょう?この数か月、いろいろと調べることがあって、電話をしたり、訪問したりしましたが、土日の対応は「不可」、つまりお休みでした。

 そこで、愛護センターを所管する広島県健康福祉局食品生活衛生課に問い合わせました。

Q 譲渡を増やす努力をしているとのことですが、週末や祝日のイベント開催状況を教えてください。

A 当県の動物愛護センターでは、新たに犬や猫を飼い始めたい方等に対し、譲渡の前に、犬や猫を適正に飼育するうえで必要な知識習得のための譲渡講習会を受講いただいており、月・水・金曜日(祝祭日を除く)及び第3日曜日(どうぶつ愛護のつどいの開催月を除く)としています。なお、令和元年6月から10月までは暫定的に第1日曜日も開催してきたところです。また、11月からは食品生活衛生課が、動物愛護キャンペーンの一環として定期的にショッピングモール等での出張譲渡会を行っております。

 土・日・祝日は原則お休みですが、少しずつ活動する日も増やしている、ということのようです。
 
 過去の実績は「残念」といわざるを得ない状態でした。

 県動物愛護センターの業務概要によると、2018年度の犬の飼育講習会の開催回数は53回で受講人数は253人でした。前年度より回数で5回、人数で48人、それぞれ減っています。2014年度の実績(103回、621人)に比べて半分以下という惨状だったのです。

 保護した犬の譲渡頭数は、かつて200頭前後にとどまっていたのですが、団体向けの譲渡が本格化したのに伴って2013年度以降は400頭以上へと倍増しています。

 2015年に700頭台、そして「殺処分ゼロ」を目指すNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)による殺処分対象の犬の全頭引き取りがスタートした2016年度には1400頭台を記録、ピークは2017年夏に譲渡頭数が1691頭になっています。

 しかし、2018年はここでも異変が生じました。譲渡頭数は1479頭で、前年より164頭も減ったのです。

 PWJが狂犬病予防法違反の容疑で広島県警から捜査を受け、広島県動物愛護センターが一時譲渡を中断したことが響いているようです。

 広島県動物愛護センターはNPOに引き渡すことに慣れ切っていたので、センター自身による譲渡拡大努力を怠っていました。県警によるPWJ捜査を受けて、センターによる週末譲渡会の開催などを議論した形跡もありません。

 副知事ら県上層部が決めたのは、もう一つの有力登録団体、NPO法人動物愛護団体エンジェルズ(滋賀県高島市、林俊彦代表)への犬引き渡し頭数を増やすことでした。

 そして、PWJに対する引き渡し中止措置も、狂犬病予防注射の実施など法令違反を解消できる体制が確認できたとして、わずか1週間足らずで解除してしまったのです。

 PWJはその後、動物愛護管理法違反容疑でも広島県警の捜査を受けています。結果は不起訴でしたが、県動物愛護センターがPWJに依存しきっていなければ、動物取扱業者としてのPWJをもっと厳しく監督できたはずです。

 現在、計画中の移転が完了すれば、犬猫の譲渡活動を増やす、ということですが、新しい施設の完成を待たずとも、譲渡会の週末開催などできることはいくらでもあります。

 便利な場所に移れば、センターへの来訪者が増え、譲渡も活発になる、と描く移転構想についても詳しく紹介していきたいと思います。

 

 

 

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