教えて大西さん、シビックフォース代表理事を辞めた理由⑤佐賀大学救急センター長は理事の職務を果たせるのでしょうか？

9月に非常勤理事交代

　公益社団法人Ｃｉｖｉｃ　Ｆｏｒｃｅ（シビックフォース、東京都渋谷区、根木佳織代表理事）の非常勤理事を9月4日付で辞任した慶應義塾大学の神保謙教授の後任として、ドクターヘリも運航している佐賀大学付属病院の高度救命救急センター長の阪本雄一郎教授が理事に就任しました。

　佐賀大学のお医者さんがシビックフォースの理事に就任した理由、そして、資金を不自然な形で認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン（PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事）に貸している事実をどのように引き継いでいるかを知るため、佐賀大学と阪本教授に質問を送りました。10月19日付です。

　質問は以下の４つです。

（１）佐賀大学高度救命救急センターは、シビックフォースと業務上どのような関係を持っているのですか？今後の予定を含めて教えてください。

（２）9月4日に神保謙氏に代わって阪本様が理事に就任されています。阪本様はどのような経過で理事就任を引き受けることとなったのでしょうか？

（３）ＰＷＪへの貸し付けは、シビックフォースの本来の資金の使用目的から逸脱した資金運用（金融機関がＰＷＪに貸さない資金を代わりに貸し付けている可能性がある）ではないかと繰り返し、大西氏、根木氏に問い合わせていますが、回答がありません。先生はこの貸し付けの目的等について理事就任にあたって説明を受けられましたか？その内容はどのようなものでしょうか？

（４）ＡＲＲＯＷＳの活動に充当するとして、ＰＷＪは今期から大幅に事業計画を拡充しています。地元の神石高原町ふるさと納税申請のための事業計画によると、その活動資金には５千万円の寄付を外部団体から受け取ることも記載されています。これはシビックフォースからの寄付金なのでしょうか？

　送り先は救急センターの阪本教授、大学広報室の２か所です。

A-PADジャパン協力の延長

１週間後の10月26日、広報が一括して回答してくれました。

　「本件に関しては、当方の理事就任前の事案であるため把握しておりませんので、理事長（注：代表理事）へご確認いただければ幸いです。なお、理事就任に関しましては、佐賀県誘致のNGOであるA-PAD JAPANの災害支援に佐賀大学として協力させていただいている関係で就任依頼があったためです」

　非常に素っ気ない内容です。それでも、シビックフォースやPWJの連携団体として2015年に佐賀県に設立されたNPOアジア・パシフィック・アライアンス・ジャパン（Ａ-ＰＡＤジャパン、佐賀市、大西健丞代表理事）との付き合いの延長であることはわかりました。

PWJ向け貸し付けの保全状況は？

　事業報告書によると、Ａ-ＰＡＤジャパンは飛行機（コマンダーＪＡ8600）も所有していて、佐賀空港と大阪八尾空港を拠点に被災地に急行する態勢を整えています。2019年の台風19号被害の際も、佐賀大学の医師らを専用機で長野県に派遣したそうです。ＰＷＪやシビックフォースと一緒に空飛ぶ捜索医療団（ARROWS）を構成している団体で、やはり佐賀県でも「ふるさと納税」で寄付を集めています。

　しかし、間接的に付き合いのある団体だとしても、佐賀大学は、教授の理事就任にあたって、シビックフォースのPWJ向け貸し付けに対する債務保証や担保設定など、コンプライアンス順守状況などについての調査や報告を教授らに求めないのでしょうか？

　その点を11月25日に再度、大学広報に問い合わせたところ、１週間後の12月2日に「本件に関しては、佐賀県誘致のNGOであるA-PADジャパンを通して確認済みですが、お訊ねのような事案は関知しておりません」という回答がありました。

　そのAPAD―JAPANは、利益相反の資金取引の案を理事会に示したシビックフォースの大西健丞氏が代表理事、根木佳織氏が事務局長というシビックフォースと同じ代表者、事務局長でした。

　シビックフォース理事会で複数回否決されたというPWJ向け貸し付け議案は大西、根木氏らが用意して理事会に諮ったものとみられますので、貸し付けをめぐる議論や代表理事が交代した背景について、積極的に説明をしてくれそうには思えません。

　佐賀大学と高度救命救急センターの阪本センター長は、PWJ向け貸し付けや代表理事交代をめぐる理事会等の会議記録に目を通したり、前理事の神保慶大教授や荒木洋監事らからも話を聞いたりしているのでしょうか？

　シビックフォースは、地方大学の貴重な資材や人材を提供していくにふさわしい団体であるかどうか？佐賀大学がもし、業務面での提携にとどまらず、理事会の運営にも関与するならば、そうした調査くらいしていて欲しいと願わずにいられません。