教えて大西さん、ピースワンコのこと㉕「論」より「証拠」~全頭引き取りを放棄したワケ
1、引き取り頭数が2年で半減
おカネを保護犬のために使うのを惜しんで、一生懸命黒字を残そうとしているように見えます。何のためでしょう?
冒頭のグラフをご覧ください。
NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が保護犬事業「ピースワンコ」で広島県動物愛護センターから引き取った犬の頭数は612頭で2年前の半分に減りました。
2年連続の減少です。
犬の収容頭数が半分に減っているわけではありません。「ピースワンコ」の引き取る頭数が減っているだけなのです。代わりに頭数を増やしているのは滋賀県高島市のNPO法人動物愛護団体エンジェルス(林俊彦代表)です。
それでも引き取り手のない犬が動物愛護センターにあふれるようになったので、広島県は今年1月、安楽死させる犬の対象を広げ、今年2月からは実質的に殺処分を再開せざるを得なくなりました。
2、「黒塗り」の受益者は?
広島県動物愛護センターが収容している犬猫をいつ何頭引き渡したのか主要な団体別の状況がわかる資料を、筆者の情報公開請求に応じて初めて開示しました。
執務参考資料として作成しているにも関わらず、これまでは団体名や頭数を黒く塗りつぶした状態でしか公開されていませんでした。
黒く塗りつぶすことによって、広島県は誰の利益を守ろうとしてきたのでしょうか?「全頭引き取り」を宣伝して寄付金を集めてきたピースワンコではないかと私は疑っています。
PWJの保護犬事業「ピースワンコ」は2016年春、「広島県内の殺処分対象の犬を全頭引き取る」と宣言し、広島県での犬の殺処分ゼロを実現したのは自分たちだと宣伝に努めていました。
3、事業計画を一般に説明せず
しかし、PWJは2019年1月、翌2月から始まる2019事業年度から毎月の引き取り頭数に上限を設けるという活動方針を決定していました。その考え方は、ふるさと納税による交付金をもらうために地元神石高原町に提出した事業計画にはっきり書き込まれていますが、一般の支援者らにはいまもって公表していないようです。
広島県動物愛護センターからどの団体に何頭引き渡されているかというデータをみれば、ピースワンコが殺処分対象を全頭引き取ったりしていないこと、引き取り頭数を制限したり、減らしていることは明らかです。ピースワンコの活動方針が2019年度からガラリと変わっていることが裏付けられます。
ピースワンコのホームページのQ&Aの欄には例えば、以下のような説明がいまも掲げられています。
「広島県において、動物愛護センターに持ち込まれる犬のうち、愛護センターの獣医師の診断でもう助からないと判断され、安楽死させられたり、愛護センター内で病死してしまったりした犬を除く殺処分対象の犬を引き取っています」
「2016年4月以降、広島県動物愛護センターではいわゆるガス室を使った犬の殺処分は行われておらず、私たちも愛護センター側に対し、殺処分する前に必ず私たちに連絡するように依頼しています」
ウソとは言えない内容ですが、引き取り頭数を制限していることやその理由をどうして素直に、誰にでもわかるように説明しないのでしょう。ガス室による無差別の同時殺処分は姿を消していますが、安楽死という名の殺処分は増えています。
4、黒字2億5千万円はどこへ?
ピースワンコによる犬の引き取り制限がきっかけの1つになっていて、その安楽死を増やす基準の作成にあたって、広島県は福山市動物愛護センターなど他の愛護センターと相談する前に、ピースワンコと事前に協議を済ませていたようです。
ピースワンコ部門の黒字(収支差)は2019年度2億5千万円もありました。保護犬事業に使わないで、もうけたお金を何に使うのでしょう。
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