教えて大西さん、シビックフォース代表理事を辞任した理由①「身内」融資の「利益相反」に理事会が強い懸念表明
公益社団法人の代表を8月に退任
日本最大級の認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町)の大西健丞(おおにし・けんすけ)代表理事は2020年8月7日、内閣府所轄の公益社団法人Civic Force(東京都渋谷区、シビックフォース)の代表理事を退任しました。
突然、退任したのはなぜなのでしょう?
私は大西氏が代表理事を退任した理由をシビックフォースに繰り返し尋ねましたが、これまでのところ説明はありません。
そこで、シビックフォースの理事や元理事に質問を送りました。
その結果、シビックフォースが被災地支援等の公益目的に使うべき資金をPWJに貸し付けるにあたって、利益相反や担保設定などをめぐって厳しい注文が付いたこともその原因であるらしいことがわかりました。
ピースウィンズ・ジャパンに資金を貸し付け
「貸主と借主の代表理事が同一という状態は解消すべきだという理事会の判断」
質問に対する回答にはそんな一文もありました。
大西氏が代表理事だった時期にシビックフォースがPWJに貸したお金は、PWJの決算期末を基準に見ると、2億5千万円(2020年1月末)から3億円(2019年1月末)にのぼります。
大西氏が大西氏に貸し付けるわけですから、審査が甘くなる恐れは十分にあります。利益相反と言われ、健全経営を重んじる経営者ならこんな取引は言語道断として退けるでしょう。とても危険な行いであり、公益性の高い資金であるなら当然のこととして避けるべき取引だと私は思います。
利益相反、内閣府は報告要求を
善意の寄付がもとになっている公益社団法人の財産の保全には万全の配慮をしなければなりません。理事会の厳しい意見に、公益社団法人の設立者であり、代表理事を務めてきた大西氏も抗うことができなかったのでしょう。
貸借対照表等の財務資料を読んでいくと、大西氏が代表者として運営にかかわるNPOや公益社団法人などの間では、通常は慎むべき仲間内の資金の貸し借りや赤字補填が頻繁に行われていることがわかります。
大西氏が次々と設立してきたNPOや新事業の赤字を尻ぬぐいするため、公益社団法人の公益目的の貴重な財産が使われ、万が一にもき損されることがあってはならないと思います。調査・監督権限を持つ内閣府公益認定等委員会がシビックフォースに対し、貸し付け経過や損失回避のためにとった措置などについて報告を求めるべきではないでしょうか?
公益法人法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)には以下のような規定があるのです。
第27条 行政庁は、公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において、内閣府令で定めるところにより、公益法人に対し、その運営組織及び事業活動の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、当該公益法人の事務所に立ち入り、その運営組織及び事業活動の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
なお、貸借対照表など公益法人に関する情報はだれでも内閣府公益認定等委員会のサイトで閲覧できます。ただし、シビックフォースの情報検索にはコツがあります。カタカナやローマ字半角では検索できません。法人名を「全角」のローマ字で入力する必要があります。
次回以降、理事・元理事らの回答も紹介しながら、シビックフォースによるPWJ融資の問題点を考えていきたいと思います。〈続)