教えて大西さん、シビックフォース代表理事を辞任した理由②公益資金をピースウィンズ・ジャパンに貸し付けるも決算期には回収し、貸し付け事実公表せず
1、2020年8月期事業報告を待つ
公益社団法人Civic force(シビックフォース、東京都渋谷区、根木佳織代表理事)の代表理事交代の背景についての続報です。前回掲載(11月24日)から10日ほど時間が経過したのにはワケがあります。シビックフォースの2020事業年度(2020年8月期)決算資料の公表を待っていたのです。
しかし、時間を無駄に使ってしまいました。ホームページにはいまだ前期事業報告が掲載されていません。
公益法人は理事会、社員総会で承認された決算を事業年度終了から3カ月以内に所轄官庁へ提出する義務があります。シビックフォースも内閣府に提出しているはずなのですが、ホームページに事業報告や収支報告がいまだに掲載さえていないのです。
内閣府公益認定等委員会の公益法人データベースでも確かめてみましたが、8月、9月の代表理事交代、理事交代は開示されていましたが、2020年8月期決算はもちろん、例年なら8月末に内閣府に提出している新事業年度(2021年8月期)の事業計画書と収支予算書も内閣府公営認定委のデータベースで閲覧できる状態になっていませんでした。
2、期末に回収し、資金流用の事実隠す?
確認したかったのは、8月に前任の大西健丞代表理事が辞任したのを受けて、シビックフォースが、大西氏がいまも代表理事を務めている認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町)に対する融資についてどのように説明しているか、です。
お金を貸す側のシビックフォース代表者は大西健丞氏、借りる側もPWJ代表者は大西健丞氏というこの融資はおそらく2019年度(2019年8月期)から始まっているとみられるのですが、利息収入を除いて融資の記録は事業報告や貸借対照表に表れていないのです。
私がこの融資事実を借り手のPWJが広島県に提出した報告資料の中から発見しました。PWJは一般向けに公表している資料からは借入先としてシビックフォースの名前をその他扱いとして隠していましたが、県に報告した資料ではシビックフォースからの借入金額も記載していたのです。
PWJ側の資料によると、シビックフォースから借り入れたお金の残高は2019年1月期3億円、2020年1月期2億5千万円でした。
その金額がシビックフォースの決算書類に登場しないのは、シビックフォース側の決算期(2019年8月期)にはいったんPWJがシビックフォースにお金を返すという奇妙な操作をしているからだとみられます。
3、融資財源は「公益目的」に使う特定資産
しかし、ここで重要なのはシビックフォースのお金は「公益目的事業に使用する目的で保有する普通預金」という特定資産(固定資産)であって、PWJの資金繰りをサポートするような事業はそれに該当しないのではないかと私は思います。
シビックフォースの2019年8月期決算では、PWJ向け融資からとみられる460万円の利息収入は「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」のうち最後の「法人会計」のところに計上されていて、シビックフォース自身も公益目的の事業に使った見返りという扱いをしていないようです。
つまり、公益目的に使うよう定められた固定資産を一時的に取り崩して、資金繰りが苦しいPWJ融資の原資として流用したわけです。
前回紹介したように大西氏がシビックフォース代表理事を退いたのが「貸主と借主の代表理事が同一という状態は解消すべきだという理事会の判断」であるならば、代表理事交代理由の説明を含めて事業報告書にPWJ向け融資の目的などについて詳しく説明してほしいところです。もし、PWJへの融資を渋る銀行に代わってお金を貸す必要が生じていたのならその利息収入は「収益事業」に計上することが妥当だと私は思います。
思いのほか、長くなってしまったので、こうした融資をどう考えていたのか、シビックフォースの役員らに対する質問の回答内容は次回紹介します。
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