溌墨の画家・馬驍さんの歩んだ道
足立区・西新井のMAKYO美術館オープン記念展「覆載幻化〜馬驍の溌墨(はつぼく)世界」に行ってきました。名前に記憶がなくても絵を見たことのある方はきっと多いはず。「NHK中国語講座」テキストの表紙を17年間描き続けた水墨画家です。日本人の母親を持ち、中国に生まれ育ちながらも文革の嵐に翻弄された末に日本に活動拠点を移し、平山郁夫、加山又造らと交流を持ちながら国際的にも活躍した芸術家が、日本での活動の集大成として一般の方もイベントに利用できるよう設立したアートの空間です。
「動中に静あり、静中に動あり」と学習院大の島尾新教授が表現されるように馬驍さんの絵は幻想的な風景の中にもしっかりした存在が描かれ、馬や鳥の姿が脳裏に焼き付くようです。オープン記念展は2023年2月18日まで(開館日は木、金、土のみ、予約制)5日までは招待者向けで一般公開は10日からです。コロナ禍とあって地味なスタートですが、日中国交正常化50周年にふさわしい美術館の登場です。
馬驍さんは文革の迫害を受け病死した中国人建築家の父親と日本人の母親の間に生まれ、自身も下放政策で農村に行かされ、美術大学への進学を阻まれました。日中国交正常化のあとの1979年、先に日本に帰国していた母親を世話するために中国籍を放棄して日本に帰国し、静岡で水墨画教室を始めたのが日本での活動の始まりです。いつも穏やかで笑顔を絶やさないお方で、若い頃にそんなご苦労をされていたことは今回、初めて知りました。詳しくはホームページをご覧ください。
https://makyo-art.com/makyoart-world/art-history/