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動物への感謝の気持ちを忘れずに~佐良直美さんに聞く(8月20日発行「ペットパーク通信第9号」から抜粋・転載) 

 若いころ歌手・俳優として活躍された佐良直美(さがら・なおみ)さんは動物好きで知られ、1993年から栃木県・那須塩原でしつけ教室などを運営するアニマルファンスィアーズクラブ(A・F・C)を主宰しています。犬猫を中心に動物の保護活動にも取り組んでいます。A・F・Cを訪ね、ご自身のペットとのかかわりや最近のペット業界についての意見などをうかがいました。(聞き手 : 経済ジャーナリスト・樫原弘志)

ペット店から買い取って保護することも



 ――たくさん犬や猫がいますね。

 「猫は100匹、犬が40匹ですね。飼養状態があまりに悪い犬や猫、例えばショーウィンドウに半年も置かれ、暇すぎて悪さばっかりしているチワワを買い取って保護したこともあります。そんなときはペットショップと大体ケンカになりますね(笑)狭いサークルに入れられて糞尿まみれになっていた子豚を買ったこともありますよ。豚なんか売らないで欲しいです」

 ――最近、気にかかっていることは?

 「ミックス犬の販売は止めて欲しいですね。たまたま交配してしまって、ちょっとカワイイね、というくらいならともかく、ミックス犬をわざわざ作り出してまで売るのはいけないと思います。純血種をきちんとした格好できちんとした人に売るのがペットショップ、いいものを繁殖するのがブリーダーの役目ではないでしょうか」

 ――数値規制が始まりました。

 「動物取扱業向けのセミナーの休憩時間、周りの会話を聞いていると『うちのババア(繁殖メス犬)、子どもは産まないし、よく食うし、早く死んでくれないかなぁ』というブリーダーがいて、同じところで空気を吸うのが嫌になったことがあります。本当のトップ・ブリーダーは違うと思いますが、この人たち山椒大夫みたいだなって思いました。『人を増やすか、犬を減らすか、どちらかだから産まない時期も出てくるし、食べていけなくなる』と困っている話も聞いていますが、犬に感謝する気持ちもなく、自分さえよければいいという姿勢ではいけません」

トラブルの原因は動物よりも飼い主にある?



 「(規制をするときは)受け皿をきちんと整えること、バケツを用意することも考えるべきです。原発問題でもプラスチックごみ問題でも受け皿ができていないままやってきたのが日本の問題ですよね。例えば、犬を飼いたいけど、マンションで飼えないという問題もあわせて検討していいはずです。マンションで動物を飼えない原因を突き詰めていくと、犬ではなく飼い主に問題があることがわかる。この問題を解消することも受け皿の一つです」

 ――ペット業界に望むことは?

 「もっと知識を磨いて欲しいですね。犬は生後1週間以内にツメ切りを始めて、半年間ほど伸びたら切るようにすると、犬にとってストレスの種であるツメ切りは一生不要になるでしょう。子犬の社会化も一匹で慣れていく社会化ではなく、みんな一緒にいてもいい社会化を進めて欲しいですね。きょうだいや他の犬種の仲間とも遊べるような環境を用意してあげて欲しい」
 「ペットショップに行くと、こういう犬種がいついつ生まれますよ、という情報がおいてあって、ペットを飼いたいと思っている人はその情報をもとにブリーダーのところへ足を運んで購入する、ペットショップは紹介料を受け取る、というような仕組みも考えてみてはどうでしょうか」

那須塩原で家庭犬インストラクター養成中

佐良直美さんのプロフィール 1945年、東京生まれ。67年歌手デビュー、69年「いいじゃないの幸せならば」で日本レコード大賞受賞。83年、那須に移住し、家庭犬インストラクターとなり、93年にしつけ教室やペットに関するコンサルティングを手掛けるA・F・Cを創設。犬猫の保護活動をNPOとして独立させることも計画している。A・F・Cは、犬を初めて飼う人向けの初級クラスからオビディエンスやアジリティの競技会を目指す人向けのクラス、セミナーまでプログラムを多数用意しています。佐良さんが会長を務める一般社団法人優良家庭犬普及協会はグッドシチズンテスト(家庭犬とその飼い主の認定試験)や各種オンライン講座も開催しているほか、横浜市(ペットエコ横浜都筑店内)でしつけ教室も運営しています。著書に「動物の神様に生かされて」

ペットパーク通信は一般社団法人ペットパーク流通協会が発行する機関誌です。全国の主要なブリーダー、ペット店、動物愛護センター等の行政機関に配布されています。


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