見出し画像

「不法投棄と解される可能性が非常に高い」昨秋、町役場が神石高原町ティアガルテン指定管理者に改善を指導

「不法投棄なし」強調する質疑応答

 神石高原町議会広報誌「みんなの町議会」第65号(2021年1月15日発行)に、私が2020年9月に神石高原町役場など関係機関に通報した仙養ヶ原森林公園(神石高原ティアガルテン)のゴミ不法投棄疑惑をめぐる質疑応答の要約が掲載されています。

画像1

 12月8日開催の12月定例会一般質問でのやり取りです。広報誌からそのまま引用します。

 問 寄定秀幸議員 仙養ヶ原へのごみの不法投棄はあったのか。事実関係を毅然と情報発信すべきでは。

 答 入江嘉則町長 不法投棄ではない。仙養ヶ原森林公園から発生する剪定枝葉や枯れ木・雑草など、公園を維持管理する際に発生する有機物などを、園内で処理活用するための置き場である。通報者は、枯れ枝など木質有機物を、ごみの不法投棄として通報した。警察も現地を確認し、不法投棄ではないとして処理した。自治振興会を通し真実を伝える。

 町有地の公園です。指定管理者である同名の株式会社神石高原ティアガルテン(河相道夫社長)をかばってあげたい気持ちもあるのでしょう。わざわざ「自治振興会」を持ち出すところは、地元住民から説明を求める声が出ないよう予防線を張っているような印象を受けます。

 町役場は「不法投棄ではない」という扱いで押し切るのですが、ことはそう簡単なものではありません。

 経過はFacebook投稿(2020/9/23)やnote等への投稿で紹介していますが、いま一度、振り返ってみます。

町役場の「苦情処理整理簿」を読む

 議会答弁の中の「通報者」は私のことです。昨年11月の町長選で入江氏と戦った前町議会議員だという噂を意図的に流す人がいたようですが、事実ではありません。先に紹介した質疑応答は議会広報用の要約であるとしてもかなり端折っているようなので、行政文書の開示請求をして神石高原町役場から入手した「苦情等処理整理簿」から真実を正確に紹介することといたしましょう。

 町役場が私からの通報を受け取ったのは9月18日(金)午前8時30分とあります。「神石高原ティアガルテン内において土砂や草、枝葉、木板等の不法投棄がなされている」という通報だったと記録されています。
 
 実際には午前6時44分に町役場と広島県に電子メールで通報しています。添付した写真で確認できるようにビニールシートなども混在しています。

画像2


 
 そして役場の始業時間に電話をかけて環境衛生課に通報が届いたことを確認しました。それが8時30分です。さらに同日開催された町議会本会議を傍聴した際、同課を訪問し、課長ら2名に会って、「提供した写真以外にも投棄現場がある」という地元住民の声も参考情報として伝えました。

 課長は「現場を確認しなければならない」と即断、その直後に部下の係長を現場に派遣していたことがこの文書で確認できました。

指定管理者「置いていた」と説明


 整理簿によると、役場の環境衛生課の係長が午前11時には現場に到着し、仙養ヶ原森林公園の指定管理者である神石高原ティアガルテン職員立ち合いのもと、現地を確認していました。

 「草、枝葉については、園内整備により出たものを置いているものである。土砂については園内のほかの場所にあったものを移動させたものだった気がする。木板についてはよくわからない」とティアガルテン職員は係長に説明したそうです。

 また、「通報では山積みとなっていた土砂は昨夜(9月17日夜)からの降雨により崩壊、流出していた」ということです。文書に記載はありませんが、ビニールごみ(廃プラスチック)も確認しているはずです。

 町係長が「他にはないか」と確認すると、神石高原ティアガルテン側から「ある」という回答があったそうです。係長はもう一つの現場にも確認に向かい、「その箇所も同様に枝木、草等が雑然と置かれていた。さらに、この箇所付近において、炭、灰を入れている穴が存在した」と記録しています。18日の調査は状況確認のみで、是非の判断は示していません。

ビニールごみ、公園利用者が捨てた?

 町役場は翌週9月25日にも広島県東部厚生環境事務所福山支所衛生環境課と共同で再度現地を調査しました。町役場は環境衛生課長、神石高原ティアガルテン社と仙養ヶ原森林公園の指定管理契約を結んだ窓口のまちづくり推進課長も参加しました。

 神石高原ティアガルテンの説明は以下の通りです。

 「草、木は園内の整備や雪折れの枝等であり、堆肥等への利用を考え一時保管のつもりで置いていた。園内で花、木の植栽計画がありこれに使用する計画であったが遅れている。ビニール等はティアガルテンの職員は捨てたりしない。木の板についても同様である。利用者による投棄の可能性が高い。砂は購入したもので、芝生の目土に利用するために置いていた」

 「ティアガルテンでのごみ処理については、産廃、金属の各々の専門業者により処理を行っている」

 「炭、灰については以前、別場所に置いての保管時に出火したことがあるため、安全のために穴を掘り保管していた。保管後は園内の農園等で再利用を考えていた」

町役場「保存の仕方が問題」と指摘

 聞取りの後、現地を再度確認し、その結果、町役場は「保管の仕方がよくないため、不法投棄と解される可能性が非常に高いと判断した」ということです。また「再利用が目的であるならば、資源として分かるような保管の実施、及び今後の再利用について計画書を提出するよう指導した」とも記しています。

 さらに県環境事務所からは次の2点の指導がありました。

 「炭、灰については、火災対策とはいえ土中への保管は望ましくないため、他の方法による保管を検討するとともに、廃棄物として業者による処理を行うこと」

 「管理地内において廃プラスチック類の放置のないよう管理を行うこと」

 以上が、町の行政文書に記されている真実です。指定管理者・神石高原ティアガルテン社は県からも町からも行政指導や助言を受けて、法令違反にならないよう改善措置を講じたのです。

 参考としてこれも情報開示請求により入手した2020年9月25日の県環境事務所の調査記録によれば、指定管理者の神石高原ティアガルテンは、見晴らしをよくするため2018年11月から3月にかけて樹木を伐採し、その跡地を農園にするつもりだったものの、町有地であり断念した説明したようです。「枝木はチップ化、堆肥化しようと考えていた」というものの、「現時点ではチップ化する機会は所有していない」とも説明しています。

県も廃プラスチック適正処理など指導

 県環境事務所の指導事項を県の文書のまま紹介すれば、以下の通りです。

 「廃棄物であるビニール(廃プラスチック)を放置せず、処理業者に委託するなど適正処理を行うこと」

 「炭や灰に関しては、汚水の地下浸透にもつながることを考慮し、堀った穴に保管しないこと」

 さらに助言として「木屑については、解体工事や木製品製造業等から出るもの以外は一般廃棄物になる。町の指示に従うこと」と伝えました。解体工事現場などででる木屑は産業廃棄物となり県が所管します。公園内で発生するものは一般廃棄物扱いなので、所管の町役場が改善を指示するので、それに従うようにという意味です。

 そして、土地の利用法を伝えもせず、リサイクルの計画も立てていない状況では、先に整理簿の内容を紹介したように「不法投棄と解される可能性が非常に高い」と判断できるため、町役場はその状況を改善するために堆肥化などの計画をまとめるよう指示したわけです。

 つまり、「不法投棄とみられても解される可能性が非常に高い」状態が解消されたのは、県と町が現地で確認して、改善を指導した結果です。入江町長の答弁はその点の説明を省略して、あたかも最初から不法投棄の疑惑などなかったかのようないいぶりです。

必要な第三者の監視

 県や町への通報時に提供した現場写真は、実は私から冒頭の寄定議員にも9月19日に送付しています。その時、寄定議員からも「情報提供ありがとうございます。調査し対応します」という返事をいただいています。寄定議員もその時点から調査をしているので、県環境事務所や町役場環境衛生課の調査の経過やその内容を十分にご存じのはずです。

 議員はどうして「不法投棄と解される可能性が非常に高い」と判断される状態のまま指定管理者が放置していた問題を解明しないのでしょう?指定管理者の神石高原ティアガルテン社は、町にも計画を知らせず、森を伐採して、不法投棄とみられてもやむを得ないような「置き場」を作っていたのです。

 昨年暮れ、どのくらいの数量の「再利用資源」が神石高原ティアガルテン内に置かれていたのか町役場に質問を送ったところ、「剪定枝葉等の発生量は約250立法メートル」とする回答がありました。指定管理者から町役場に利用計画が提出されていて、「木材等をチップ等に加工し,公園緑地の維持管理等に利活用する」ということです。

 地元住民の告発があり、それを受けて私が関係機関、特に県環境事務所や広島県警福山北署に通報していなければ、どうだったでしょう?証拠写真があるため、町役場も見て見ぬふりはできなかったでしょう。しかし、町役場単独で、指定管理者である神石高原ティアガルテンに対して十分に指導できたでしょうか?

 町有地を地元の指定管理者が利用してビジネスを行うという事情など忖度する必要のない県の組織が関わったからこそ、事実を客観的に調べて、必要な改善措置を求めることができたのではないかと私は思うのです。住民を含めて第三者による監視はとても大切です。

 それにしても250立法メートルという容積は決して小さなものではありません。どのようにしてリサイクル事業を進めるのか、次はその計画の情報公開を求めてみたいと思います。


いいなと思ったら応援しよう!