大間漁協、マグロ漁獲未報告4トン修正~違反者に「操業停止1か月」「罰金50万円」という独自制裁も?
青森県の大間漁業協同組合が今年2月15日に作成した「クロマグロの採捕修正報告について」と題する文書を入手しました。
「令和3年7月から9月にかけ一部の漁業者による漁獲報告漏れ(未報告)が発覚しました」
そんな書き出しから始まる文書の宛先は「クロマグロ協定管理委員長」です。青森県内の漁協が参加し、県水産振興課の助言を受けつつ県漁連が事務局を務める「くろまぐろ管理協定委員会」にあてたものとみられます。
クロマグロを漁獲しながら青森県への漁獲数量の報告を怠っていた漁業者に対して調査を行った結果、17人、合計4283キログラム(4.8トン)の未報告がありました。魚体の数にすると71本(尾)でした。
未報告は「本人が漁協から指導を受けておらず、報告義務を知らなかったこと等が原因である」と説明しています。
再発防止策として、漁協はマグロ漁業者に資源管理のあり方を再度指導し、正しい漁獲状況の把握に努め、期限内に正しい漁獲量を報告するよう厳しく指導する、としています。2月7日開催の理事会でクロマグロ未報告のペナルティについて審議したものの、結論がでず、3月に再度審議する、ということです。
結論がでなかったとされるペナルティと同一のものかどうかは不明ですが、文末に「まぐろ操業者会議の決議事項に基づいて、採捕の報告に違反した者について、最高50万円また1か月の操業停止、漁獲物の没収の罰則に処します」と記しています。
ここでいう罰則はあくまで地元の漁業者らが取り決める自主的な制裁です。これとは別に、漁業法では漁獲量の報告義務違反は最高で懲役6カ月、罰金30万円が科せられます。
2021年9月、大間の民間出荷業者2社が静岡市中央卸売市場に出荷した約30トンの大間産クロマグロが漁獲報告を済ませたものかどうか、水産庁が青森県に調査するよう指導していました。市場統計からは確認できませんが、同年8月にも9月に匹敵する規模の大量の大間産クロマグロの出荷があったもようで、現在、静岡市が荷受会社などに対する調査を進めているもようです。
静岡市場に出荷された大間マグロを流通業者を経由して買い付けた回転寿司大手のスシローも現在、このマグロが漁獲枠の中で獲られた合法的なものか、それとも枠外のヤミ漁獲によるものかを確認しているところです。
青森県では12月下旬に出荷業者立ち合いのもと漁業者を個別に呼び出して事情聴取しました。その際に確認されたものについて、管理委員会に報告するよう県水産振興課が漁協に要請したようです。
修正報告が4トン余りというその内容が不正確なためなのか、それとも漁業法上の処分方針が決まっていないためなのか、理由は不明ですが、現在においてもその内容は公表されていません。