国家戦略特区提案、自作自演?WG座長代理・原英史氏は森議員の質問に国会で回答を

 国家戦略特区ワーキンググループ(WG)原英史座長代理(政策工房社長)は忙しい日程をやり繰りしてでも国会に参考人として出席して、自らに投げかけられた疑問に答えたほうがいいのではないでしょうか。

 きょう(7日)の参議院農林水産委員会での森ゆうこ議員による内閣府や水産庁への質問を聞いていて、原氏には答える責任があると思いました。

 毎日新聞が報道した原氏の知人の会社への真珠養殖業者からのコンサルタント料支払いも問題ですが、原氏自身が代表を務める団体の戦略特区への提案(外国人材受け入れ)を原氏だけが委員としてWGに出て、関係省庁からヒアリングをしていたことを知って、あきれてしまいました。

 元経産官僚で政策コンサルタントでもある原氏は、外国人材受け入れの拡大を提案してきた一般社団法人外国人雇用協議会の代表理事という顔もあります。堺屋太一氏と共同で代表を務めていたのです。

 
 ところが2016年12月6日、その協議会から国家戦略特区に寄せられた提案などについて、9人もいるWG委員のうち原氏たった一人でヒアリングしていました。森議員が「自作自演ではないか」と指摘するのも当然かもしれません。

 私も日経記者時代、国家戦略特区を継続して取材していて、原氏が外国人雇用協議会に役員としてかかわっていることに気づいていましたが、当時は議事要旨の公開が遅れて、1日にいくつもヒアリングをこなすWGの会合のどれにそれぞれの委員が出席したかをつかめないことも多く、調べきれませんでした。

 森氏の調査によると、やはり外国人雇用協議会を呼んでヒアリングを実施した2016年11月24日のWG会合では、WG委員の出席者は八田達夫座長1人となっていて、原氏の名前はありません。

 しかし、議事要旨の中で、「今、原さんがおっしゃったように」と、明らかに原氏の発言を受けて八田氏が意見を述べる記述がありました。森氏はそれを記録の改ざん、隠蔽だと指摘したところ、内閣府の事務局は「原氏に聞いて、部屋にいたようだが、どういう立場かはわからない」などしどろもどろでした。大塚卓内閣府副大臣も「原さんは、後ろの方で物理的な声を出したのかもしれない」と珍妙な答弁でした。

 この審議のあとで原氏は自分の投稿で、オブザーバーとして部屋にいたと書いているのですが、それならもっと詳しく内閣府に説明してあげればいいのに、副大臣たちもお気の毒です。

 それにしても「物理的な声」とは大塚副大臣もなかなかしゃれた答弁をされたものです。

 利害関係者として本来なら会議室も退出すべきですが、委員席から後ろの方に移ったということは、利害関係者としての自覚はあったに違いありません。なんとも理解しがたい対応で、文書を消したり、書き換えたりしていると疑われても仕方がないでしょう。

 なんとか取り繕おうとする姿勢が痛いほど伝わってきます。

 岩盤規制をぶち破るという国家戦略特区には、私も大いに期待をしていたのですが、どうもテクニカルな話題ばかりが多くて、首相への忖度が問題になった案件もあるものの、どれもこれも小粒。大賑わいは不動産の再開発プロジェクトくらいでしょうか。構造改革の特区と規制改革推進会議があれば、国家戦略特区などなくてもいいのではないかと思うこの頃です。


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