岡山県開示文書から読むピースワンコの諸問題⑨地権者が断り白紙~「犬のサファリ」候補地は愛媛県上島町の佐島だった!
PWJは2度、岡山県に説明
認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が2019年4月、岡山県動物愛護センターによる西山犬舎(岡山県高梁市)立ち入り検査を受けた際に説明したという「四国地方の有人島」での「犬のサファリパーク」計画について最後にもう一度取り上げます。
PWJの保護犬事業、ピースワンコの西山犬舎担当者は、岡山県動物愛護センターには2度、この計画らしきものを説明していました。
収容能力オーバーで焦り
最初は2018年8月2日です。
西山犬舎を訪れた愛護センター職員に「四国にあらたな施設を建設予定である」と伝えています。具体的な場所は明らかにしなかったようです。
その時点では広島県警がPWJを狂犬病予防法違反容疑で捜査していることも公表され、広島県健康福祉局は副知事の指示を仰ぎながらPWJ/ピースワンコへの保護犬の引き渡しを減らしていく方策を検討していた時期です。
本拠地の神石高原町での収容施設も手狭になり、岡山県高梁市の西山地区の犬舎増設が一気に加速する時期でした。岡山県高梁市の次は四国です。収容能力が限界を超えて、焦っていたのでしょう。岡山県動物愛護センターの担当者は、広島県の犬を安易に県外へ持ち出そうとするPWJや広島県の姿勢に対する疑念を抱いたことでしょう。
発案者は大西健丞氏?
2度目は2019年4月15日です。
西山地区の堆肥場跡地犬舎の収容能力を最大400頭分に増設した際、検査に訪れた愛護センター職員に「今後の計画として、四国地方の有人島に犬のサファリパークを検討している」「避妊去勢した犬が対象であり、増えることはない」などと説明しています。
サファリパークという言葉からは、ふつう、放し飼いされている野生の動物を自動車に乗って見物して回る公園を思い浮かべます。犬舎に閉じ込めて飼うのも手間がかかるから放し飼いにしてしまおうという発想なのでしょうか?
岡山県の行政文書に記録されている通り、ピースワンコが「サファリパーク」と表現したのなら、その最高責任者である大西健丞代表理事に、いったいどんな公園をイメージしたものなのか説明してもらいたい気がします。
犬のサファリパークについてnoteで紹介したところ、愛媛県上島町の複数の町議会議員さんから「佐島で頓挫した計画のことだろう」という情報提供がありました。発案者は大西健丞代表理事とされ、その代理人のような立場にある元上島町役場幹部が関係方面の説得に歩いたそうです。
佐島は、上島町の中心である弓削島と生名島の間にあり、両島と橋で結ばれています。
所有者は営農継続を希望
情報をもとに調べていくと、PWJは佐島の農地を借りて犬のシェルターやドッグランを作ることを準備していたようです。候補地は柑橘類を栽培する畑だったようです。PWJの大西健丞代表理事と親しい元役場職員が畑の所有者に話を持ちかけたとされています。持ち主は営農継続を理由に断ったそうです。
計画書類などは入手できませんでしたが、どうやら周囲を柵で囲って、ドッグランを中心とする犬のシェルターとし、営農も継続して構わないとする説明だったようです。
しかし、ミカン畑とドッグランの併用はなかなか難しいのではないでしょうか。大西健丞さんは、PWJのピースワンコ担当理事でもある英キングス・カレッジ・ロンドン教授(公衆衛生学)の渋谷健司さんとも話し合って、犬の健康管理面への影響を含め公衆衛生上問題がないかよく調べてみたほうがよさそうです。
あやふや事業が多くふるさと納税支援中止
上島町内でこの話題が浮上したのは2年くらい前のことといいます。時期的にも岡山県動物愛護センターの立ち入り検査記録に記載されているものとほぼ一致します。PWJのいつものあやふやな事業計画の1つだったのでしょう。
ちなみに、PWJは上島町でも「ふるさと納税」で支援を受けるNPOの1つとして認定されています。しかし、ピースワラベ国際高等学校の開校(2020年目標)など多くの事業が看板倒れに終わりそうで、上島町役場内でもPWJとの関係を見直す動きが加速しています。
同町の条例では、町内に「主たる事務所」を置くNPOに限って「ふるさと納税」による支援をすることになっているのに、広島県のNPOであるPWJを支援対象とすることには疑義も生じていました。12月15日開催の町議会で、上島町は2021年度からはPWJをふるさと納税の支援対象から除外する方針を明らかにしています。