資金繰りピンチ!認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン⑤借金返済の重圧、寄付金の一部も充当か?
9、身内との取引、自制が必要
PWJの報告書を読むと、相変わらず身内の団体、個人に対する便宜供与がはびこっているようです。
大西健丞氏が代表理事を務める身内の団体、NPO法人・瀬戸内アートプラットフォームには2015年9月に6千万円(2020年1月期末の残額は1千万円)、NPO法人・アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)には2018年5月に2千万円を貸し付けています。
個人では、PWJ正会員で幹部社員でもある國田博史氏に2019年5月に300万円を年利2%程度でおよそ50日間貸し付けていました。
担保の有無は不明ですが、金利は銀行の個人向けローンよりも有利な条件ですね。
瀬戸内アートプラットフォームは借りたお金で、人手に渡っていた大西氏創業の高級ヴィラ風の音(豊島ゲストハウス)を買い戻したのですが、ふるさと納税からの交付金をもらっても事業として成り立たず、先に紹介したように投資家・村上世彰氏のグループ会社に買い取ってもらっています。
身内への融資は事業計画や信用力の審査がおろそかになってしまう恐れがあり、できる限り自粛すべきものです。
役務の提供という点では、新型コロナ問題でテレビなどのインタビューに登場した在英の公衆衛生学者・渋谷健司理事に28万7588円を2019年2月から4月までの間の「ヘルス政策提言事業外注費」として支払っています。
渋谷氏には2018年度に同じ事業で574万353円を支払っていて、その仕上げ部分に相当するものとみられています。内容がわからないので金額にふさわしい内容であるかどうかも現時点では検証が困難です。
無報酬の役員に対し、所得の機会を提供する狙いがあったのかもしれないと私は疑っています。渋谷氏も理事として説明責任を負っているはずです。
そして大西健丞氏の夫人である大西純子氏にも年間40万5014円を「捜索救助活動及び訓練参加業務外注費」という名目で支払っています。ちなみに2018年度も同じ名目で26万7288円を支払っています。
増え続ける保護犬に法令通りに狂犬病予防注射を打つことができず、狂犬病予防法違反に問われたピースワンコ事業責任者の立場を大西純子氏はすでに退いていていますが、いまなおピースワンコに関わり続けていることを示す支出です。
犬好きの夫人に趣味と実益が一致する機会をPWJが提供しているわけで、幸せなお方ですね。
10、負債15億円、どう返すのか?
「特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)では、ご寄付額の最大15%を日本国内における費用(事務所の管理運営費、調査・提言活動のための費用など)に活用させていただいています」
寄付を募るPWJのサイトにはそんな注意書きも掲げられています。寄付が全額、目的の事業に使われるわけではありません。「一般管理費」とも呼んでいるようですが、あらかじめ15%を上限にPWJの金庫にしまっておいて、必要と思う支出に使うことができるようにしているのです。
神石高原町の「ふるさと納税」によるNPO支援交付金を例にとってみましょう。PWJは2018年度に保護犬活動のほか、花粉症対策の森づくり事業も実施する計画でした。ふるさと納税に集まった寄付から130万円を交付金として町役場から受け取りました。
その交付金の15%に相当する19万5千円を直接の事業費から切り離すかたちでPWJの財産に取り込んでいます。
その年の花粉症事業への事業支出は一般管理費を除くと、広告宣伝費、打ち合わせ旅費、返礼品を合計しても30万円あまりで、前の年度からの繰越金もあったため、108万円を翌年度に繰り越すことになっていました。
実際の事業はほとんど進まないのに、PWJには一般管理費が実質的な「もうけ」として懐に入ってくるわけです。
寄付金などによる事業規模が10億円を超すピースワンコ事業になると、一般管理費として留保できる金額は1億円以上の規模になります。
こうした一般管理費が実際にどのようい使われているのかは、PWJの決算資料を読んだだけではわかりません。
JICA役員級に匹敵するような報酬を支払う財源になっているかもしれませんし、スタッフの質を高めるための講習会などを開催する費用になっているかもしれません。
あるいは、失敗に終わりましたが、愛媛県上島町でのヴィラ風の音(豊島ゲストハウス)の買い戻し、再活用事業などの赤字を補填する財源に使われることもあるのかもしれません。
認定NPOであるPWJの収入は助成金や寄付金に依存しています。
PWJの負債は2020年1月期末で15億円超に膨らんでいて、それを返済していくにも助成金や寄付金の一部を「一般管理費」としてとりおいて、返済財源にするのでしょうか?
ずさんな事業を整理しなければ、本来届くべき現場に寄付や助成金が少なくなってしまいそうで、心配です。(このシリーズは終わり)
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