そこが知りたい!赤字でも「2千万円寄付」〜NPO法人瀬戸内アートプラットフォームの不思議な会計
お金に困っている団体なのに、いったいどんな目的で誰に2000万円を寄付したのでしょう?
NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の観光事業部門、NPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、神石高原町、大西健丞理事長)の2018 年度の事業報告を読んで、一番の謎はそこです。
SAPFの実務を取り仕切るPWJ大西代表の側近、國田博史氏(元朝日新聞政治部記者)に質問を送りましたが、返事がありません。聞けば、ああそういうことかぁ、と納得できる場合も多いのですが、万年赤字団体SAPFによる寄付については、まだ謎を解く手がかりすらありません。
NPO法人の会計処理に詳しい方がいれば、解読にお知恵をお借りしたいくらいです。
このNPOの決算書類は、広島県のNPO法人情報サイトで過去5年分が公表されています。広島県神石高原町と愛媛県上島町の両方から、ふるさと納税の交付金をもらって活動する団体です。
2018年度は会費と交付金収入あわせて469万円です。前期から繰り越した正味財産はマイナス2368万円、つまりふつうの会社だったら倒産しても不思議ではない状態でした。
ふるさと納税高額寄付者を招待するためのゲストハウスの運営などにかかった事業費は282万円ですから、人件費などは親会社のようなPWJにでも持ってもらっているのだと思います。
それだけで済めば、単年度で黒字になりそうなものですが、支払い利息が237万円もあり、これで経常赤字は確定です。そこからさらに2000万円を寄付して、正味財産のマイナスはさらに2141万円膨らんでしまっています。
すでにnoteの記事で何度か触れましたが、SAPFは2019年度、神石高原町でのふるさと納税交付金をあてにした事業申請を取り下げています。事実上は2018年度から事業を休止中です。
愛媛県上島町では、まだふるさと納税交付金をもらう団体に登録されているのですが、2018 年度までのようにプロジェクトを提示して寄付を集めるガバメント・クラウドファンディング(GCF)は今年度行っていないようです。
PWJ/SAPF集団は、2020年をメドに上島町や神石高原町にPWJグローバルシチズン・スクール、つまり全寮制の国際高校をつくる計画を公表していました。そのための準備活動のために寄付を募ってきました。
2千万円の寄付とともに、この「全寮制国際校」の開設準備状況も知りたいところです。「ピースワラベ」というプロジェクト名だそうです。PWJ/SAPFへの交付金のもとになっている善意の寄付が無駄になっていないか気がかりです。
神石高原町まちづくり推進課長さんにそんな話をしたところ、「神石高原町にはもうすぐ立派な国際学校ができますよ」というので、まさかと思って聞き直したら、あの有名な小学生向け「神石インターナショナルスクール」のことをおっしゃっているようでした。(^O^)
https://jinsekikogen.co.jp/ja/
運営する学校法人神石高原学園は、さぞかし困惑することでしょう。
香川県アートの島、豊島(てしま)と混同する人も多い愛媛県の豊島(とよしま)での美術館作り。神石高原町や上島町での全寮制国際校計画。PWJ/SAPFが寄付を募るプロジェクトは、先行する優良品と誤認してしまいそうなものがあって、困惑しますね(〃ω〃)
実際、そんな問い合わせが筆者の元にも寄せられました。みなさん詳しく識別しているわけではない場合が多く、勘違いも生まれます。
意図しなくとも「優良誤認」が生じる場合もあることでしょう。過去に数々の詐欺事件が優良誤認により行われていますので、ここは工夫が必要です。ふるさと納税の寄付を募る側や看板を貸す自治体が、誤認しないよう積極的に注意喚起してもいいと思いました。
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