ここが知りたい!ピースウィンズ・ジャパン「内輪の人々」とのおカネの流れ④債務超過からの脱出を助けた「美術品」鑑定評価
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資産の総額0円(債務超過額4991万2018円)
平成30年1月31日変更 平成30 年5月20日登記**
2018年7月12日付で発行されたNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の履歴事項全部証明書にはそう書き込まれていました。
つまり2018年1月期は債務超過でしたという届出です。
それにしても急激な財務内容の悪化でした。
主たる事務所を東京都から広島県に移転した際の認定NPO申請書類に添付された証明書には、2014年1月31日時点の資産の総額は金8億4744万4305円とありました。
それが2015年1月末に4億9248万1139円
さらに2016年1月末に3億464万6224円
続いて2017年1月末に2億3025万9533円
坂を転がり落ちるように、資産が目減りしていたのです。
PWJの保護犬部門、ピースワンコが殺処分対象の犬を全頭引き取ると宣言したのは2016年4月です。
財務内容の悪化は、それ以前から進んでいます。
ピースワンコのスタッフの増員、犬舎の建設など費用が増大しています。しかし、ふるさと納税による交付金などピースワンコ事業への寄付も激増したので、他部門が赤字でもピースワンコ部門はずっと黒字が続いているのです。
PWJの財務内容を悪化させているのは、ワンコ事業ではなくて、地域再生(地域創生)などと呼ばれる事業です。
2019年1月期、PWJの経常損益は1412万円の黒字となりましたが、国や国際機関からの助成金が多い国際援助活動や寄付金がたくさん集まる保護犬事業の収支は大幅な黒字です。
グラフを見てください。効果的な援助システムや社会制度を考える事業や管理部門を別とすれば、収益の足を引っ張っているのは地域創生事業であることがはっきりします。
2018年1月期末の債務超過を解消するには1400万円あまりの黒字では足りません。その穴を埋めたのは、愛媛県上島町の離島、豊島でPWJが期間限定で一般公開している現代アート作家、ゲルハルト・リヒターのガラス作品の鑑定評価額でした。
鑑定で4億以上の価値が認められ、それが前期損益修正益として計上されたので、その他の経常外費用や税金を差し引いても合計3億8千万円以上の利益が出て、次期繰越正味財産額は3億3486万円となり、債務超過を脱することができました。
リヒター作品という隠し玉を使い切ったいま、PWJが頼るのは、融資に慎重な金融機関に代わって債権者として存在感を増しているかつて村上ファンドで一世を風靡した投資家、村上世彰氏やその娘の絢氏が運営する投資会社や財団の資金しかない、と思えます。
大西氏はいま、大スポンサーである村上世彰氏が設立した一般財団法人村上財団の理事を務めています。村上氏に感化され、村上氏の考えをNPOの後輩たちに広めているということです。