2013-16年に開催された日経ソーシャルイニシアチブ大賞ファイナリスト一覧表を眺めて思うこと
一覧表の赤字は、2度以上、ファイナリストに選出されたNPOです。国際部門は応募団体の中に有力組織が少ないのか一度選に漏れても同じ顔ぶれが再登場するケースが多かったようです。
以前にも紹介した通り、狂犬病予防法違反などで代表理事の大西健丞氏らが書類送検されているNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は2016年に最高賞の大賞を受賞しました。国内部門としては珍しく2度目のチャレンジでつかんだ栄冠です。
大賞事務局をスタート前の2012年から2016年の第4回終了まで担当したのが、広報コンサルタントのソーシャルピーアール・パートナーズ(SPP、2015年7月設立)代表取締役の若林直子氏です。PWJもクライアントです。
ご本人がSNSで公開していた職歴によると、PWJとの仕事は2016年8月1日から始まっています。そして、PWJの大賞決定は同年5月25日、表彰式が6月27日、授賞式の模様などを日経関連サイトで公開したのが7月29日です。
つまり、7月29日(金)に日経での仕事を仕上げて、8月1日(月)からは、あらかじめ設立済みの個人会社でPWJをクライアントに迎えて広報業務を担当しているわけです。とても手際の良い転職です。事務局勤務中から個人会社を作って、クライアント探しを進めていたのでしょう。以前の日経なら「公私混同」を招きかねない行為は固く禁じていたはずなのですが・・・。日本経済新聞社広報室にも質問していますが、この件には回答がありませんでした。
ファイナリスト一覧を眺めると、いろいろなことがわかります。若林氏の元勤務先やSPP関係先などが5つほどあります。仲良しが応募したのか、応募団体が仲良しになったのか。よくわかりません。協賛企業の1つ伊藤忠商事の子会社関係者もSPP社の顧問です。
認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)は若林氏が以前に広報を務めていた団体のようですが、2013年時点の年報を見ると、なんと日経ソーシャルイニシアティブ大賞の責任者である日経役員の酒井綱一郎氏がJCV理事を務めているではありませんか!
せっかくのファイナリスト選出もお手盛りと言われてしまうかも知れません。審査員たちに日経関係者との利害関係を伝えていたのでしょうか?ふつうなら主催側関係者が役職を返上するか、応募自体を自粛してもらうことが好ましいはずです。
とはいえ大賞の選考にあたるのは審査員たちです。事務局はあくまでそのお手伝いに過ぎません。主催した日本経済新聞社広報室は「日経ソーシャルイニシアチブ大賞においては厳正かつ公平な審査を行いました」とコメントしています。
裏方である事務局周辺の人間模様はともかく、元社員として、審査員の判断は公正なものだったことを信じたいと思います。しかし、日経となんの関わりももたない人はなんと思うでしょうね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?