「廃棄物処理を適切に」〜神石高原ティアガルテンを広島県と神石高原町が行政指導、リサイクル計画作成も求める
1、県が調査記録をほぼ全面的に開示
ピースワンコの本部やドッグランがある広島県神石高原町の仙養ヶ原森林公園(神石高原ティアガルテン)のゴミ不法投棄疑惑を調べた広島県東部厚生環境事務所福山支所と神石高原町の共同立ち入り調査記録を、県の情報公開制度を利用して入手しました。
調査対象は公園内に3カ所もあったということで、ゴミの不適切な取り扱いが確認され、県と町がそれぞれ指導と助言を行っています。外部からの通報で県などの調査が入らなければ、適切なゴミの分別、リサイクル利用がなされないまま公園の一部敷地が無許可ゴミ施設になっていたかもしれません。
2、公園に農園も作ろうとした?
県と町の共同立ち入り調査は9月25日に行われ、町有地の公園の指定管理者である株式会社神石高原ティアガルテンからも事情を聞きました。
地元住民から私が教わった現場①は、キャンプ場や付近です。2年前の冬に神石高原ティアガルテン社が見晴らしをよくしようと考えて、業者に樹木を伐採させたそうで、放置されていた枝木は「チップ化、堆肥化しようと考えていた」ということです。しかし、チップ化する機械は保有していませんでした。
伐採後の土地で農園を営業することも考えたものの、「町有地であることから、難しいということになった」と管理会社側は説明しています。町に無断で森を伐採していたのでしょうか?
3、ビニールごみは「客が捨てた」
地元住民から相談を受けて筆者が現場①の状況を通報した時点では、板やビニールなども混雑していましたが、県が調査に赴いた時点では撤去されていたそうです。
板は台風被害で発生したものらしく、管理会社は「どこから発生したかわからない」といい、ビニールごみも「当社は捨てていない。キャンプ場から近いのでお客様が捨てた可能性がある」と主張したようです。
4、穴を掘って灰や炭を捨てた現場②は、現場①に「枝木等を置いておくと景観が損なわれるため」という理由で2019年から利用しているそうです。雪害による倒木も混じっているそうです。県などの調査時点では枝木以外は見当たらなかったそうですが、筆者が10月下旬に訪問した際、ここにもプラスチックゴミが捨てられていました。
現場③は、現場②の付近のようですが、筆者は未確認です。管理会社は「お客様がキャンプ場やバーベキュー場などで使用した炭や灰は安全のため引き取っている」「別の場所で保管していたが、火がついたこともあったため、穴を掘って保管するようになった」「保管した灰や炭は有効利用と思い、畑に撒いたことがある」などと説明しています。
5、地下水汚染のおそれも
現地調査を踏まえて、県はビニール(プラスチック類)は廃棄物であり放置せずに処理業者に委託するなど適正処理を行うよう指導しました。また、炭や灰は汚水の地下浸透につながりかねないので掘った穴に保管しないこと、灰は廃棄物として処理することも指導しています。
枝木等の木屑は、この公園から排出されている限り産業廃棄物ではなく一般廃棄物にあたるため、所管は県ではなく町役場になるということです。そこで町役場は、木屑やそれらを放置していた土地の利用方法などについて計画書を作り、役場の環境衛生課に提出するよう指導しました。
町は「有価物であるのなら、分別を行い、有価物とわかるよう保管すること」も管理会社に助言したということです。
6、人手不足で完全管理は困難
神石高原ティアガルテン社はFacebook上で「ゴミとして出すとしたら大量の処分料が発生する」「園内で使用するチップや堆肥として活用できるように取り組んでいる」などと釈明する半面、「中山間地域では人手不足で公園内全て完全に管理することは難しい」「ほとんどは除去していますが、どうしてもゴミが残ってしまいます」と開き直りのような主張も行っています。
現場①付近は農園にしようと思ったが断念したという説明には驚きましたが、この点を町役場に尋ねると、11月6日付で政策企画課から「(伐採は)樹木が生い茂っており、景観や眺望を改善する必要があったため、町に対して報告して実施したもので、農園など多目的に利用することも計画されている」という回答がありました。
現場②を筆者が訪れた時は、斜面を掘削してかなりの広さで整地が進んでいましたが、2019年に木屑の一時保管場所として使った時点では現地での樹木伐採や整地はしていないということです。今回は倒木などの置き場として樹木を伐採したということでしょう。
7、リサイクル計画、地元に説明を
もし、管理会社が木屑のチップ化など資源リサイクルの計画書を作ったのなら、この際、町役場は地元住民に公開してはどうでしょうか?
すでに土砂の下に埋もれてしまったものも相当量あるように見えます。県や町に対する神石高原ティアガルテン社の説明通りかどうか、樹木の伐採時期などを明確にして公表して地元の声を聞いてみると良いと思います。現地を歩くとさまざまなウワサがささやかれており、今後も調査を続けていこうと思います。