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岡山県開示文書で読むピースワンコの諸問題⑥県に無断で施設拡張し、頭数超過~ロッジ犬舎収容は「咬傷犬が大半」

1、本部から車で1時間離れた西山犬舎

 広島県神石高原町と岡山県高梁市は隣りあわせの位置にありますが、いずれも合併で行政区域は非常に広大です。認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が運営するピースワンコが神石高原町内に複数もつ犬舎(シェルター)間でも行き来に片道30分はかかります。高梁市にあるピースワンコ西山犬舎に行くには1時間はかかるでしょう。

 私が昨年初めて、神石高原町のピースワンコドッグランから車で西山犬舎を訪問した際も1時間余りかかりました。神石高原町の北にある広島県庄原市東城町を経て東に向かうと高梁市北部の旧・備中町西山地区にたどり着きます。

 人造湖「備中湖」を見下ろす高い丘の上にあるのが西山キャンプ場。キャンプ場の一部でもあった市有地に最初の犬舎(ロッジ犬舎)が完成したのは2017年8月でした。その年の暮れには収容頭数が上限50頭に達していたため、2018年4月、キャンプ場から2キロ離れた場所にある民有地(堆肥場跡地)にも犬舎(堆肥場跡地犬舎)を新設しています。

2、事前相談の要請を無視、発覚後に届け出

「最大50頭の施設であり、施設や頭数が増えるのであれば、事前に相談するように」

2017年12月26日にロッジ犬舎を立ち入り検査した岡山県動物愛護センターの職員は、ピースワンコの現地責任者にそう伝えたはずでした。しかし、2018年8月2日、ロッジ犬舎を再度検査したところ、ロッジ犬舎に収容していた犬の頭数は上限50頭を超えていたようです。

 県の検査記録には以下のように記されています。

 「7棟あるロッジの中を2部屋に区画し、飼養施設としていたため変更届及び施設の図面を早急に提出することを指示」(頭数の増及び施設の増設のための変更届)

 頭数は書かれていませんが、届出書に記載した上限50頭を超えたため、その変更届を出すよう岡山県がピースワンコを指導したのです。愛護センターは再確認のため8月7日にもピースワンコの責任者に電話をかけて変更届について説明をしています。

 ピースワンコ西山犬舎(ロッジ犬舎)の変更届出書は2018年8月7日付で提出されていますが、その中身を見ると、最大飼育保管数は従来の50頭から150頭へと3倍に増やす内容でした。そして、変更予定年月日は「(2018年)3月13日」と過去の日付になっています。県の検査で見つかって、提出を指導された事後的な届出だからです。

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3、譲渡困難な犬の収容、地元住民にも周知必要

 愛護センターの検査記録によると、この西山犬舎(ロッジ犬舎)にいた犬は「大半が咬傷犬であり、人に慣らす時間がかかると思われる。(大型犬が多く、気性がかなり荒い犬ばかりであった)」ということです。

 気性の荒い犬が多いことを考慮して、岡山県動物愛護センターは事故防止のため第三者が勝手に施設に入ることがないように施錠と管理を徹底するよう指導しました。

 筆者が昨年、西山地区のロッジ犬舎付近に行った時も、ピースワンコの仕事着を来た青年が犬をドッグランに放って遊ばせていました。その時、彼は「ここでは主に気性難(きしょうなん)の犬を飼っています」と説明してくれました。

 譲渡の見込みがなかなか立たない犬たちです。そうした犬たちは、神石高原町のショールームのようなピースワンコ本部の犬舎において訪問者に見せることもできず、遠い西山犬舎に送り込まれてくるのでしょう。まるで隔離病棟、収容所です。

 もし、この施設から逃げ出すことがあれば、人に危害を加える可能性は神石高原町のシェルターに収容する犬たちと比べて高いのではないでしょうか?そうした点も監督者である岡山県動物愛護センターやこの施設を受け入れた高梁市、観光振興組合はもっと地域住民に詳しく説明していく必要がありそうです。

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