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【塾運営】保護者は勉強に関して「素人」であることを忘れちゃいけない


私には1億円のバイオリンと5万円のバイオリンの違いが分かりません。

私にはフェラーリとランボルギーニの性能の違いが分かりません。

私には大谷翔平と松井秀喜のスイングの違いが分かりません。

なぜなら、素人だからです。

同様に、塾に通う生徒及び通わせている保護者も「あなた」の塾の凄さが分かりません。

なぜなら、

そう、

素人だからです。

「素人にはプロの凄さが分からない」

これが今回の投稿のテーマです。

1.素人はプロの凄さが分からない

塾でいうと生徒・保護者に分かるのはせいぜい「個別か集団か」「対面か映像か」ぐらいで、

その塾がどんな高価な教材を使っていても、

どんな素晴らしい実績があっても、

どんな崇高な理念を掲げていたとしても、

思ってるほど相手に伝わってない

ということを私たちは意識しなければなりません。

「うちはこんな素晴らしい学習環境が整ってます!」と言われても「へぇ」と関心を示してくれるのが関の山で、(そんなの塾だから当然じゃん…)で終わってしまうのがオチでしょう。

でも、

「あ、今日はなんだかニコニコ顔で帰ってきたな」

とか、

「お、家を出る時よりも元気だな。きっと塾でいいことあったんだろうな」

↑コレは誰よりも分かるのです。

つまり、保護者は「塾の凄さ」に関しては疎くても「我が子の変化」を察知する能力においてはプロ中のプロなのです。

私は、塾の良し悪しとはとどのつまりこういうところで決まるのだと思います。

もちろんより良い教材や実績や理念を追求していくことは大切です。しかしこれらはあくまでも必要条件であって十分条件ではありません。

大切なのはハード部分を充実させることではなく、それらを駆使していかに変化を実感してもらえるかです。

ではどうすればそれが実現できるのでしょうか。

そのカギを握るのが「コミュニケーション」だと私は思います。

「挨拶」「笑顔」「褒めること」は塾ごとにハッキリ差が出る

コミュニケーションといっても芸人さんのような巧みな話術で爆笑をかっさらったり強烈なエピソードトークをしたりすることではなく、

「挨拶」「笑顔」「褒めること」

この3つをいかに全スタッフに浸透できるか。

これが塾としてのコミュニケーションの本質です。

超絶ハイクオリティな教材を使っても肝心の講師が仏頂面で教えていたら伝わるものも伝わりません。

一方教え方やスキルは多少覚束なくても、笑顔で一生懸命教えている講師の姿勢に生徒・保護者は魅力を感じるのです。

世の中には塾がごまんとありますが、ぶっちゃけたことを言うとどの塾も大体同じような教材を使って同じようなブースで同じような教え方をしています。

しかし、その講師が笑顔で接しているか。

一歩教室に入った時に挨拶が聞こえてくるか。

生徒の小さな成長を見逃さず褒めることができているか。

ここは本当にバラバラで千差万別です。

で、保護者は「子どもがどんな顔で帰ってくるか」でその塾を評価している…

であれば、ここで勝負しましょう(費用0円で済むし)というのが私の考えです。

2.保護者はそもそも「分からないから」通わせている

保護者はこと勉強に関しては素人です。

別の言い方をすると「自分の力ではどうにもならない」のです。

小学校の算数までは何とかなった。が、中学校の勉強となるともうお手上げです。

自分の時とは教科書も違うし受験システムも変わってるしそもそも教える時間もないし…

じゃあどうするか。これはもう外部の力・プロの手助けを借りるしかないな…

と、程度の差こそあれ保護者は皆このような経緯を経て塾に問合せをしています。

もしそうでなかったらわざわざ通わせていないでしょう。

だって自分のかわいい息子・娘をすっかり暗くなった夜の8時や9時に送り出しているのです。それも決して安くない月謝を払って…

なぜそんなことをするのか?
それは「自分の力じゃどうにもならない」からです。

この背景に思い至っていないと、つい悪気なく使った言葉が相手をがっかりさせてしまうことになりかねません。詳しくは次章でお伝えします。

3.「復習しましょう」と言われても…

例えば保護者向けに作成した指導報告書の中で、

「今日は一次関数のグラフを指導しました。忘れないようにしっかり復習しておきましょう」

といった表現をよく目にします。

これを見た時の保護者の本音は以下のような感じじゃないでしょうか。

(いや復習しましょうって言われても…そのやり方が分からないからわざわざ高い月謝払って通わせてるんだけど…それができてたら苦労は要らないっつーの。教室長はそこんとこちゃんと分かってるのかしら。面談で伝えたのになぁ)

これは例えるなら風邪をひいて病院に行ったときに医者から「体調管理に気を付けましょう」と言われるのと同じです。

それで「なるほどそうか!」と納得する人は皆無です。なぜなら患者が欲しているのは具体的な改善策だからです。

それは治療であったり薬の処方だったり…

これらが施されて初めて「ああ病院に行ってよかったな」と思えるわけです。

塾も同じです。

保護者が求めているのは「復習しましょう」という分かりきった正論ではなく具体的な策なのです。

ですから、

「明日はテキストAの〇〇ぺージを解いて、明後日はテキストBの▲▲ページを解いてください」と、ここまでの粒度で行動を示す必要があるのです。

が、これがなかなか難しい。

なぜなら、「講師」は基本的に優秀な人間だからです。

講師は優秀。だからこそ目線合わせが大切

多くの塾ではアルバイト講師として大学生を雇っています。

彼らは高校受験や大学受験等、「受験」という山場を一通り経験して大学生という地位を得ています。

且つ、塾講師を志している時点である程度教えることや勉強そのものに関心があり、勉強での成功体験を経験しているケースが大半です。

ですから彼らは基本的に「優秀」です。

もちろんそれ自体は素晴らしいことなのですが、「優秀」であるが故につい悪気なく「復習しましょう」といった大づかみな表現を使ってしまいやすいというのもまた事実です。

なぜか。

自分にとっては「当たり前」だからです。

復習をする習慣が自然と身に付いていたからです。

しかし相手は素人です。

「あなた」にとってEASYモードな作業であっても生徒はものすごく高いハードルに感じてしまう…

だからこそ「これぐらい言わなくても分かるでしょ」という意識を一旦取り除き、具体的な行動を示してあげる必要があるのです。

初めて行った見知らぬ土地で地図もスマホも持たずに行動するのは不安で仕方ありません。しかし「まずこの角を右に曲がって次はあの角を左に曲がって」と具体的な説明があれば安心して目的地を目指せます。

そのガイドとなるのが塾の役割です。

まずは相手は「素人」であることを自覚し、そのレベルに自分の目線を合わせること。

この投稿がそのアンテナを立てるきっかけとなれば大変嬉しく思います。

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