【塾運営】「こちらの塾はなぜ1:2なんですか?」は塾選びのリトマス紙
A塾・B塾・C塾どれに通いたい?
「あなた」は中2の息子をもつ保護者で、現在塾探しをしているところです。
・集団指導ではなく個別指導が良い
・1:1(完全マンツーマン)は料金的に厳しい
・1:2(講師1人に生徒は2人)の塾が自宅から通える距離に3件ある(A塾・B塾・C塾)
という状況にいます。
そこで「あなた」はA塾・B塾・C塾それぞれの個別面談に足を運び、教室長に以下の質問をしてみました。
「こちらの塾はなぜ1:2の指導を行っているんですか?」と。
この問いに対し返ってきた答えは以下の通りです。
A塾「1:2が弊社のシステムだからです」
B塾「1:2じゃないと教室のキャパ的に難しいからです」
C塾「1:2こそ最も成績が上がるからです」
さて、「あなた」ならどの塾を選ぶでしょうか?
…
はい、これはもう比べるまでもなくC塾ですね。
では、なぜC塾なのか。
A塾・B塾とC塾の違いは何なのか。
について、今回は発信したいと思います。
3つの塾の違い
■C塾は納得感が最も大きい
A塾の「会社の方針だから」や、B塾の「教室のキャパ的に」は、
たとえそれが事実であったとしても相手(保護者)にとっては全く関係のない話です。
「そうなんですね~」と頷いてくれても心の中では「いやそんなの知らんがな」と思われているのがオチでしょう。
この回答で「なるほど!だから1:2なのね!」と腹落ちしてくれる保護者は恐らく皆無です。
一方、C塾の「最も成績が上がるから」は違います。
相手目線での回答(=相手のメリットに触れた回答)になっており、それゆえ3つの中で最も納得感を与えることができています。
現在集客に悩んでいる塾、とりわけ「面談には来てくれるけど他塾にもってかれてしまう」というケースが頻発している塾は、
まず「なぜうちはこのシステムなのか」を考えることから始めてみるのが良いかもしれません。
私たち人間は納得感を得られると次の行動に移しやすいです。
「サーティーワンに行こう→なぜ?→だって今日までの限定フレーバーがあるんだもの」
「家を買おう→なぜ?→だって今の家賃と大して変わらないんだもの」
このように「納得感」と「なぜ?」は密接に関わっており、
「なぜ?」が解消できると人は迷いなく行動を起こせます。
だから「なぜ1:2なのか」に即答できるよう理論武装をしておくことが大切であり、
それだけで入会率が30%は上がる(これまで10人中3人の入会だったのが6人に増える)というのが私の所感です。
では逆に、最もやってはいけないNG対応は何かについて考えてみましょう。
■最もNGなのはオドオドすること
「なぜ1:2なんですか?」と訊かれて
「え…それはですね、えーっと、ん?何でだろう…」
とうろたえてしまうこと。
ずばりこれが最もNGな対応です。
「なぜ?」は「自分が提供しているサービスにどれだけ自信を持っているか」を浮き彫りにする質問でもあります。
先ほど、その1つの切り返し方として「最も成績が上がるから」を出しましたが、
自信をもって答えられるのであればぶっちゃけ何でも良いというのが私の持論です。
「会社の方針だから」でも「教室のキャパ的に」でも、自信を持って堂々と言えるのであればそれはそれでアリだと思います(納得感の度合いや地域からどれだけ支持を得られるかは別にして)。
「せっかく通わせるのだから教室長が堂々としている塾の方が良い」
というのは保護者の共通の心理ではないでしょうか。
保護者は勉強のことに関しては素人です。
その塾がどんなシステムでどんな教材を使ってどんな実績を出していてどんな崇高な理念を掲げているか…はよく分かりません。
しかし、
「この先生堂々としているな」
や、
「この先生なんか頼りないな」
は瞬時に分かるのです。
せっかく素晴らしい授業をしている塾なのに最初の印象でみすみす入会漏れになってしまう…
これは大きな機会損失です。
ぜひ、堂々と自信をもって言える「なぜ?」を見つけ、理論武装をしてほしいと思います。
1:3なら「1:3こそ一番成績が上がるから」、1:1なら「1:1こそ一番成績が上がるから」と答えられることが大事
ここからは理論武装の一例です。
■1:2の場合
・1:2こそ最も成績が上がるからです。
・テニスのサーブ練習を想像してください。どうすれば狙ったところに打てるようになるでしょうか?
・コーチから教わっているばかりでは上手くなりません。かといって自己流で練習するだけでは変なクセや間違ったフォームが身に付いてしまうかもしれません。
・最も上達が早いのは「コーチから教わり、それを踏まえて自分でやってみる」ことです。このサイクルを繰り返すことで徐々に狙ったところに打てるようになります。
・勉強も同じく、「指導と演習を交互に繰り返すこと」で難しい問題も解けるようになります。そしてこれを実現できるのは1:2しかありません。
・だから自塾では1:2を行っているのです。
■1:3の場合
・1:3こそが最も成績が上がるからです。
・1:1や1:2の場合、すぐ隣に講師がいることで「分からなかったら聞けばいいや」と依存心を助長するおそれがあります。
・しかし1:3であれば講師と適度な距離感が保たれているので、自ら考える力を伸ばすことができます。
・成績を上げるには自分の意思で問題を解こうという姿勢が欠かせません。
・だから自塾では1:3を行っているのです
■1:1の場合
・1:1こそが最も成績が上がるからです。
・得意・苦手・間違いのクセ等を細かく分析し、その子だけのオーダーメイドの授業を提供できるのは1:1だけです。
・生徒はえてして、理解できていなくても「分かりました」と言います。
・しかし1:1であれば手が止まっていないか・上の空になっていないかを即座にチェックし「本当に理解できているか」を把握できます。
・だから自塾では1:1を行っているのです。
…のように、「あなた」の塾が
1:2なら「1:2こそが一番」
1:1なら「1:1こそが一番」
1:3なら「1:3こそが一番」
であると堂々と伝えることができなければ地域からの支持は得られません。
今やコンビニの数を超えた塾。
選ぶ側からすると「たくさんあり過ぎてどこにすれば良いか分からない」というのが本音です。
大事な我が子を預ける訳ですから失敗はしたくない。
でもHPや比較サイトを見ても違いがよく分からない。
となったら保護者は何をもって塾を決めるか…
それは、教室長から発せられる自信なのです。
指導システムに違いはあれど、どの塾も大体同じような教材を使って同じような講師が在籍していて同じようなブースで同じような授業をしています。
システムや箱にそこまで大きな差はありません。
じゃあどの部分で良し悪しが出るのか。
それは人です。
そこで働いている人間がどんなマインドを持ちなぜやっているのか。
塾に限らず、これは企業によって大きく差が出る部分です。
この記事があなたのビジネスの「なぜ?」を考えるきっかけとなれば嬉しく思います。
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