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意外に大事で役に立つ 簿記・会計の基礎知識 まとめ

割引あり

はじめに
社会人になって、就職して総務の担当に保険やら何やらと細かいことを聞かれ、良くわからずに税金や保険料をとられたという経験をした人が多いと思います。社会保険や生命保険もそうですが、会社は経理を通して会社としての生命を維持しています。会社にとって従業員とはその手段の一つです。
商業高校の学生なら高校生のうちから簿記を学び、意外にもそのことが将来の難しい会計や家計の理解となり、自身の生活を支えているものではないでしょうか。私は普通科高校を卒業し、大学で法律を学びましたが会計のことはわからずに20代を過ごして恥ずかしい思いをしました。
今回の記事は、簿記の試験や基礎知識を学べるものになっていますが、後半はもう少し踏み込んで難しい会社経営や税金、金融や会計の話もしています。税や会計はともかく、簿記は学習してみてわかりますが非常に社会人にとって重要な知識です。できればこの稿の前半で簿記の事だけでも覚えていただければ幸いです。

簿記(英語: bookkeeping) 

企業などの経済主体が経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録することである。より平易な言い方をすると「お金やものの出入りを記録するための方法」である。記帳方法によって単式簿記と複式簿記があるが、今日では、産業革命以降、企業の大規模化に伴い、一般的な記帳方式である「複式の商業簿記」のことを指して「簿記」と称することもある。簿記の種類には商業簿記、工業簿記、銀行簿記、農業簿記などがある。簿記は、会計学よりも会計における実務に近い部分を担当する。

複式簿記
複式簿記とは、簿記において全ての簿記的取引を、その取引の二面性に着眼して記録し、計算・整理をする記帳法のことをいう。
取引の二面性とは、簿記的取引には原因としての側面と結果としての側面があること、例えば建物の現金による購入という1つの取引においてみれば、建物の増加(資産の増加)という側面と現金の減少(資産の減少)という2つの側面があることを意味する。複式簿記は、この取引のプラスマイナスの二面性に着眼し、勘定科目という概念を用いて、借方と貸方に同じ金額を記入する仕訳と呼ばれる手法により記帳がなされる。また、それぞれ同一金額を記録してゆくことになるので、最終的に借方と貸方の合計額は常に一致することになる。これを貸借平均の原理という。
複式簿記は単式簿記よりも手順としては複雑になるが、資金の収支に限らず全体的な財産の状態と損益の状態を把握できるという利点がある。

会計
会計とは、金銭収支や財産の売買を中心とした経済的取引事象を貨幣数値によって記録・計算・報告する制度ないし行為のことである。また、会計や給与に関する事務を経理と呼ぶ。また、それとは別に一般的に支払の事も「会計」と呼ぶ。
多くの場合、会計という言葉は企業などの組織における会計のことを指し、金銭や物品の出納を、貨幣を単位として記録、計算、管理等することを意味する。これは、情報の利用者が事情に精通した上で判断や意思決定を行うことができるように経済的な情報を識別し、測定し、伝達するというプロセスであり、そのことをもって「経理」とも称される。

簿記の歴史
ローマ時代の古代彫刻の中に商業帳簿が彫られていることが確認されており、その歴史は古代へさかのぼるとされている。ローマの他、ギリシャ・バビロニア・アッシリア・エジプトなどでも古代の時点で簿記が存在していたことが推定されている。当時の簿記はまだ単式簿記であり、その後、14世紀から15世紀にかけてのルネサンス期にヴェネツィア商人によって複式簿記が発明されたと考えられている。
当時のイタリア人数学者が出版した書物の中で複式簿記が紹介されており、この本は組織的に行われた複式簿記の存在を記述する最古の文献として知られている。なお、この本で複式簿記が紹介されたことが、やがてはヨーロッパ中に複式簿記が広まるきっかけとなったとされる。
日本では、1873年(明治6年)に、福沢諭吉が日本初の簿記書である『帳合の法』初編を出版したのに続き、『商家必用』、『銀行簿記精法』と、西洋式簿記書が相次いで刊行され、その頃において洋式簿記の導入が始まっている。1879年(明治12年)には福澤諭吉が創設した簿記講習所において簿記教育が始まった。
令和の現在においての簿記は、日商簿記検定を取得し、税理士試験や公認会計士試験を受験する等の簿記教育の広がりを見せ、また、日本各地の商業高等学校等の卒業後の進路として、簿記教育の素養を生かして活躍する、など広く社会に定着している。

簿記の分類
単式簿記と複式簿記
簿記の表記方法(記帳法)には、単式簿記と複式簿記の2種類があり、簿記といえば多くの場合は複式簿記を前提とする。以下、特に注釈がない場合、複式簿記を指すものとして論じる。

経済活動による分類
企業あるいは政府など経済主体の経済活動に応じた簿記の方法論があり、代表的なものに商業簿記と工業簿記がある。

商業簿記
完成している商品を仕入れて販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式。最も基本的な簿記である。ただし、どの会社にも共通する決算に関する会計処理や、固定資産の償却処理なども「商業簿記」として取り扱うことがある。

工業簿記
材料を仕入れ、製造し、製品を販売する会社の財務状態を記録・計算・報告するための記帳方式である。その製品を作るために必要な経費を、材料費や製造作業員の賃金、製造機器のランニングコストなどから算出するには複雑な計算手続きを必要とするため、原価計算の理論を主に用いる。また、簡便法としての商的工業簿記も存在する。

応用簿記
基本的な簿記である商業簿記に対して、工業簿記も含めそれ以外の簿記のことは応用簿記と称する。

日本の簿記検定
簿記に関する基礎知識、実務、計算の能力を判定するための検定試験として各種の簿記検定があり、日本では日本商工会議所をはじめ複数の団体により実施されている。

日商簿記(検定)
日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験は、日本の簿記検定試験である。商工会議所法に基づき日本商工会議所および各地の商工会議所が実施する検定試験(商工会議所検定試験)のうち、簿記に関する技能を検定するもので、略称・通称として日商簿記検定のことをいう。

日商簿記の概要
1954年に第1回目の試験が実施され、1955年度からは年2回実施されていたが、1997年度以降は年3回実施されるようになった。ただし1級は年2回実施である。国家資格ではないものの、一般事務職などへの就職・転職の際に有利な資格とされ、TOEICや英検などと並び権威の高い検定試験となっている。
この検定を含む簿記・会計系の資格試験に共通する特色として、一定の制限はあるが、試験中に電卓の使用が認められていることがあげられる。また、公認会計士試験など一部を除いてマークシートが採用されていないことも特色としてあげられる。
日商簿記検定以外の有名な簿記検定としては、主に経理専門学校生(高等専修学校に通う生徒も含む)を対象とした全経簿記能力検定や、商業高校生を対象とした全商簿記検定などが実施されているが、ブランド力は日商簿記検定が最も高く、毎年多くの大学生や社会人が受験する。日商簿記検定は、就職活動を控えた大学生(特に文系)にとっては、TOEICや宅地建物取引士、FP検定、ITパスポート、証券外務員などと並び人気の高い資格の一つとなっている。

全商簿記・全経簿記について

全商簿記とは、全国商業高等学校協会が主催する「簿記実務検定試験」のことで、主催者名からわかるとおり、商業高校に通う高校生を主な対象として実施されている簿記試験である。また、全経簿記は全国経理教育協会が主催している検定で、主な受験者層は経理や会計の専門学校に通う学生となっている。全体的な合格率は、大学生や社会人が主な受験者層となる日商簿記と比べて高い傾向にある。
受験資格の制限はないため、社会人でも受験することは可能であるが、全商簿記・全経簿記の認知度はあまり高くなく、学生向けという印象も強いため、社会人であれば日商簿記を取得したほうがメリットが大きいとされる。

以下、日商簿記の習得基準や難易度についての考察を述べる。

日商簿記 各級の習得基準

1級
大学程度の商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を習得している。大企業の簿記。財務諸表規則・企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができる。

2級
商企業および工企業における経理担当者および経理事務員として必要な高校程度の商業簿記および工業簿記(初歩的な原価計算を含む)に関する知識を有している。財務諸表を読む力がつき、企業の経営状況を把握できる。相手の経営状況もわかるので、株式会社の経営管理に役立つ。中小企業の簿記に相当する。かつて1級のみの出題であった連結財務諸表の一部が、現在では2級でも出題されるようになったため、難易度が上がっている。

3級
零細企業における経理担当者または経理補助者として必要な初歩的な商業簿記に関する知識を有している。経理関連書類の簡単な読み取りができ、取引先企業の経営状況を数字から理解できるようになる。営業、管理部門に必要な知識として評価する企業が増えている。簿記初学者が学習をはじめるのは多くの場合、この級からである。以前は個人商店を前提とした簿記知識に関する問題であったが、現在は株式会社を前提としている。

初級
2017年4月より、4級廃止に伴い新設。ネット試験による実施である。個人企業や会社の経理担当者だけでなく広く社会人全般を対象に簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、日常業務に利活用できる(決算に関する部分は除かれる)。

日商簿記試験の難易度

1級
合格率は例年10%前後である。受験者の大部分は既に2級に合格できる実力を有している場合が多いため、かなりの難関資格であると言える。また、絶対評価である2級以下とは異なり、合格率の大きな変動がさほど発生していないことから、採点方法は相対評価であると目されている。
難易度を他の簿記検定と比較した場合、全経簿記能力検定の上級がほぼ同じくらいの難易度と言われているが、日商簿記1級が計算力を重視しているのに対し、全経上級はより理論を重視する出題傾向があると言われている。商業高校生が日商簿記1級に合格した場合、地元の新聞に名前が掲載されることもある他、難関国立大学として知られる一橋大学(商学部のみ)の推薦入試の出願条件にも含まれている。

2級
近年の合格率は平均して20~30%程度である。かつては手書き簿記を前提とした帳簿問題や伝票問題が出題されていた。現在は現代的な会計業務に必要な知識である基礎的な連結会計や税効果会計、外貨建取引やでんさいネットが取り扱う電子記録債権などの内容に変更されている。商業簿記のみが問われる3級とは異なり、2級では工業簿記も問われ専門性が高くなる。

3級
近年の合格率は平均して40~50%程度である。日商簿記3級では商業簿記のみが問われ、工業簿記は問われない。

試験の実施
試験はネット試験とペーパー統一試験があり、6月・11月・2月に実施される。合格証書は紙の用紙で発行される。

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