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バレたら最後! 文系3人で作る、タキオン通信機
グギャーッ! 怪獣が吠える! 地球の生き物に例えるならばティラノサウルスか。二足歩行に巨大な口、凶悪な爪、そして全身に触手。紫色のティラノサウルスの飢えた目の先では、光線銃を持った地球人の若者が尻もちをついていた。
「早く! 撃って!!」
黄色い宇宙人、1つ目ピエリが茂みから叫ぶ。撃たなければ、殺される。慌てて引き金を引く…が、しかし!
ポワワ…ワ…ワ…。銃からのリング光線はまるで勢いが無いまま下に落ち、地面を溶かすばかり。それを機と見たか、再び紫ティラノが迫る!
「よく振るんじゃ!」
茂みの中からもうひとり、水槽に脳が浮かぶロボット、モーガンじいさんもがなりたてる。若者は急いで銃を左右に振り、引き金を引いた!
「地球に...帰るんだ!」シュバーッ!
先程とは比べ物にならない威力の光線が銃から飛び出す! 紫ティラノは上半身を無くし、地面を揺らしその場に倒れ込んだ。
「やった!」「ヨシダ! よくやったぞ」
ヨシダと呼ばれた若者は腕で汗を拭う。見た目は極めて一般的な大学生風の若者だ。光線銃を持ち、異星人たちと怪獣狩りをしていること以外は。
「ノビサウルスの爪入手っと! タキオン通信機の完成まで後すこし!」1つ目ピエリが恐竜の爪を剥がしながらはしゃぐ。その時!
『お前ら、超高速エンジンの素材は集まったか? サボっていると蒸発させるぞ!』
上空からの罵声。3人に凶悪な影を落とすのは純粋戦闘民族ゴゲバルト星人の戦闘高速艇だ。
エンジン修理のフリをして、素材を集めて通信機を完成させ銀河警察に助けを求める。ゴゲバルト星人に拉致された彼らの立てた計画だ。そのための素材はあと10種類。それまでごまかしきれると良いのだが…。
「けどこの爪、タキオン通信機の何に使うの?」「わからん」「ぜんぜん」
文系大学生のヨシダ、広告デザイナー1つ目ピエリ、サイボーグ隠居の脳だけモーガン。理系の才能が全く無い3人は果たして母星に帰ることができるのか?
[続く]