風が強い日には
傘は携帯性と展開性を重視していますから、どうしても強度と軽さのバランスが難しいことになります。閉じて開くという機構を持ちながら、手で持ち歩くのに負担にならない軽さを求められるわけですので、そこに強風や突風という要素が出てくるとかなり厳しいことになってくるわけです。
ちなみに、強風はだいたい秒速15メートル以上なのですが、通常の傘はこの風に耐えきれるように作られてはいません。もちろん手首を器用に動かし風に対しダメージを受けないように運用すれば壊れないという事もあり得ますが、そんなことをしていたら雨に濡れますし、本末転倒な結果になります。また、秒速15メートルの風ですと、雨粒の大きさにもよりますが、たいていの場合横殴りの雨となってしまい、この場合、傘があっても体の大部分が濡れる結果となってしまいます。
濡れるのであれば傘をさす意味がない、だから強度設計からその風速の想定は外すという考え方です。同様に使用者の移動に関しても考えられています。
通常、歩きながら使用する傘ではありますが、もしくは小走りぐらいまでが想定の範囲になります。当然ですが、全力疾走時に傘をさす想定はしていません。つまり使用者が秒速5メートルの速度で移動することも想定の範囲ではありません。まして自転車に取り付けるなど絶対にしてはいけない行為です。
ただ、どうしても避けられない風に突風というものがありまして、この風を受けてしまって傘が壊れてしまった場合は不運でしたねと言うのが傘の基本設計スタンスとなっています。
世の中には色々耐風仕様の傘があるではないか?とおっしゃる方がいると思いますし、実際にそれをうたって販売されている傘もあります。中には台風レベルの風に向かっても壊れないアピールをしている傘や、バイクに乗って使用しても壊れないなどというとんでもない広告さえ見受けられたりもします。
ですが、それらは一定方向からの風を受けても破損しないという話であって、曲がらないわけでも雨をちゃんと受けられるわけでもありません。結局は宣伝の域を出ないものですから、皆様どうぞ真に受けることなく、強風の日にはレインコートを着て出かけていただけたらと思う次第です。
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