完全遮光は大事なポイントではない

前回述べさせていただいたように、太陽光を遮る目的については3つの理由が挙げられていました。一つは紫外線、一つは可視光線、一つは赤外線を主力とする熱です。
ワードを並べてみると分かりますが、シンプルに科学の領域です。

これらは日傘の商品表示などによくみられるものがそのまま該当します。UVカット、遮光、遮熱とこれらのキーワードはほぼすべての日傘に書かれているのではないでしょうか?

ちなみに、傘業界的なアピールの順番としては、UVカットが最初でした。美白ブームなどとの絡みで紫外線に対する意識の高まりが日傘業界に大きな影響を与えたのです。
その後、太陽光に対する過敏症の方からの要請に応える形で、太陽光を99.99%遮蔽するカーテン生地から着想を得た遮光という考えが日傘に取り入れられる事となります。
そして最後に現れたのが遮熱で、これは平成末期から令和の初め頃、テレビなどでどこの地域が40度を超えたなどと多くの報道がなされるようになり、酷暑というものが夏の代名詞になり出した頃からはやり始めました。
同時期に日傘男子などという言葉も出てきていると思います。男性は日焼けを気にしないけど、熱に耐えられないのは性別によらないという事だと思います。

もちろん、日傘の遮蔽目標は紫外線、可視光線、赤外線からくる熱であった事は昔からの話ですが、日本でそれぞれが強く意識されたのはここ30年ぐらいのことなのです。

さて、ここで、日傘商品の表示に関する話を科学的な角度からしてみようと思います。
まず、日傘の表示にある遮蔽率関係の数字ですが、UVカット遮光に関して、100%と99.99%には違いはありません。本当に誤差だと断言していいです。
いろいろ日傘の説明がなされている中で、完全遮光と99.99%は全然違う等の情報があったりもしますが、日傘の使用方法を考えたときには「フェイクニュース」「優良誤認」と言い切って差し支えないです。

というのも、環境省から出ている紫外線環境保健マニュアルに書かれているように、日陰であっても反射してきた紫外線は10%~25%の間ぐらいにはなるということですから、遮光した0.01%の差より、反射光の方が約千倍も多いからです。傘は下からの反射光を防ぐことのできない道具である以上、「99.99%ではだめ、100%遮光でないと意味がない」などという誇大広告的な主張はナンセンス以外の何物でもありません。

ただし、95%の遮光と99.99%の遮光という事であれば結構な違いが出ます。想像してみてください。仮に下から最小の10%が反射してきているとして、上からほぼ0%追加と上から5%追加では有意差があると言って差し支えないでしょう。ダメージが70%以下に抑えられるわけですから結構違いが出ていますよね。

同様に99%と99.99%の差は、一見1%差に見えますが、実際には10%程度の差になっているので、一回の差としては小さいですが、日傘は毎日使うものであることを勘案しますと、気にする人は気にして良い差だと思います。

ちなみに、ただの傘でも色や厚みによって違いはありますが、ざっくりで7割程度の遮光能力はあると言われています。ですから、太陽直射の暑い日に日傘が無くても傘があるのであれば、絶対にさすことをお勧めします。

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