暑熱対策その2輻射熱
気温が30℃を超えてくると効果を発揮する日傘という話を、前回は湿度視点から進めたわけですが、今回は輻射熱というワードから考えていきます。
輻射熱は温度が高くなった物体から放たれる電磁波の事で、それは赤外線、遠赤外線の形で人体に到達します。帽子自身が太陽光によりだんだん加熱されてくると、帽子自身が輻射熱を放出します。同様に日傘も日傘自身が過熱されてくると日傘自身が熱源となって輻射熱を放出していくわけです。
そして、この輻射熱は熱源から対象への距離の二乗に反比例する形で熱が伝わります。
つまり人体からほぼゼロ距離の帽子や衣服に対して傘のアドバンテージが大きいというわけです。素材によって数字が変わってしまうために、数値化は避けますが、帽子や衣服が受け取ってしまった熱は大きく人体に影響を与えるのに対し、傘の場合、傘が40℃に加熱したとしても、日陰を作って生じた熱エネルギーカット量に対して輻射熱が与える影響はそれほど大きなものにはなりません。
焼けたアスファルトから届く輻射熱の方が、人体には影響が大きいレベルです。
また、日傘の場合、その色が問題になることがあります。
というのも白い日傘は太陽光を反射しやすく、反射量が多ければ多いほど高温になりにくく、輻射熱を発生する熱源になりにくいからです。
もちろん白色は反射率が高いために、生地の十分な厚さがあれば太陽光のカット率も高いので、輻射熱を発生させにくいという機能面だけ見れば黒色の日傘よりも白色の日傘の方が優秀です。
しかし、それは一個人から見た場合の話であって、周りからすれば白色の反射光は迷惑なので、ファッションを念頭に置かない前提であれば、お勧めするのは黒色の日傘という事になります。
ただでさえ街中で日傘を邪魔だと思う人が多いわけですから、せめて他人の目に優しい黒色の日傘を使っていく方が、思いやりのある社会になりやすいのではないかなと思います。