折りたたみ傘について考える その2 使用時のサイズと取り回し(前編)
日傘であれ雨傘であれ、傘はサイズが大きいほど保護範囲が広がります。ですから、基本的にはサイズが大きいほど良い傘であると考えるが一般的です。
ただし、大きいサイズの傘にもいくつかの欠点はありまして、ひとつは風を受ける面積が広くなるため風で壊れやすいという要素があります。そのためその欠点を補うためには、柔性剛性のどちらかの効果で壊れにくくなる、つまり耐久性が高い必要があります。
また、もう一つ上げるとするならば、市街地において他者から見ると非常に邪魔であるという点です。人が周りにいない場合は良いのですが、行き違う人の中を歩く場合には、大きなサイズの傘は異物となりやすいです。まして日傘の場合は全員が使用しているとも限らないものなので、さらに大きさには気を使う必要があるでしょう。
そして、そのどちらの条件にも関わってくるのが、傘の取り回しです。
長傘は伸縮性のある中棒を使用しないため、傘生地部分が強い風を受けても傘自体がぐらつく事はあまりありません。そのため、親骨が65cm、70cmなどの大きな傘であっても、突風に対処しやすいですし、手元も太く大きな握り手が付いていることが多いため、ハンドリングが簡単です。
これに対しその伸縮構造上、折りたたみ傘は中棒が若干ぐらつく事があります。そして手元もやや小さいもしくは、手元を握らず中棒を握る構造になっているため操作が難しく、サイズの大きい傘ですと突風に対し傘があおられて親骨などに大きなダメージを受けてしまう事も多いのです。
では、大きな傘だとしても、その分丈夫に作れば問題ないのではないか?という考え方もあります。
もちろんそのように考えられて作られている製品は多いようです。実際に台風並みの風洞実験室で傘が壊れないアピールをするなど、大きな傘でも頑丈ならば風に耐えますという製品はよく目にしますよね。しかし、よく考えていただきたいのですが、実際に使用される方は台風の日に外を歩き回るような屈強な方ばかりなのでしょうか?
大抵、そのよう動画ではある程度力のありそうな男の人が傘を持って風に対して一定の角度を保った後、風を止めて「傘は壊れていません」と言うアピールをします。しかし、そもそもそのような強すぎる風の日には、かかとの高い靴を履いた女性や高齢者の方であれば歩くのも困難な状況が生まれてしまいますし、その中で傘を握っていられる握力を出せるかどうかも怪しいところです。
つまるところ傘が丈夫である事は悪い事ではないが、そのような強風に耐える必要がないのに無駄に強く作る事で、それがコストに反映されてしまうのであれば、別の部分にその原資を回した方が良いという事になるでしょう。
では、折りたたみ傘の最適な取り回しサイズは一体どれくらいなのでしょうか?後編に続きます。