傘骨とSDGs

さて、前回まで、金属骨と強化プラスチック骨について書いてきました。結局のところ金属骨の方が理論上は環境にやさしい可能性が高いというのは確かなのですが、使い方をしっかりすれば強化プラスチックでも十分な効果を発揮しうるというのは事実です。
長期間使用可能な強化プラスチックの骨を使い捨て傘として使用するから良くないのであって、例えば10年使用する前提であれば、使い捨ての鉄製の傘骨に対してゴミとなる傘骨は10%に減らすことが出来ます。

SDGsで語られるところの持続可能性のある社会というものは未来永劫というわけではなく、技術革新すら織り込んだせいぜい半世紀程度の持続を前提にしたものです。要するに50年後の世界平均気温が現在よりも5℃上昇しているようなことになっていなければ良い訳ですし、現在ある便利な世界を完全破壊してまで達成されるべき目標であると定義されているわけでもありません。実際、二酸化炭素の排出権の売買などをやっている時点で、理想などは彼方に放置しているということが簡単に見て取れます。
ただ、理想を不可能なものとし、だからやらないという怠惰な完璧主義者はいらないという考え方であるのも事実でありますから、少なくとも出来る範囲でやっていくというのが、掛け声に対する誠実な態度と言えるかなと思います。

そのような文脈の中において、傘骨が取るべき道は割とシンプルなものになるのかなと我々は考えています。

傘骨がSDGsを満たす道、それはとにかく壊れにくいというものです。

確かに製造時や使い終わった後のことを考えた場合、強化プラスチック骨は環境負荷がひどい訳ですが、金属の骨に比べて使用できる時間が長いのは重要なポイントです。もし、使い捨てカメラのような実際には使い捨てずに何度か使用するタイプの回収方法が構築可能であれば、強化プラスチック骨の環境負荷は金属の傘骨を使い捨て、回収、再生するよりも良い可能性が出てきます。

というのも金属骨は一度使ったものを回収した場合に洗浄のみで再生することは難しく、この点が強化プラスチック骨に劣るわけです。結局のところ、ご年配の知恵に従って、「もったいない」から物は末永く使おうというのが正道だというなんとも当たり前の結論になりそうですね。

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