兵庫県起業家支援事業(一般事業枠)の申請のポイント
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兵庫県では、県内で居住し令和7年1月末までに県内で起業・第二創業した方/予定者に対して最大100万円(空き家活用の場合+100万円)、助成率1/2の助成が受けられます。(受付期間は、令和6年4月18日~6月28日※最終日16時必着です。)
ただし、申請すれば誰でも受けられるわけではなく、有識者による審査委員会が開かれ、そこで有望なビジネスプランであると選定された場合に限ります。毎年公募を行っておりますが、兵庫県が実施している唯一の創業助成金であり、申請件数は多いため、かなりの競争倍率となっています。
しかしながら、事務所の賃料や内外装費、通信光熱費等幅広い用途が対象であり、何かと入用の創業時に最大100万円の助成が受けられるので、対象となる方は是非トライしてみてください。
詳細は下記リンクからご確認ください。
(公財)ひょうご産業活性化センター:https://web.hyogo-iic.ne.jp/shinjigyo/kigyoka
申請書を書く前に
いきなり申請書を書き始めるのはやめましょう!申請書作成の前に、必ずやらなければいけないことをお伝えします。これは全ての補助金や助成金(以下、補助金等とします)を申請するときに共通しますので、ぜひ理解していただきたいと思います。
1.公募要領をしっかりと読む
最も重要です。申請書の成否の50%以上を占めていると言っても過言ではありません!
なぜなら、公募要領には【補助金等の目的】【審査・評価基準】などがしっかりと記載されているからです。補助金等を出す行政や団体からしてみれば、明確な目的があって税金を投入するわけで、申請書の中身からその目的を達成できる事業であることが読み取れなければ評価できません。それがどれだけ革新的で素晴らしい事業内容であってもです。
例えば大学入試で、受験科目が数学Ⅰ・Aなのに数学Ⅱ・Bを必死に勉強しても意味がありませんよね!?「あなたは勉強頑張ったからテストは0点やけど合格にしたるわ」なんてことはあり得ません。公募要領とは受験科目や入試日程などの受験する上で必須情報がまとまったものと考えてください。
ただ実際には、公募要領を読まずに申請しようとする人が多いのも現実です。残念ながら、補助金作成を生業とする専門家の中にもしっかりと読み込んでいない人もいます。頑張って時間をかけて作成してきても的外れな計画書となってしまいます。
2.様式・ルールや必要書類を確認し、用意する
いやいやいや、そんなん当たり前やん!
そんなツッコミが聞こえてきそうです。その通り、当たり前です。ただ、その当たり前ができていないことが多いのです。申請様式の中にも注意書きやルールが記載されています。また、申請書だけでなく必要な添付書類などもあります。それに沿って書かれていなかったり、書類が揃っていなければ書類不備として審査にも上がりません。
補助金等の対象者の資格にはだいたい「適切な事務処理能力を有している」という内容のことが書かれています。つまり、様式やルールに沿って書けない人、書類を用意できない人は事務処理能力がないと認識されてしまいます。
例えば本助成金の申請はワード、エクセルでの作成が必須条件となっています。(公募要領P.4「4応募資格等」の(5)に記載)
大事なことなので何度も書きますが、素晴らしい事業計画であっても目的やルールを満たしていなければ、意味がありません。なぜなら、審査のテーブルにすら上がらないからです。
3.読み手がいることを意識する
申請書はあなたの考えや想いを書くものですが、それだけではありません。提出した後に必ず読み手、審査員がいます。審査員が読んで伝わらなければ意味がありません。
ついつい業界用語や難しい表現をたくさん使ってしまいがちですが、誰が読んでも理解してもらえるような文章で書くことが大切です。審査員は限られた期間で何十、何百の申請書を読まなくてはいけません。わからない言葉や表現をいちいち調べたり、理解するまで何度も読み直したりしません。一度読んだだけで、あなたの考えや想い、事業で得られる効果を理解してもらうことを心がけましょう。
一通り作成できたら、家族や友人などに読んでもらいわかりにくい表現がないか、言いたいことが伝わっているかを確認してもらうようにしましょう。
兵庫県起業家支援事業申請書作成のポイント
上記をしっかりと理解し、公募要領や様式、必要書類等を確認していただいた前提で進めていきます。
1.簡潔明瞭に書く
申請書は片面コピーで10枚と決められています。公式HPから様式をダウンロードするとその時点で10枚となります。
つまり、好きなだけ枠を広げて書きたいことを書きたいだけ書くことはできません。だからと言って、必要な情報を書かないわけにはいきません。与えられた枠の中で簡潔、明瞭に書くことが必要です。
具体的な書き方としては…
①見出しと本文を分ける
②【】や太字などを使う
③箇条書きで書く
2.「(5)事業のPRポイント」
申請書様式P.6(5)事業のPRポイントはとても重要です。P.5最下部に「審査のために重要な事項ですので、わかりやすく記載してください。」とわざわざ記載されています。
また、公募要領P.12「10助成事業の選定基準・審査」にも、選定基準が記載されており、(5)事業のPRポイントの内容と選定基準(1~4)が一致していることがわかります。
(1)新規性・独創性・優位性は、競合他社とどう差別化されているのかを聞いています。競合がいない市場なのか、競合がいても別の価値提供ができているのか等について記載してください。その際、自社と競合の比較をすることが重要です。
(2)市場性は、そもそも事業として成り立つかどうかを聞いています。どれだけ素晴らしい商品・サービスでもそこにお客様がいなくてはビジネスとして成立しません。商圏(来店や利用が見込まれる地理的範囲)にどれだけターゲットがいるのか、ニーズはあるのか等について数値やグラフ等を用いて記載してください。
(3)マーケティング戦略は、どうやってお客様に自社の商品・サービスを周知し、届けていくのかを聞いています。販売方法やPR方法などについてどこで、どうやって、いくらで販売・周知するのかを具体的に記載してください。
(4)地域経済活性化への波及効果については、そのままの意味で事業を実施することで、地域経済にどのような効果が期待できるかということを聞いています。例えば、規格外品の野菜や未利用魚を活用した飲食店事業であれば、自社だけでなく生産者の収益にも繋がります。これは、公募要領P.7「5対象事業」の(2)に地域経済の活性化に資する事業であることと記載されており、自社が儲かるだけの事業は認められません。
3.根拠のある数値計画をたてる
開業1年目、2年目の売上や経費、利益を計算する必要があります。その際に月間売上目標を決めて、単純に×12をしたり、経費を適当に計算している人が散見されます。しかしながら、しっかりとした積算根拠を立てないと、選定基準・審査の(5)経営者の資質がないものとして評価されます。
例えば売上ですが、飲食店で考えればランチの時間とそれ以外の時間で時間あたりの売上は変わります。客席数と回転数、提供する商品の単価や提供時間なども考慮に入れて積算する必要があります。設定した売上を達成することが本当に可能なのか、一度考えてみてください。質問された時に売上や経費の根拠を説明できるようにしておきましょう。
4.申請書の記載内容と対象経費の内訳を合わせる
様式3では助成金の使途を記載していきます。ここで大切なのは申請書の記載内容と対象経費の内訳の整合性をとることです。
例えば、申請書のマーケティング戦略のところで「SNS広告を実施する」と記載しているのにも関わらず、事業費に広告宣伝費を入れていなかったり、経費で家賃を計上しているのに、事務所開設費として家賃が入ってなかったりするケースがよくあります。
申請書に記載した内容は対象経費の中にしっかりと入れてください。抜けてしまうと「申請書には記載してあるけど、本当にやるのか?」と疑問を持たれてしまいます。
5.商工会・商工会議所・よろず支援拠点に事前に相談に行く
申請にあたっては必ず事前に地域を管轄する商工会・商工会議所、もしくはよろず支援拠点(以下、商工会等)に相談してください。
締め切り直前に、「これ申請書です。お願いします。」と持って来られる方も多いですが、ほとんどの場合、内容に不備があり不採択となっています。商工会等の職員は、様々な補助金等の申請支援を行ってきているため知識もノウハウもあります。締め切りに余裕をもって相談することで、しっかりと教えてくれます。
また、公募要領P.13「13応募方法」(1)事前相談にもわざわざ太字で事前相談し、アドバイスを受けることと記載してあります。これも本助成金を申請するためのルールとして定められていますので、しっかりと守りましょう。
まとめ
倍率的に非常に高く難しい助成金ではありますが、上記のポイントをしっかりと抑えて準備すれば採択の可能性も大きく上がります。また、たとえ不採択となってしまっても、ここでしっかりと頭を整理し、計画を立てておけば、他の補助金(小規模事業者持続化補助金など)や金融機関への融資の相談などにも応用できます。
最初にも書きましたが、家賃にも使える非常に使い勝手の良い助成金ですので、兵庫県内で起業される方は是非トライしてみてください。
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