報酬回路がもたらす感受性&手話学習能力の向上(仮説Ver.)
昨日のハナシ。
奈良での手話cafesalonに来ていた参加者との話の中で、“プラセボ効果”が出てきた。
ほう…!薬学と6年付き合ってきた身としては、かな〜〜り懐かしい響きだったので、ついつい調べ直してしまった。職業病ちゅーもんかな。コマッタコマッタ島倉千代子。
“プラセボ効果”
偽薬(プラセボ)の投与によってみられる治癒効果。薬物そのものの効能ではなく、投薬された安心感や医師への信頼などの心理作用によって症状が改善する状態をいう。
平たく言えば、
「これわなぁ〜あ、コロンビアのベニチオデルトロちゅう名医がなぁ、ヒマラヤ山脈から採掘してきた世界樹の葉から有効成分を抽出したウン億するヤクやでぇ…」
みたいな感じで(全然ちがうわ)、薬学的な効き目はない砂糖玉を、効き目があるクスリのように「思わせて」、治療をうけたと似たような効果がうまれることをいうわけですね。
いろいろググると、
・辺縁系の情動脳領域が右脳側に偏っている
・皮質の体性感覚野が広い
・開放的な性格をもつ
こういったヒトに共通して、プラセボ効果が生まれやすいという研究成果に2時間ほど食いつく…!
右脳的・直観的で、感覚が鋭くて、明るいひと…
(んんん?これ、手話の上達が早い人の共通点にも当てはまらんか…?ひとまず、手話はそばに置いておいて、)
さらに調べ進めると、神経伝達物質の面では、
・ドーパミン(快感・多幸感)
・オピオイド(鎮痛・陶酔作用)
がプラセボ効果と相関関係があるらしい…。
ドーパミンって、脳科学の茂木先生いわく、
「報酬回路」に関与してるって聞いたことあるなぁ。。
やってみる🤔→成功する😳→嬉しい😆→更にやってみる🤔…の繰り返しが「報酬回路」。
その報酬回路のブレーキを担う回路(GABA神経系)のブレーキがオピオイドなわけです。ざっくり言えば、オピオイドは報酬回路の回転を助ける、ということになります。
この回路は学習にも大いに関係しています。
報酬回路によって、ドーパミンとオピオイドがどんどん作られていくわけなので、上記の、
体性感覚野や情動脳領域が成長しやすく、プラセボの効果をコトバを通して身体的に認知させやすくなるというメカニズムが働くのかもわかりませんね。
改めて、報酬回路の最初にある「やってみる」という言葉をみてみると、これまでにしたことがない新しい何かに挑戦する意味合いが含まれています。
報酬回路の回転スピードがMAXになる、つまり自分が見聞きすることが何もかも新しい…そう、赤ちゃんがまさにそうですよね。だからあんな短期間で多くの言葉を使いこなせるわけです。国籍に関わらず。
単純計算で考えれば、歳を取るごとに、“目新しさ”というのは相対的に減っていく。それに伴って報酬回路の回転スピードも下がり、自分の体内を流れるドーパミンやオピオイドに反応しにくくなる。
いうなれば、新しいことに対する“驚き”を味わう機会が減り、情動の面でも、体感覚の面でも次第に錆びて(マヒして)ゆく。だからなのか、高齢になるほど薬への感受性までも弱まりやすく、あれだけ繰り返し通院・来局してこられるのだろうか…。
手話に置き換えてみても、なんとなくうなずけるような気がしています。
というのも、40過ぎているにも関わらず、凄まじい習得スピードを誇っておられた方が。正体は、社長さん。常に新しいことに関して貪欲で、自分を更新し続けようという気概に溢れている方でした。
そういう人ほど、報酬回路の回転が速いのか、常に真似ては手を動かして、どんどん単語を吸収していく。実際に「やってみよう」とする姿勢がそこにありました。報酬回路のスターターを自分自身できちんと起動できていると言えます。
若い人ほど習得が早いのは確かですが、“若いからねぇ”で毎回済まされるのも、少々辟易してきたので、おかげさまでこういった記事を書くことに。笑
お歳を召されても、常に何か新しいこと(目的・目標)に触れ続けて、報酬回路の火つけ役でもある“驚き”を作り続ける努力は絶やさないで欲しいなぁと、暗に願っております。
自戒の念もこめて。
ありがとうございます。