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アラサーになった日の話

前回の記事はこちら。
あまりに文字数が増えてしまったので、2回に分けて書きます。

前回のお話は、ぼくの誕生日の前の土日の話。

誕生日当日は平日だったけど、午後休を取って帝国ホテルに。
ディナーを食べに行ってみた。

自炊の時、クラシルでレシピを検索することが多い。
クラシルのアプリでは有名なシェフのレシピが公開されていて、
その中に帝国ホテルの料理長のレシピも公&開されている。
なんなら、ご本人登場で動画になってる。ぼくたちは鶏もも肉のコンフィとヴィシソワーズを作ったことがある。ぼなぺてィ↑?!

誕生日という口実を使って、帝国ホテルのフレンチを食べることにした。
だって帝国ホテルなんて日常使いできるような人じゃないもん。
こういう時って「せっかく」って言葉使いがちだよね。
ドレスコードとか特にないけど、(なんなら成金っぽい人がジャージとダメージジーンズで来てたけど)せっかくだから、ちょっとええ服とネクタイを締めていった。靴はローファーだけど、オキニのキルトローファー。妻にもちょっとええワンピース着てもらった。

予約は妻にしてもらった。もう皆さまお気づきかと思いますが
妻は食べることに関してのモチベーションがハンパない。
たぶん、ぼくが予約をすると、普通のコースで予約してしまう。
でも妻だったらそこでは終わらない。
まぁ結果、コース以外のものもお願いし、満腹で苦しくなる確定演出は、
日曜の朝の戦隊ものの、どれだけ負けててもラスト5分で必ず勝つ確定演出と似ている。なんでぼろぼろになるまで必殺技出さへんねん。

午後休を取っているので、時間に余裕がある。
ちょっと家でゴロゴロしてたら雷ゴロゴロなってた(´・ω・`)
けど出る時間には止んでてラッキー。

大阪の帝国ホテルって、ちょっと変なところにある。
最寄駅からでも15分くらいは歩くようなところだ。
妻とこう話す。
「帝国ホテルに来る人なんて、みんな外車かタクシーで来るんやろな」
「いぐざくとり」

帝国ホテルに着くと、高級な建物に怯む。
貧乏性がこんなところに来るんじゃなかったと2μmくらいの後悔をしていたが
せっかくやし楽しむ。早めについてるからね。

帝国ホテルプラザがあった。グッズショップみたいなものだと認識した。
帝国ホテルの料理の缶詰や冷凍食品がある。
缶詰とか冷凍食品とか聞くと、チープに聞こえるが、普通にえくすぺんしヴ。
ハンバーグ一人前数千円だった。目ン玉飛び出るわ。
買って帰りたいけど、今買ってもうたらフレンチの間に溶けちゃうしやめとく。ってことにしとく。

23階。レ・セゾン。
梅田とかから離れたところにあるからこその夜景が見える。

少し厳かな廊下を抜けて店内へ。
なんか、もっと大きい広間みたいなところで食べるのかと思ってたけど、意外とこぢんまりとした空間。

席について早速コースが始まる。

真ん中に置く時代は終わった。えっ、ここでも三分割法とか出てくる感じ!?
ちょっとななめ奥の方に生ハム。
塩味をしっかり感じて、肉のうまみというか、赤身らしさ?をどっしり感じる。

そのあとは全て一皿を食べ終わって少ししたタイミングで次の料理が運ばれる。
ぼくたちがレ・セゾンに手のひらで転がされているのか、ぼくたちの食べるペースに合わせてレ・セゾンが振り回されているのか。

妻を見た。やばいって顔をしている。
来る前に話していたことを思い出す。
「フレンチってさ、びっくりするくらいちっちゃいの出てくることあるよな」
「わかる、今回全部ちっちゃくておなか膨れへんかったら、帰ってやきそば弁当食べよ」
ミニマルでなんかおいしい。

おおー、量ある!と二人でアイコンタクトをして安心する。
フォアグラ。おいしい。香辛料の風味がいい。なんかすごい。

ホタテのスープ仕立て。モンサンミッシェルのムール貝を使ってるらしい。
「こちらはモンサンミッシェルの、、、」
って説明されてるときにオムレツ想像してしまってた恥ずかしい。
魚介のすごいうまみがすごい。

これが妻が追加してくれたきのこのスープ。
妻もぼくも、こういうスープが好きだ。いろんなきのこの味がする。何のきのこが使われてるかまではわからへんけどおいしい。

甘鯛のうろこ焼き?的な名前のヤツだった。ブイヨンがかかってて、コレもスープっぽい。めちゃ出汁感感じておいしい。
甘鯛ってぼくの地元では「ぐじ」って言われてて、高級魚とは聞くものの、
スーパーのセールで旬の時期は安く売られてて慣れ親しんだ魚。割と思い入れある。
でも、身の分厚さが違いすぎる。地元のスーパーの魚売り場のおっちゃん絶対嘘ついてた。「こんなおっきいぐじもうないよ~!!!」って売ってた。いや、全然あるって!!!!
身がブリブリや。あ、他の魚がちらつきましたねすみません。次ィッ!

メインが豚と牛をそれぞれ出してもらった。どっちもおいしい。
低温調理らしい。うちでも牛や鳥で低温調理することがあるけど、
肉だけをシンプルに食べるなら低温調理が一番の調理法だと思っている。
でもうちのとは比べ物にならないくらいおいしい。
たぶん、下味のスパイスや塩の当て方とか緻密に計画されてそう。
ソースもおいしい。帝国ホテルのディップソースらしいけど、なんかいろんな味がしておいしい。

デザートまでしっかりある。シャインマスカットのモンブラン。

追い打ちデザート。手前はノンカフェインのコーヒー。最近カフェインがあかんようになったんやけど、ノンカフェインのご用意もあります。だって。
最高かよーーー!!!

いやー、何もかも美味しい。すごい上品な味がする。
なんかいろいろな食材が、いろいろな処理を経てすっごいおいしくされてる。
嗚呼、自分の舌の情報分析力と言語化能力の低さをこんなに呪った日はない。
レンジャー合体ロボにボッコボコにされたい。

とまぁ、衝撃的においしいディナーは2時間半ほどでデザートの後のデザート(?)が来訪し満腹中枢を必殺技で破壊した。正義は勝つ!

夜風にあたりながら扇町駅まで歩く。
帰りはゴー☆ジャスにタクシーでも使おうかと思っていたけど、
食べ過ぎで苦しいので歩いて消化を促すことにした。結局庶民。マダタスカル。やきそば弁当はいらない。

合間でスタッフの方が写真を撮ってくれた。
プリントして最後にもらえる。

いつも自分が撮る側なので、自分の写真はあまりない。
そういえば結婚式の時に、ぼくの写真があんまりなくて苦労したなぁ。
こういう時に撮ってもらえるのはありがたい。

実は、写真撮られるのってぼくは好きじゃない。
自分の容姿に自信があるわけでもないし、どういう顔をしていいかわからない。
最近は太ってきたし、何よりあたしが古くなるじゃない。

冗談はさておき、友達や妻と写る写真は好きだ。関係性が写る。その時の記憶も思い出せる。お願いして知らない人に撮ってもらった写真って、ちょっと硬い表情しちゃうけど、
それもまたいいと思う。思い出だからね。

またひとつ、思い出の写真が増えた。
写真を撮れば、思い出が残る。
何気ない日常でもシャッターを切ることが栞を挟むことのように思える。
アラサーになり、誕生日がだんだん喜べない歳になった。
年々減っていく体力や記憶力。
不調からの治りの遅さ。
子どものころよりも強く感じる、死が近づいてくる感覚。
いやこれは、年齢というより家庭を持ったから感じているのか。
そういうことを勘案すると、やっぱり遺せるものがあった方がいい。
人間は必ず死ぬ。
ぼくが先か妻が先かわからないけど、
2人にとって写真が遺っていることはプラスになると思う。

せっかくの人生。
今回は記念日としてだったけど、普段の写真もこのまま遺していこう。
死に様は生き様。
写真の多い最期を迎えられたらいい。


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