さまざまな味わいをブレンドできる日本語〈読書感想〉
10月に20歳になって、2冊目。
『感情的な日本語−ことばと思考の関係性を探る』(加賀野井秀一/教育評論社)を読了した。
魅せられた
ある日大学図書館の新刊コーナーに並んだ本たちを見回すと、目が合った一つの本があった。手に取ってみると表紙と目次に一目惚れ。すぐ借りて読み始めた。
日本語ってなんておもしろいんだろう!
まずそれを「魅せる」作者に私は感嘆した。
湧き出る「そうなの?!」と目を見張るような日本語の話、トントン拍子に進むリズム感のある言葉文章の数々、分かりづらいこともすぐに理解できる例文たち。
パズルのピースがぴったりとはまったような読む心地良さを感じた。博学者であり、エンターテイナーのような。いつもは2行で眠くなってしまうのに、今回ばかりはページを捲る手が止まらず眠れなかった。
日本語のブレンド力
特に興味深かったのは、日本語の表記の話だ。日本語ではひらがなと漢字とカタカナが使われる。3つの表記体系を使いこなす言語は海外にもほぼない。
この3つの表記はどう混ざり合って来たのかというのが歴史的な観点などから解説がなされていた。
確かに、音声は日本語一つなのに表記が複数あるのは不思議。しかも一文の中にひらがなも漢字もカタカナも3つ同時に入っている時もあるなんて不思議。一つの漢字に「訓読み」も「音読み」もあるのが不思議。カタカナはオノマトペも表せば外来語も表すのも不思議。日本語には不思議がいっぱい。
でもそれがおもしろいし、日本語らしさでもある。やわらかさも硬さも表せるから表情がつく。感情豊かな日本語が私はやっぱり素敵だな改めてと思った。
今まで持っていた不思議にアンサーを与えてくれて、でもまた新たな不思議を生んでくれるような本だった。