【笠沙ミライ会議的エッセイ】生まれ帰る町
おはようございます🕊𓂃 𓈒𓏸◌
本日は、笠沙町出身の山下裕勝さまにご寄稿いただいたエッセイをお届けします🌱✨
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『海恋し 潮の遠鳴りかぞえては 少女(をとめ)となりし 父母の家』
「みだれ髪」に収められた与謝野晶子の歌である。
晶子の故郷は、大阪 堺であるが、この歌は、まさに笠沙で育った私のことのように思えてならない。
眼を閉じると野間岳の下に広がる海が思い浮かばれる。
夏の鏡の様な静かな海
冬の荒れ狂った様な波
顔に打ち付ける風
夜寝る時も聞こえたろう波の音
もう60年も前のことであるが
ずっと私の脳裏に貼り付いて消えることのない映像の様なものである。
集落のメインストリートは、原宿の竹下通りの様な賑わいをみせて
子どもたちの集会場になっていた。
カッタやメダマ(メンコやビー玉)は流行りによって、そこら中に群がりが出来ていた。
あの喧騒と会話が今でも昨日のことのように聞こえてくる。
大人たちは、台風間近になると
「うかぜが来っちゅうが、だいじょっかなぁ」「まっぽしじゃちな」
そうした挨拶代わりのような会話も鹿児島弁でなければ、ピタッとこない。
葬儀の後も「とじんのないやしたなぁ」
言葉はもう標準語には訳せない。
笠沙の海と、笠沙の言葉
そうしたものはあの頃からずっと私の頭に染み付き
今まで生きて来た中での行動もそこが原点であった。
妊娠中の羊水と海の濃度・成分は、ほぼ同じだという。
私が物心つかないうちから水浴した笠沙の海、母の胎内にいた頃のそれ
ずっと同じだったのではないか?
覚えているような気もする、と、とりとめもなく考える。
そして、そんなに遠くない将来、私の人生も終わり、西方へ旅立つ時
笠沙の海から再出発することができたら・・・
そんな、たわいもないことを夢みることがある。
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故郷へ寄せる想いと波音が聞こえてくるようです。
ステキな時間をありがとうございました🙇♀️
山下裕勝さまは電子書籍を出版されています!
マイメンターぼっけもん 第一巻 1969-1971年: My Mentor BOKKEMON (青春)
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冬の夜長に青年の旅路を覗いてみてください✨