【イベントレポート】伝統と革新、緊張と弛緩を繰り返して深まる美味しさ
冬の寒さを感じ始める頃、早稲田駅を降りて数分、「大学の探検部の部室」っぽい部屋で「至極の一本」イベントは行われた。
中に入っても「これはきれいな探検部の部室だな!」、と懐かしくなるほど。みんなでDIYした建物のようです。
玄関が上がってすぐそこには、ひとりひとりが座る席の前に電灯が。
...ここには...
...結界が張られているんですか...?
思わず、そう言ってしまうほど。
念のため許可をいただき、私はさらりと結界を越え、上着を奥の席に置きに行った。そのとき、私は栃木の実家を捨て、実家が早稲田になったのかもしれない...
改めてきちんと電灯の前に座ると、結界の向こうの正面には竹鼻さん、竹鼻さんの横には、Ato Hiromiさん、オオゼキ(まつしま)ようこさん。
私の左にはおぎさん、右には西園寺さん。みなさん、ちゃんとお顔を拝見するのは初めてでしたが、 #note酒場 で出会っていたメンバー。
一瞬の和やかな雰囲気になったのち、竹鼻さんから本会の趣旨のご説明が。また、ピリリと神聖な空気になり、オオゼキさんから至極の一本たちが配られ、いよいよ、お食い初めが始まった。
“至極の一本”
〜伝統の日本酒と革新の黒ヒール〜
中身がわからないまま、注がれる二種類の日本酒。
一種類目を一口をいただく。フワッと酸味と甘さが。華やか。
もう一種類は、すっきり、でも、味がある。ちゃんとした日本酒だなぁ、美味しいなぁ、という味。これは砂糖と醤油で濃い味付けをした何かを食べたい。思わずそう思うほど。
暗闇のなかだからこそ、
強く感じる香りと味。
ラベルに左右されない、そのままの味。
そして、Atoさんから日本酒と、その想いが語られた。
このお酒は、東京の東村山市にある、豊島屋酒造のお酒だった。
・屋守(おくのかみ)
・金婚(きんこん)
ひとつは、伝統
ひとつは、革新
蔵の、いや、日本酒の生き残りをかけたチャレンジがここにはあった。
***
お食い初めの儀が終わったあと、儀式中は隅によけられていたテーブルを中央に出し、第二章が始まった。
(あぁ写真がボケているのは、何かが歪んでいたせいだ...)
Atoさんが話す、東村山市の歴史と共に改めて金婚と屋守をいただく。土地のエピソードと共に、明るい場所で改めて飲むと、また、なんとなく味が深くなるから面白い。
金婚は、おぎさん曰く、「お父さんが飲んでいたお酒」。さっぱり、すっきり、でも、味わい深く、じっくり呑みたい、そんなお酒。
昔から作られ、東村山市の舌に馴染んできた、伝統の味。
屋守は、どちらかというと風の森や濃いめの白ワインに近い味。フルーティーだけど、少しだけ、水飴のように舌にはりつくような主張を感じる。馴染みをベースに、自分のポリシーを出してくる。新時代にフックをかけようとする、革新の味。
そうして後ろを振り返れば、ホストのお二人が。
今回、おつまみはすべてオオゼキ!オオゼキへの愛情深さを感じますね...!今日のイベントも楽しみなのでレポートだれか書いてください...!
注がれるヒール
配合は、秘密とのこと。
私にとっては味が想像つかなかった、黒ヒール。すっ と口に、喉に落ちていく。トゲがなく、5月の晴天のように爽やか。広がる香りと、ビールの旨み。
麦茶のように、ごくごく飲める...!
そして、不味いヒールもあるという。そちらもいただく。いや、いただく前に、コップから、「捨てるコーヒーかす」のにおいが...コーヒー単体ではきっと美味しいはずなのに、なぜ。口に含むと、グサッと刺さる酸味。 不思議だ。組み合わせでなぜ、ここまで味も香りも変わるのか。
ガスクロで、配合前後を分析したい...
***
そうこうしているうちに、意識は再び日本酒へ。おとんのお酒(=金婚)は熱燗がよいということで、おかんメーター登場。
(やっぱり写真がボケてる...)
ティファールに直いれ。これ、できる...!嬉しい...!
屋守を、おかんと呼び、金婚をおとんと呼ぶ。これ以降、おとんと、おかんが連呼される。
もはや、年末年始の親戚の集まりの様相を呈す早稲田ベース。
そして、私は思い出した。
きっと、今日集まる人は、酒好きだ。
我が祖母の銀杏と、我が曾祖母のゆずを、おすそわけしようと思っていたのだった。
ということで、銀杏を炒ることに。この銀杏は、殻割が必要なハードタイプ。食べられるのか...?でも、いや、ここは探検部の部室(風)だ!絶対どこかに割るためのペンチがあるはずだ!
香川さんと部屋を発掘。ペンチは...
......ない!
............ここはハンマーだ!
ということでからを割る見込みを得られたので順調に銀杏は炒られ、
ハンマーで殻を割られ、塩と共に美味しくいただかれました。香川さん、お父様との晩酌の時間にハンマーで銀杏を割る役目をされていたそうで、めちゃくちゃ殻割がお上手でした...
そうこうしているうちに...
よしおさんと、差し入れパンが登場!
やだおいしい
もはや神聖さはどこへやら。親戚。ホストとゲストが融合してしまうのって、もはや親戚の集まりあるあるだよね...?!
竹鼻さんの、未来洞察のお話や、note酒場でのほぼ原液のハイボールを飲んだ後のお話を聞きつつ...(次は美味しいハイボールをいれたい)
そうこうしているうちに、あっという間に過ぎ去る時間が。さみしい。
でも、最後にお心付けのお手紙が。
Atoさんの、暖かさ。丁寧さ。真摯さが、伝わってきて、なんだか寂しさが吹き飛んだ。また、きっと、どこかで会える、そんな、暖かさだ。
あの緊張感があったから、ここまで弛緩したのか。場の設計に、どんな意味が込められていたのだろう、そう考える楽しみは、今でも続いている。
早稲田のご親戚のみなさま、また、どこかで、逢いましょう。
そして、関東にいるうち東村山市まで、飲みに行きたいな。また、酒蔵で飲む味も、きっと違う。
おしまい。
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こちらの3つのnoteをご覧いただくと、またイベントが立体的になるかと思います...!そして、本記事の、ピントがボケていない写真は香川さんからご提供いただきました...!おもてなしの心...!
◼️おぎさんのnote
◼️Atoさんのnote
◼️本家のnote