2024.09.07、08
9.07
有言実行で皮膚科へ。
平日も混んでいる病院だが、土曜の午前は有り得ないほどに混んでいて、診察までに1時間半、薬局で30分超えの待ち時間を乗り越えてやっと帰路に着くことが出来た。
9時には家を出る予定が11時になった。
この時点で私の負け。一番初めに目が覚めた時には余裕で間に合う時間だったのにね。やる気を出すのが遅すぎた。
家を出て数歩。なんか嫌な予感がして財布の中身を確認。診察券がない。ダッシュで帰宅。少し前の台風で財布が浸水したために旧財布に中身を移し替えたのだけれど、その際に移しそびれがあったのだろうか。ひっくり返してみるが見当たらない。親が「保険証あれば大丈夫だし、再発行して貰えるよ」と背中を押してくれたのでそのまま病院へ。この時点でまたやる気が大幅ダウン。ドンドンダウンより早い下降である。
物心が着く前から通っているその皮膚科は、1階が待合室で2階が診察室という作りになっており、順番が回ってくると数組まとめてアナウンスという形で呼び出される。ここ最近また腰が不安定なために、数少ない椅子を勝ち取り順番を待った。
「キクチさん、キクチ○○さん、キクチ××くん。三山さん、三山重さん。キクチさん、キクチ△○さん、キクチ△×さん。お2階にどうぞ」
前もキクチ、後ろもキクチのキクチファミリーに挟まれる形で呼ばれ階段をあがった。目の前のキクチはさんずいで、後ろのキクチはつちへんだろうか。しょうもない事を考えながら診察室前の待合室②に向かう。私もキクチなら家族みたいな顔できたのにな、と勿体ない気持ちがあった。
途中、踊り場近くの棚に飾られていた陶器のダチョウが気になってよく見ると首が完全に折れた跡があった。サジカルテープをぐるりと巻かれ、処置されているのをみて「病院すぎる」と思った。
3分程度の診察を終え、会計を済ませる。
事前に「診察券を紛失した。もしかしたら前回受け取らずに帰宅したのかもしれない。確認いただきたいが、なかったら再発行してほしい」とお願いをしていた。一切上記のことに触れられることなく、初めからあったものかのように保険証とともに返ってきた診察券は以前までのものだったのか新しいものなのか見分けることも出来ず、そしてそれを確認するような会話をする胆力もなく、違和感などなかった顔をして薬局に向かった。
薬局には昔から中途半端な巻数からの名探偵コナンとクローバーが全巻置いてあるというサンデー贔屓のラインナップだったのだが、葬送のフリーレンと東京リベンジャーズに世代交代をしており、遂に講談社の侵入を許すこととなっていた。
薬局内のテレビでは丁度とある番組が始まったばかりで、スマートフォンの充電を忘れて家を出てしまった私はやることもなくぼんやりそれを眺めていた。
「遅いなあ! どんだけ待つんだ」
番組も終盤にさしかかった頃、入口近くの席に座っていたおじさんのでかい声が狭い狭い薬局の中に響いた。やばい。でかクレームの予感を察知。ぐっと身を固くしてより一層番組に気を向けた。目を合わせたら死ぬと思いながらも耳はそのおじさんの発言に傾いてしまう。
「いつになったら、呼ばれるんだか」
ふてぶてしく吐き捨てる。そのまま立ち上がって御手洗に入っていった。待合室の中にある扉を開けると直ぐに個室になっており、廊下などないため御手洗にいったからとはいえ油断はできない。個室の中から聞こえる物音が怖かった。用を足しているのか、反乱の準備を始めたのかわかったものではない。私に出来るのは見ないこと、関わらないことだけだ。
御手洗にはいっている間におじさんの名前が呼ばれた。別の薬剤師の方が「御手洗に行った」ことを伝え、ひとつ飛ばしとなった。時限爆弾の時間を早めただけではないのか。
水が流れる音がして、扉が開く。御手洗から戻ってきたおじさんに周りの人が「呼ばれてましたよ」と教えるので、病院に来るにしてはでかすぎるカバンとともに受付に向い「ホリグチですが!」と叫んだ。声帯がガバ開きすぎる。ここが皮膚科の薬局だから命拾いしているだけだぞ。
想像していたよりも身体がでかかった。スポーティな格好に、白い靴下に便所サンダルというファッションも予想の外からやってきていて面食らった。勝手に声の主はよれよれでくすんだ青とかベージュをしたチェック柄のポロシャツを着た、ちょっと小太りのじじいだと思っていたのだ。
スポーティばかでかおじさんは「次にお呼びします」と案内され、大人しく席に戻った。戻るんだと思った。居座りそうだと思っていただけに素直な対応にまた驚いた。
改めて自分の名前が呼ばれたスポーティばかでかおじさんは「はい、ホリグチです!」とでっかい声で名乗りながら受付へ向かっていく。薬剤師の説明を聞きながら「はぁ、じゃあこれを基本使えばいいんですね。酷い時はこっちを。ああ、脚はこんな感じで……」と答えていく。
おい、コイツ素直なだけかい!!
心の声全部出しおじなだけかい!!!
先までの激やばクレームおじのレッテルを慌てて全剥がしして、心の中で小さく謝罪する。受け答えを見ていると素直でまっすぐで声のでかい気のいい人だった。
気持ちよくやり取りを終え帰宅していくおじさん。「ありがとうございました!」と頭を下げるのを見ながら良いひとでよかったなあと思っていると、薬局を出る最後の最後に「いやぁ!遅かったなあ!!」と一番のでかい声を出して消えていった。
台無し。
私はと言うとバーゲンセールみたいにバカの量の薬を処方してもらって、ちょっと嫌になる額を払った。沈静化してくれないと街とか破壊するかもしれない。
次の本物クレーマーは私の可能性が高い。
09.08
近々家族になる予定(語弊)の友人とちょっと常識のない時間まで通話をしたので、休みを棒に振る時間に起きた。
やはり一日の始まりを迎えた時間の位が2ケタになると「もうこの日終わりだな」という気持ちになってやる気をなくしてしまう。
とはいえ仕事に行く訳でもないのにそこそこの時間に起きても「寝て曜日」としたはずなのにと勿体ない気持ちになる。心の休養と体の休養どちらを取るのかという問題だ。
昨日の日記も含め、今日のうちに書いてしまおうと画策していたものの、なんだかんだやる気が出ず、髪を染めることも諦め、台所の掃除を軽くだけして、YouTubeを見て、少しだけネタ出しをして、また寝た。
ちゃんと追ってるはずなのに、なんか知らない間に新曲が出ていた。良すぎる。
私には理解できない世界で気を張って戦ってる「あなた」に「頑張らなくていいよ」「たまには羽を休めなよ」って歌ってるのに、なんだか自分が許されてるような気持ちになってちょっと泣いた。
その勢いでAbemaTVのしくじり先生の最新回を視聴して「頑張っている人が好き」「頑張っている人が報われないのが嫌だ」と語る令和ロマン髙比良くるまさんの言葉で胸がぐっと締め付けられた。
世間から見た時にも「頑張っている人」にカテゴリー分けされるようになりたいなと思った。今日の私はほぼ眠りについていただけだ。
本来なら今寝るべきではあるが、無くしていたやる気をかき集めて日記を書いている事実だけは褒めてあげたい。やろうという気持ちだけじゃダメか、やらなきゃね。(構文崩れ)
もう寝て覚めたらまた仕事があって、数字と戦う日々が始まると思うと苦しい。能力のなさを痛感させられる職場に身を置いてしまった私への罰である。
一週間頑張れば、週末にはご褒美があるので気合い入れ直していきたい。