
ギルティフードのささやき
仕事帰りの最寄駅、私が週2、3日立ち寄る場所がある。それは駅前にあるローソンだ。
今日も疲れた。些細なミスをして落ち込む日、大きな仕事を終えて清々しい気持ちの日、ときにはやってられるかと投げやりになる日もある。
そんな日々に、ころころ心境が変わる私だが、ローソンは変わらずそこにある。
よくみれば、お菓子の棚は各メーカーの新商品がしのぎを削り、雑誌の棚では消えゆくタイトルもある。
だが、レジ横のホットフードコーナーにはいつも、ローソンの定番商品であるからあげクンとLチキが並んでいる。
もちろん、そこに並べられるまでには商品の売れ行きを確認し、店員さんが調理をするなど工程がある。
私がコンビニに立ち寄ってしまうのは、帰宅する前に気持ちをリセットしたい、色々な商品を見ることで関心をアップデートしたいという思いがうっすらある。
本来であれば店内をまわり、欲しいものがなければそのまま家を目指せばいい。
しかし、レジ付近を通り過ぎるとき、いつも視界に入り無視できないものがある。Lチキだ。
初めはこんな揚げ物はご飯の時にしか食べないし、安っぽい味がするのだろうと嫌厭していた。
しかし、誰かが美味しいと話すのを聞いて、一度食べてみるかと思い立ったのがLチキとの出会いだった。
サクッとした衣にジューシーな鶏肉。なんて罪深い食べ物なのだろうと思った。
それからというもの、自分へのご褒美、打ち上げ、憂さ晴らしと理由をつけてLチキを頬張った。
私の日常に、Lチキという選択肢ができたのだ。
最近では、連日になるときもある。さすがに昨日食べたし今日もとなるとマズいかと、思いとどまることもあったが、こんな唐揚げひとつ食べたところで変わらないという域に達した。
こんな風に書くと少しヤバい気もするが、理性はある。
会社と家の往復が大半である日常に、Lチキという選択肢が生まれた。
一日中働き疲れ果てた帰り道、「あ、今日はLチキ食べよ」と心の中で思いつき足取りが軽くなるのだ。