
火災保険体験談~発災から申請まで~(広域災害編)
火災保険は、発災から申請まで、非日常の中で行う必要があります。そのため、具体的にイメージがついていないと、火災保険の申請すらできないケースがあります。
そこでここでは、火災保険の体験談として実際に災害が発生してから申請を行うまでの流れを時系列としてお送りします。
※なお、こちらの体験談は具体的な契約者やシチュエーションを特定できないよう、事実を元に再構成してお届け致します。
北海道在住・Hさんの火災保険申請体験談(平成30年北海道胆振東部地震編)
あれは、2018年の9月、最初の頃でした。
8月の仕事が忙しく徹夜続きだった私は、その夜、深い眠りについていました。
午前3時6分。
大きな揺れで目が覚めました。最初はちょっと大きめの地震で、せいぜい震度3くらいだろうと思っていた私。
幸いにして私の住んでいる地域は地盤も強固なエリアでしたから、最悪、家財道具がちょっと倒れるくらいだろう、と思っていました。起き上がってNHKでもつけようかとテレビのリモコンに手を伸ばした瞬間、いわゆる本震(主要動)が襲ってきました。最初に私が大きな揺れだと感じたのは、いわゆる初期微動というやつだったんですね。
本震の揺れは、極めて大きく。
人生の中で一度も経験したことのないような大きな揺れでした。
何十秒も揺れが続くことがそもそも経験のない中、その揺れはどんどん大きくなっていきます。
途中、木造建築である我が家の基礎の部分からバキバキと何かが壊れる音も聞こえました。私はとんでもない大きな地震が来たことだけは理解していました。
揺れが収まった後、めちゃくちゃになった家の中を見ながら私は、なぜ地震の対策をしてこなかったのかと悔やみましたが時すでに遅し。
そして停電
めちゃくちゃな状態になった我が家。せっかく寝込んでいたのにこれでは後片付けも行わなければならないので、とても面倒に感じながら、片付けを家内と始めたところ・・・突然電気が消えました。停電です。
お恥ずかしながらこのエリアで停電が起こるなんて予想だにせず、せいぜい1時間ほどで復旧するものと思い込んでおりました。
ところが、です。
停電自体はおよそ5分ほどで復旧したのですが、安心したのもつかの間、それから我が家は約72時間の間、完全に停電することになります。
ご存知の方も多いかと思いますが、この地震では北海道全域が停電して完全に復旧したのは地震が発生してからおよそ72時間後のことでした。
重要と思われる部分は優先的に停電が復旧したため、早いところでは地震の揺れの後から24時間程度で復旧したところもあったそうですが、我が家は田舎の方にございましたから、かなりの時間がかかりました。
非日常の中での保険申請
非日常の中で、私はまず夜があけてから家の中の損傷や家の外壁の損傷をくまなくチェックしました。
明らかに家の中で壁紙が破れていたり、住宅の基礎の方にもダメージがありそうな状態で、全損とまではいきませんが、修理が必要な状態でした。
しかし、電気もつきませんし電話も繋がりません。基地局が停電してしまったため、電話すら繋がらない状態になってしまったのです。
一週間後、突然の電話
震災から1週間。停電が復旧してまだ物流には大きな影響がある中、私の携帯電話に知らない番号からの着信がありました。電話に出ると、相手は火災保険会社の方。
契約している火災保険会社の方だったのですが、
『おそらくお宅のエリアは火災保険の適用になる損壊が出ているのではないか、もしまだ申請が済んでいないなら、早めに申請した方が良い。』
『電気などのライフラインが復旧した今、加速度的に火災保険の申請が集中することが考えられる。そうなると調査の人員派遣にも、保険金の支払いにも「とてつもない時間」がかかるだろうから、出来る限り早めに申請してほしい。』
という内容でした。
あとから知ったことですが、これはものすごく親切にしていただいたのだと分かりました。一般的なケースの場合、火災保険会社からこのようなアフターフォローはありませんので、地震が発生したら出来る限り早く、火災保険会社に調査を依頼すべきだということも勉強しました。
震災から2週間、思わぬ保険金の給付へ
震災から2週間、我が家に保険会社の調査員の方が来訪されました。本州からの応援の方とのことで、この辺りの土地の事情もあまり詳しくないようでしたが、フラットな目線で
・どの部分に損害が出ているか
・どの部分が損壊しているか
を丹念に調べていただき、結果的に修理をする・しないについてはこの状況下であるからまた後で考えるとして、一旦、保険金を申請することで話がまとまりました。
調査の情報をもとにして保険会社本社の方で金額を決定していただくことになっていたので、調査員の方からその場でどのくらいの金額の適用になるかの明確な回答を頂くことはできませんでしたが、調べた限りでは、このくらいの損傷が認められるため、多ければこの金額、など具体的に金額を目安として教えていただいたのは助かりました。
参照:申請箇所の事例(記事やや上段)
結果として、それから数日後の時、保険会社より「数十万円単位」での保険金の支払いが認められた旨連絡がありました。もちろん、修理は後にするとしても、この金額があればひとまず生活を立て直すことはできそうな金額でした。
我が家は、見た目にそこまで大きな損傷があるわけではありませんでしたが、細かいところでダメージがあったため、このような地震があった時には速やかに保険会社に連絡するべきだということを学びました。
この家を建ててからもう35年。ローンもようやく支払い終わったこの家で、まさか火災保険が受け取れるなんて。本当に感謝しています。
皆さんも、大きな広域災害が発生した時には、出来る限り早く今後の事を考えて火災保険会社や地震保険の会社に連絡してください。
ダメージがあれば保証は受けられます。そして早い者勝ちという部分もありますので、出来る限りスムーズに依頼できるように常日頃から火災保険会社の連絡先は押さえておきましょう。
私のように、電話をもらえるなんていうラッキーパンチが誰にでもあるとは限りませんから。私も次の広域災害が来てしまった時には自分から連絡するつもりです。