
【囲碁】実戦から格言を2つ紹介
今年の打ち収めより連続して紹介したい図が登場したので解説していきます。
途中経過
握って私の白番です。黒は高い中国流に構えてきました。黒23に右辺のカカリに回られて白は少し出遅れた印象。お相手の黒37のハネは力強く上辺が丸々黒の陣地になりそうな雰囲気になり白は「サバキ」が必要です。白38からの打ち方を予想してみてください!


黒37が予想外
黒37が予想外で力碁(乱戦や互いに石を攻め合う乱打戦のような試合)になりそうだと思いました。定石であれば黒37は隅をハネるのですが、その場合は下図のような進行を考えていました。

白46まで進んだ時に上辺の黒地を縮小させ、白の陣地も作れそうです。白からAのスベリが先手になりBのコスミツケに回れば、悪くない自信がありました。
囲碁のサバキとは?
囲碁のサバキとは攻められないように石の形を整形することを差します。多少の犠牲を払っても自分の石を強くする手筋です。

テーマ図1:サバキはツケよ
囲碁には「サバキはツケから」という格言があり今回も白38にツケを打ちました。対する黒は39にハネを打ち戦闘開始。

黒の緩手
実戦の黒39以外だと白は上辺で生きることができます。元々黒の大きな陣地になりそうだった陣地が消し飛んだので下図は黒失敗です。

実戦での白のサバキ
実戦は白42まで進行しました。白42で黒をアタリにしていますが、これはアタリにした黒石を取ることはできません。白には他に狙いがあります。

捨て石作戦
実戦は黒49までアタリにされた黒石が逃げ出して白×が黒に取られました。代わりに白は48まで中央に顔を出し、黒△3つを孤立させることができました。元々黒の勢力だった場所なので白は多少の犠牲(白×)はOKです。実戦は白のサバキが成功し、攻める対象(黒△)を作ることができました。


テーマ図2:ケイマのツケコシ
黒53まで進みました。右上の黒は孤立してしまったので、白に捕まらないよう逃げ出しました。ここから白の手筋で有利に進行することができます。

黒を分断する手筋
テーマ図1と同様に相手の石にツケるのが手筋になります。今回のように黒□(ケイマ)の間に白54とツケる手筋をケイマのツケコシと呼びます。

配置した石を活かして
先述した「捨て石作戦」で配置された白石により黒はダメが詰まっています。仮に黒は抵抗しても白64まで右上が取られてしまい苦しい展開です。


その後の実戦
実戦では白62まで右上の黒を取ることができました。元々黒の勢力だった上辺黒の陣地は約30目、白の陣地は左上と右上合わせて約50目以上なので上辺の攻防で白はアドバンテージを稼ぐことができました(楕円で囲った場所が黒白の確定陣地)。

今回は囲碁の格言「サバキはツケよ」、「ケイマのツケコシ」が連続して登場した場面を紹介しました。少しでも参考になれば幸いです。

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