今週のとんぼ:第304話「また飛んだ」
13番パー5で2オンに成功したとんぼだったが、まさかの3パットでパー。
同組のプリンは3オン1パットのバーディとし、チーム戦で日本は再びタイに並ばれることに。
つぶらからの期待に応えられなかったことで、とんぼは自身の不甲斐なさに怒りを覚えます。とんぼがゴルフで腹を立てるのは初めてのこと。
通常「怒り」は、力んでしまったり、雑なプレーになってしまったりと、ゴルファーにとって悪い方向に働くケースが多いですが、イガイガいわく「正しく」腹を立てれば、バウンスバックなどの好プレーにつながることもあるそうです。
個人的には怒りが良い方向に働いた記憶はありませんが、とんぼのように穢れのない心の持ち主ならば、正しく怒れるのかもしれません。まずはとんぼを見習ってしっかり目土することから始めることにします。
さて、今回とんぼがプレーしていたのは中京ゴルフ倶楽部の14番パー4。この試合ではアウトとインが入れ替わっているので、通常営業時の5番ホールにあたります。
セカンド地点は、左サイドがバンカーに向かってストンと落ちており、さらにバンカーの左は池になっています。
キックが悪いとバンカーどころか池まで転がってしまいそうで、左にだけは曲げたくないホール。
それを恐れて右に逃げすぎると、右にもバンカーが待ち構えている、という厄介なホールです。
さて、みなさんならどのように攻めるでしょうか?
私の場合はスライサーなので、フェアウェイ左端狙い。
これなら真っすぐいっても左サイド、右に曲がってもバンカーまではいかない、という目算です。
でもおそらく、アドレスに入る直前
「もし逆球が出てしまったら……」
という恐怖が頭をよぎり、狙いをフェアウェイセンターに変更。
結果、スライスして右のバンカーへ……というのがありがちなパターン。
ターゲットより左に打ち出していくスライサーにとっては、時々出る引っかけほど厄介なシロモノはありません。左に打ち出して左に曲がったら大トラブル決定なので、なかなか思い切って左を向くことができないのです。
しかし今回のとんぼは、フェアウェイ左サイドどころか、左の池の方向に打ち出していきます。
怒っているなかでも、自分を見失うことなく、過去の成功体験を思い浮かべ、自信満々に特大のスライスを放っていきました。
たしかに、欲を出して中途半端に「ちょっと曲がるスライス」を打とうとするから失敗するのであって、とんぼのように始めから特大のスライスを打とうと心に決めておけば、間違っても逆球が出る心配はありません。
これと似た話で、私のゴルフ仲間のひとりが、苦手ホールを克服したエピソードを思い出しました。
彼は私とは逆のフッカーで、ホームコースの10番、左が崖のホールでの引っかけのミスに悩んでいました。
しかしあるとき
「左に曲がるならとことん曲げてしまえ」
と思い立ったそうです。
フェアウェイ右サイドどころか、右の林を向き、特大のフックを打っていくようにしたのです。
すると、その作戦が功を奏し、OBがパッタリと出なくなりました。
左へのOBを恐れるほど、思い切って振りきれなくなり、余計に引っかけのミスが出るという負のスパイラルに陥りがちですが、この方法なら、どれだけ曲げてもいいので、思い切って振っていけるようになります。
荒療治にも思えますが、左右のどちらかが危険なホールでは、勇気を出して大きく曲がる球を打つ作戦、試してみる価値アリだと思います。