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今週のとんぼ:第309話「最強のメンタル」

15番パー3、ピンチから一転、チップインバーディを奪ったとんぼ。

この時点で日本チームのスコアはタイに並び、プリンにプレッシャーを与えます。

プリンは12、13、14番と3連続バーディを奪い、このホールでも2mにつけ絶好のバーディチャンス。

トップレベルの選手であっても、なかなか4連続バーディというのはありません。

通常であれば、「こんなに上手くいっていいのだろうか」「そろそろミスが出てもおかしくない」などと勝手に自分でブレーキを踏んで、以前の話にもあった「平均の法則」に絡めとられてしまうもの。

ところがそこは心の天才・プリン。

「ただ2歩のパットが目の前にあるだけ」と、今、自分がすべきことだけに集中し、見事にバーディパットを沈めてみせます。

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「3連続でバーディが来たことと、このバーディパットが決まるかどうかは相関がない」とも語っていますが、まさにそのとおりで、たとえばじゃんけん。

4連続でじゃんけんに勝つ確率は2の4乗=16分の1確率のはずですが、4回目のじゃんけん単体で考えれば、勝つ確率はそれまでの3回の結果がどうであれ、2分の1であることに変わりはありません。

4度目のバーディパットを、「4連続でバーディを取る」という途方もない確率として考えるか、「2mのパットを入れる」という50%程度の確率のものとして考えるかは、自分次第。

これはたとえ9連続バーディであっても同じこと。いかに自分で勝手にプレッシャーをかけたり、限界を決めたりせずに、今に集中できるか。「ゾーンに入る」というのもおそらくそういうことなのでしょう。


高校生ながらこうした考え方ができるプリンは末恐ろしいですが、プリンの場合は本から得た知識を実践しているにすぎません。

本当の意味での「心の天才」は、とんぼのほうでしょう。

「脳は自他を区別しない」という性質を利用して、意識的に相手のプレーを讃えるプリンに対し、とんぼは純粋に心の底から相手のいいプレーを自分のことのように喜んだり、尊敬したりしています。

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これは簡単なようでなかなかできることではありません。

とくにライバル関係にあるような仲間とプレーすると、ナイスバーディと言いつつも、どこか心の隅っこで悔しさや妬みや嫉みや疎ましさが渦巻いていたり。

一方、プロの試合などで、優勝を争う2人がいいプレーの応酬でスコアを伸ばし合っているシーンでは、相手のミスを期待している様子は微塵もなく、心の底から互いを讃え合っているように見えることがあります。

2016年全英オープンのミケルソンとステンソンのゴルフは、まさにそんな感じでしたね。

昨年の全英女子オープンで渋野選手の優勝パットを自分のことのように喜んだブハイも、心の天才と呼ぶにふさわしい選手でしょう。


仲間の1mのバーディパットがカップに蹴られたのをほくそ笑んでいるうちは、ゴルフの神様が微笑んでくれる可能性などゼロに違いありません。

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