今週のとんぼ:第310話「止まる球」
年の瀬も近づいて参りましたが、ゴルファーの2020年はまだまだ。
年内あと3ラウンド入っている、なんて方もいらっしゃることでしょう。
一方で、すでにゴルフ納めを終え、年末年始は家でゆっくり過ごされるという方も多いはず。そんなアナタにはこちら!
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さて、それでは今週のとんぼに参りましょう。
16番パー5、確実に3打でバーディチャンスにつけるため、セカンドを残り100Y地点にしっかり刻んだプリンに対し、ティショットでランを稼いだとんぼは、セカンドが残り175Y。
距離的にはらくらく2オンが狙えますが、ピンはマウンドを越えてすぐのところ。イーグルチャンスにつけるには高い球が必要ですが、左足下がりのためかなり困難な状況です。
そこでとんぼが選択したのは、3鉄のローボール。
なんとグリーン手前のマウンドにワンクッションさせ、見事ベタピン……
――と思ったら、それは打つ前の妄想。さすがのとんぼも、あまりに無謀な攻め方だと思い改めます。
ここはナショナルチームの合宿で学んだマネジメントを思い出し、安全にグリーンの広いところを狙うのか。とんぼも成長したな……と思って読み進める、なんと選んだのは5番ウッド。
超オープンに構えて左足下がりをつま先下がりに変換し、フェースを開いてバンカーショットのように打つことで、ハイボールを実現。アゲンストを利用し、ピンの根元にピタリと止めてみせます。
ここのところ、とんぼのゴルフにも変化が生じ始めていましたが、ここへきて、やはりとんぼはこうでなくちゃ! という「らしい」ショットを披露してくれました。
そんなとんぼに畏怖を覚えるプリンですが、2打目を打つシーンで、プリンが毎回「イチ」「二ィ」「サン」「シィ」と足踏みしながら打つ理由が語られていました。
私はてっきり、流行りの地面反力を利用するための足踏みかと思っていたのですが、本当の目的は「運動の自動化」にあったようです。
ゴルフで最も難しいことのひとつが、スウィングの再現性。ロボットのように毎回同じスウィングを正確に再現することができれば、ボールはいつも同じように飛ぶはずですが、スウィング中のちょっとした雑念が、それをさせてくれません。
ダフりたくない、引っかけたくない、球を上げたい、芯に当てたい――ちょっとでもそんな思いが頭をよぎると、脳が余計な指令を筋肉に与え、いつもどおりの動きができなくなってしまう。
それをプリンは、「イチ」の足踏みを動きのきっかけとすることで、体の動きではなくリズムのほうに脳の気持ちを引きつける、とでも言いましょうか。体をどう動かすか、ということから脳の目線を背けさせ、その隙にいつもどおりのスウィングを、誰にも邪魔されることなくのびのびと実現する。
最近渋野選手が「チャー・シュー・メーン」のリズムで打っていると語っていたことが話題になりましたが、プリンの足踏みと同じようなことを狙っているのだと思います。
とんぼの技はおいそれと真似できないかもしれませんが、「イチ」「二ィ」「サン」「シィ」や「チャー・シュー・メーン」なら、今すぐにでも取り入れられそう。
今年最後のラウンドで、さっそく試してみたいと思います!
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