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今週のとんぼ:第301話「頼まれごと」

正確無比なショットと卓越したマネジメント力を持つあのつぶらが、パー5でまさかの素ダボ。

ホールアウト後、セカンド地点にいるとんぼに「あと、頼んださー」とチーム戦の勝利を託す――。

これが前回までのお話。

明るく振る舞っているように見えたつぶらですが、内心は自分自身に対してはらわたが煮えくり返るほどの思いだったに違いありません。

とんぼもそれをわかっているからこそ、つぶらに責任を負わせまいと、自分がスコアを伸ばして日本に勝利をもたらすんだという強い気持ちで次打に臨んでいきます。

ライバルであり親友である2人の強い絆を改めて感じた瞬間でした。

さて、そんなとんぼが奇しくもつぶらが入ったのと同じバンカーからセカンドショットを放っていくわけですが、選んだクラブがつぶらからもらった5Wというのもニクイ演出。

グリーン方向へ真っすぐ打つとバンカーの縁を越えられないため、縁が遠い左サイドからスライスで狙うことを選択したとんぼですが、残りはまだ220ヤード超。フォローとはいえ、5Wのスライスでは到底届かない距離です。

そこでとんぼが選択したのが、飛ぶスライス。いわゆるパワーフェード。

フェースを開くのではなく、スタンスなりにフェースを左に向け、ロフトを立てるようにして構えます。

これは151話(単行本17巻)で、スランプに陥っていたとんぼが自分のゴルフを取り戻すきっかけとなった1打と同じショット。

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スライスというと、「フェースを開く」と考えがちですが、ただフェースを開いただけでは、ボールは右に飛んでしまいます。

左に打ち出して右に戻ってくる球を打つには、フェースは左を向いていなければなりません。

それは
球の打ち出し方向フェース向きによって決まり
球の曲がりフェース向きに対するヘッド軌道によって決まる
から。

フェースの向きに対してアウトサイドインに振ればスライス、フェースの向きに対してインサイドアウトに振ればフックとなります。

つまり、左に打ち出して右に曲げるには、フェースを左に向けて、そのフェース向きよりもさらにアウトサイドインに振り抜いていく必要があるのです。

たとえば、今日はスライスばかりだから……と左を向いて打ったのに、余計に右に曲がってOBという経験はないでしょうか。私はあります。

これは、インパクトでフェースが右を向いていたから。

体が左を向くことでアウトサイドイン軌道がさらに強くなるうえに、フェースが右を向いていたら曲がり幅が増幅するだけ。

左に打ち出したいなら、まずはフェースを左に向けなければいけないのです。

以前、幸運にも藤田寛之プロとラウンドさせていただく機会があったのですが、藤田プロはアドレスでフェースをかなり閉じて構えます。

そのときはわからなかったのですが、151話でとんぼ流パワーフェードの原理を知ったとき、合点がいきました。

つかまった強いフェードを打とうとする意志が、そのアドレスに表れていたのです。

藤田プロの場合は、フェースを閉じた状態から、インパクトでハンドファーストの状態を作ることで、構えたときよりフェースが開いた状態にしています。アドレスではフェースが10度左を向き、インパクトでは1度左を向いているというイメージでしょうか。そして2度ぐらいのアウトサイドイン軌道で振っていくことで、わずかに左に打ち出し、落ち際にすーっと右に戻ってくる上品極まりないフェードになるというわけです。

まあ、フェースを1度閉じて当てるとか、そんな芸当ができたら苦労しないよ! という話ではありますが、「フェードはフェースを閉じる」「ドローはフェースを開く」という原則だけは覚えておいて損はないと思います。

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