「オーイ! とんぼ」聖地探訪②日本最後の秘境〈トカラ列島〉編その1
前回、聖地探訪シリーズとして、26巻の舞台となった、熊本・武蔵塚を紹介した。
しかしとんぼの聖地といえば、やっぱりトカラ。
というわけで、数回にわたり、とんぼの故郷・トカラ列島を紹介していきたいと思う。
ただし取材したのは6年前なので、必ずしも最新の情報ではないことをご承知おきいただきたい。
さて、私が古沢・かわさき両先生とともにトカラを訪れたのは、2014年の7月。
かわさき先生は、6月にも1度、当時漫画雑誌「ボギー」(現在は休刊)の編集長で「とんぼ」の立ち上げに尽力した大川とともに、トカラを訪れていたので、今回が2度目の訪問となった。
鹿児島港からトカラへ向かうフェリーの出航は夜11時。
漆黒の闇の中を進む通称「幽霊船」に揺られること7時間。朝6時に、目的地の中之島に到着。
ここが、とんぼが育った「火之島」のモデルとなった島。
人口約150人、周囲31.8キロ。トカラ列島で最も大きい島である。
中之島を含め、トカラには7つの有人島があり、そのひとつが悪石島。
こちらは、とんぼがクタさんと出会った「悪礫島」のモデルだ。
さて、中之島に降り立つと、まず向かうのが宿。
島を散策するにはクルマを手に入れなければならないが、島内に4カ所ある民宿がレンタカー屋を兼ねているのだ。
宿に着くと、何やら様子がおかしい……。
時間差でやってきた船酔いのせいで、まさかのダウン。
両先生に取材をさせて、私は昼まで宿で夢の中、という大失態を犯してしまったのだ。
この一件のせいで、以降、両先生には末代まで足を向けて寝られない状況と相成った。
そんなわけで、偉そうにトカラを語っているが、実際にはその日の午後の数時間と、翌日10時の出航までの数時間しか記憶になく、しかも島は終日深い霧に包まれていたこともあり、資料写真も不十分。踏んだり蹴ったりの取材となってしまったことをここに告白しておく。
これだけの物語が作れたのは、ひとえにかわさき先生&大川の事前取材と、霧をもろともしない古沢先生の心眼&想像力のおかげにほかならない。
本来ならば
御岳のこーんな姿とか
優雅に草をはむトカラ馬とか
とんぼが歩いていそうな岬とか(すべて撮影:大川)
トカラの雄大な景色が見られるはずだったのだが……
私のカメラに残っていたのはこんな写真ばかり。
この建物の向かいにトカラ馬が放牧された草原が広がっている――らしいのだが、この日はカメラを向ける気にならないほど深い霧に覆われていた。
ちなみに上の建物は、イガイガが住み込みで働いていた十島総合開発センター。台風でとんぼとつぶらが避難したのもここ。
これを読んでトカラに行きたくなる人がいるかは怪しいところだが、次回も引き続き、おぼろげな記憶を頼りにトカラをレポートしていく。(つづく)