今週のとんぼ:第306話「アリvsゾウ」
前回は、とんぼがアプローチでシャフトの真ん中を握って打つという奇策を講じ、パーセーブ。
互いに一歩も引かない日本vsタイの一騎打ち、いよいよ佳境に入ってきました。
さて、今週の「オーイ! とんぼ」は1組目の小梅にクローズアップ。
ホールは16番、526ヤードのパー5です。
トヨタジュニアの舞台、中京ゴルフ倶楽部は女子ゴルフ「中京テレビ・ブリヂストンレディス」の会場になっていることもあり、終盤のホールはテレビ中継で見覚えのある方も多いかもしれません。
とくにこの16番ホールは、昨年、松田鈴英が364ヤードのビッグドライブを放ったことが話題になりました。
作品内でも触れられているとおり、このホールは240Y地点から急激な下り傾斜になっています。そのため240Y以上のキャリーが出せると、斜面で跳ねてとんでもない飛距離が出ることがあります。
ここがティグラウンド。飛ぶ人は、左バンカーの上を狙っていきます。
小梅のセカンドはこのあたりでしょうか。ここから急激に下っていきます。
マニーのボールはおそらくこのあたりで跳ねていったのでしょう。
3打目地点(マニーは2打目)はこのあたり。写真ではピンが右サイドに切られていますが、作中ではバンカーを越えてすぐのところにピンが切られています。
横から見ると、バンカー上のマウンドの影響で、グリーン手前側が高くなっていることが分かるかと思います。マウンドを越えてすぐのピンに付けるのは容易ではありません。
そんなわけで、同じ距離でもより短い番手で、高さで止められるマニーと、長い番手を持たざるを得ない小梅とでは、どうしてもマニーに分があります。
結果、3オンで6歩の距離を残した小梅に対し、マニーは2オンで、わずか2歩のベタピン。小梅がパーでマニーがイーグルだと、一気に逆転されてしまいます。
果たして小梅は1打でパットを沈めることができるのか――気になるところで今週は終わっています。
ところで今回、個人的に気になったのは、このシーン。
ティショットで風が左から来ていたこともあり、ショートカットするには左の林ギリギリを狙う必要があります。
作中では「左を向ききる」と表現されていますが、この「向ききる」というのは意外と難しい。
ティーイングエリアはショートカットしないことを前提としているので、左を向くと、ティ―イングエリアに対して斜めにアドレスすることになります。
すると、いざ構えたときに違和感を覚え、狙った方向に真っすぐ立てているか不安を覚えてしまうもの。
こういうときに有効なのが、このマニーのセットアップの方法です。
なのですが、実はこの方法がルール違反だと、ずっと私は思い込んでいました。
ゴルフを始めたばかりの頃(15年ほど前)に、誰かに違反だと言われた記憶があり、それ以来、封印していたのです。
それが、今回の原作にこのやり方が書かれていたので、違反では?と思い、ルールブックを見ると、このように書かれていました。
「スタンスをとるときの援助となる物を置いてはならない。
プレーヤーは、足や体を位置させることを援助するためにプレーヤーによって、またはプレーヤーのために置かれた物を使用してストロークのためのスタンスをとってはならない(例えば、プレーの線を示すためにクラブを地面に置く)」(規則10.2b(3))
ううむ。ちょっと分かりにくいですね。
マニーのように、自分が持っているドライバーのヘッドをポンと飛球線後方に接地させることは、「クラブを地面に置く」に該当するのか?
判断がつかなかったので、JGA(日本ゴルフ協会)に問い合わせると、あっさり「問題ありません」。
いわく『オフィシャルガイド』をご覧くださいとのこと。
オフィシャルガイドとは、以前あった『裁定集』(ルールに関するQ&Aをまとめたようなもの)を規則書に盛り込んだ、ルールブックの完全版のこと。
たしかにそれを見ると……
「規則10.2b(3)の解釈:
10.2b(3)/1 - プレーヤーがスタンスをとる援助のために球の後ろにク
ラブヘッドを置くことは認められる」
……まさにこれやん。。
わざわざJGAのルール担当に問い合わせるまでもない話でして。なんともお恥ずかしい限り。
ままよ、ゴルフの恥はかき捨て。転んでもタダではなんとやら。
15年間、違反だと思って勝手に封印してきたこのアラインメントの妙技を解禁すれば、1打や2打縮まってくれるのではないかと期待して週末のゴルフに挑んでまいります。
それでは来週の「おーい! 小梅」もお楽しみに!
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