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バイデン政権による不当な炭素規制(ヘリテージ財団の記事)
ヘリテージ財団は2021年6月28日に、バイデン政権が発表した省庁横断グループによる科学支援文書のパブリックコメントに関する記事を発表した。内容としては、温室効果ガス排出規制の根拠となっている「炭素の社会的コスト」の前提条件を批判するものである。今後の環境政策、エネルギー政策の方向性が示されており、日本にも大きな影響があると考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Biden Administration Is Skewing Carbon Numbers to Push Regulations)https://www.heritage.org/environment/commentary/biden-administration-skewing-carbon-numbers-push-regulations
1.本記事の内容について
・6月28日までの期限で、バイデン政権は省庁横断グループによる科学支援文書に関するパブリックコメントを募集した。ヘリテージ財団として、本文書を検証し、以下の通りコメントした。
第一節
炭素の社会的コストの試算に用いられた統合評価モデルは、政策決定の指標にふさわしくないことを2つの根拠に基づいて示した。一つは二酸化炭素の肥沃化効果の非科学的な過小評価、もう一つは人間の適応能力の非合理的な過小評価である。
第二節
省庁横断グループが採用しているモデルは、過去40年間の熱帯対流圏における温暖化を過大評価しており、気候変動の敏感性について誤った前提に立脚していることを示した。省庁横断グループの試算は、第6次IPCCにて採用される見込みとなっているモデルに基づくと、更に現実的ではないものになるだろう。
採用するのであれば、ロシアの数理数学研究所の一般循環モデルを採用するべきである。(本モデルは、1979年以降の熱帯対流圏の温暖化を正確に計算している。)
第三節
2020年の・ケヴィン・ダヤラトナの議会証言に基づき、統合評価モデルがいかに恣意的に操作されうるかを示した。
第四節
割引原価率がどれだけ炭素の社会的コストに影響するのかを示した。7%の割引率を採用すると、省庁横断グループの推計値が大幅に低下する。市場金利よりも低い率(1%から2%)を採用すると、どれだけ化石燃料が安価でも賄えないという結果をもたらすのみである。
第五節
炭素の社会的コストに対する試算期間の影響について示した。省庁横断グループは、2300年までの期間における累積的気候への損失を推計しているが、これは現実的ではなく、22世紀及び23世紀における科学技術を予言することまではできない。長くとも2150年までに限定するべきであり、このことにより炭素の推計値は25%も低減する。
第六節
省庁横断グループは古い気候変動敏感性の確率分布を採用しており、炭素の社会的コストを過大評価していることを指摘した。直近の実証的な確率分布を採用した場合、炭素の社会的コストは劇的に低下する。
第七節
最新の気候変敏感性に基づいてFUNDモデルにより試算した結果、21世紀の中盤には少なくとも大幅な「負の炭素の社会的コスト」、つまり炭素による利益が認められることが判明した。今後30年間において、気候変動の損失よりも、二酸化炭素による肥沃化効果が上回っている。
第八節
二酸化炭素の肥沃化効果について証明した。省庁横断グループの3つの評価のうち2つは、これらの効果を実質ゼロとして計算している。これは90年代の研究に基づいたものであり、このような炭素の利益を無視したモデルを採用するべきではない。
第九節
長期的な人類の適応能力の評価を提示した。顕著な気象現象による死者がここ100年で99%減少していることを鑑み、省庁横断グループは人類の適応能力も評価に組み込むべきである。
第十節
省庁横断グループの5つの排出シナリオにおける基準値のうち、4つについては、気候変動政策が実施されない場合に、石炭燃料時代に逆戻りするとしており、更に2300年まで継続し続けるとしている。より現実的な基準値を用いることにより、この推計値は劇的に減少する。
2.本記事読後の感想
炭素の社会的コストについては、オバマ政権時代から検討されてきたことであり、今後も同じような言説が流布することになる。SDGsなどのような中身のないこういった言葉が拡散すると、科学が風評に負けることになりかねず、非常に危険である。
アメリカは、今回の記事のような反論がそれなりに出てくるが、それに引き換え、日本でこういう議論ができる団体や人々がどれだけいるだろうか。Youtubeを見ても、地球温暖化の懐疑論を唱える人はいるが、炭素の社会的コストを計算したというような情報には出会わない。このような状況では、おそらくマスコミの報道しない自由の前に屈するだろう。
現在、炭素の社会的コスト関係の情報を取りまとめている最中であり、数回にわたってまとまった記事にできればと考えている。微力ではあるが、今後も参考になる情報を提供し続けていくこととしたい。
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