ニューイングランド地区のエネルギー価格高騰について(CFACTの記事)
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2023年6月2日にCFACTは、アメリカのニューイングランド地区のエネルギー価格高騰に関する記事を発表した。内容は、極端な地球温暖化政策の推進により、ニューイングランド地区のエネルギー価格が不当に上昇している現状を指摘するものである。
再生可能エネルギー政策の失敗によりエネルギー価格が高騰するといった現状を何度も取り上げてきているが、エネルギー大国のアメリカであっても政策を誤ればこのような事態に陥るという厳しい現実が良く分かる内容となっている。現実的なエネルギー政策を考えるための参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Surging New England Energy Prices: No Surprise)
https://www.cfact.org/2023/06/02/surging-new-england-energy-prices-no-surprise/
1.本記事の内容について
・昨年度の冬は厳冬でなかったにもかかわらず、ニューイングランド地区(東部6州)のエネルギー支出額は過去最高を記録した。天然ガス不足とクリーンエネルギー政策によりニューイングランド地区のエネルギー価格が高騰し、大規模停電の可能性が高まっている。例えば、マサチューセッツ州の平均的な家庭の電気料金とガス料金は、月1,000ドルを超過した。
・ニューイングランド地区の80%は、暖房に石油とガスを使用している。天然ガスは39%、灯油などの暖房燃料は33%、液化ガスは8%となっており、対して電気は16%、その他4%である。また化石燃料は主たる発電エネルギーであり、天然ガスは43%、原子力は21%、州外からの輸入は17%、水素は6%、再生可能エネルギーは12%、その他は1%である。
・ここ10年、ニューヨーク州は天然ガスパイプラインの新規建造を阻んできた。ペンシルベニア州とニューヨーク州を結ぶ天然ガスのパイプライン計画が停止されたため、ニューイングランド地区は天然ガスを国外から輸入せざるを得なくなっている。
結果としてこの地区エネルギー価格は、アメリカの平均よりも2倍以上となっており、マサチューセッツの市況価格上昇は100万BTU当たり10ドル以上となっており、アメリカ平均の3~4ドルを大幅に上回っている。これは、天然ガスの輸入がパイプラインではなくタンカーが主となっていることなどに起因している。
・ニューイングランド地区の電気価格も、アメリカ国内で最も高水準となっている。2022年、この地区の電気料金はキロワットアワー当たり20セント以上となっており、マサチューセッツ州はハワイ州とカリフォルニア州に次いで3位の水準だった。また大規模停電の危険性も高まっており、天然ガス連合会はバイデン大統領にパイプラインの不足を訴えたほどである。しかし連邦政府の無策により、天然ガス価格を値上げすることで消費を抑制させる対策を提案するまでに追い込まれている。
・このような状況下においても、ニューイングランド地区の州政府は洋上風力発電所の建造やオール電化への移行を推進しようとしている。これらの製作が成功したとしても、電力の安定供給には何ら寄与せず、むしろエネルギー価格が高騰するだけの結果になるだろう。
2.本記事読後の感想
今回の記事は、エネルギー政策の愚策が招く悲劇をよく示したものと言えよう。アメリカはエネルギーが豊富な国であるにも拘らず、無理な地球温暖化政策を推進した結果、アメリカ東海岸の州は塗炭の苦しみを味わっているのである。物理の法則に逆らえないように、非科学的な政策を推進すると手痛いしっぺ返しがあるということである。アメリカは資源大国であることから、政策を転換すればこの苦境を脱することができるが、日本はそうではない。
日本でも6月1日から電気料金が値上げとなったが、ここに至るまでの日本政府の対応は後手後手であり、エネルギー確保のために何ら有効な手立てを打てておらず、国民の負担軽減にも取り組んでいない。
サミットでマスコミが政権に迎合するような報道をしているが、実際の政権運営は全くもって成功ではない。サミットの成功は表層的なものであり、ただ状況が日本に味方しただけに過ぎない。支持率も、野党の敵失や批判できる材料の少なさからもたらされた虚構に過ぎない。最も日本人の愚かさが度を越えているというということも指摘しておかなければなるまい。
もし岸田首相の長男の下らないスキャンダルに怒る気持ちがあるなら、確実な政権運営を求める声を上げるべきである。下らない政局ごっこに踊らされるのではなく、現実的かつ有益な政策を突き付けるよう、国民も成長しなければならない。
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