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連邦通信委員会の中国情報技術規制について(CYBER SCOOP記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2496193

 2022年11月30日にCYBER SCOOPは、連邦通信委員会(FCC)による中国情報通信技術規制の現状に関する記事を発表した。内容は、アメリカにおける中国製品規制の現状を概観し、今後対応するべき問題点を提示するものである。規制が定められたとは雖も、その運用方法によっては規制が無力化されうることから、いかにして実践的な内容とするかの重要性が良く分かる記事となっている。今後日本が採用するべき政策の参考になると考えられることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(FCC faces long road in stripping Chinese tech from US telecom networks)
https://www.cyberscoop.com/fcc-huawei-zte-security-risks/

1.本記事の内容について
 ・連邦通信委員会(FCC)は、11月25日に議会及びバイデン政権が安全保障上の危険性があるとした中国の情報技術製品を売買禁止にする規制を制定した。これは大きな前進ではあるものの、ファーウェイ、ZTE、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファなどの機器はアメリカの通信ネットワークに深く組み込まれており、そのすべてを排除するには長い年月と数十億ドルの予算が必要となる。
 ・一部の専門家は、今回の取り組みは予算が不足しており、情報通信技術の入れ替えに伴う指針を明確に示していないとして批判している。事実、現在販売されている商品は販売禁止とはなっておらず、今回の規制が早期に成果を上げることはないと見込まれている。
 ・FCCの調査によると、少なくとも24,000点の機器がアメリカのネットワークに導入され、8,000か所に点在しているとされていることからも、問題の深刻さがわかるというものである。このような機器を通じて中国共産党に機密情報が漏洩することが懸念されている。
 ・トランプ政権下における規制も十分な成果を上げているとは言えない。FCCの資金援助を受けていない企業は中国製品の調達を禁じられておらず、アメリカ史上から中国製品が排除されない状態となっている。今後新製品は排除されることにはなるが、数十年に及ぶ中国依存を脱却するのはそう容易なことではない。
 ・今回禁止された5社以外の中国企業も台頭してきており、コスト面で西側諸国が対抗できるか否かは不透明である。特に中小企業は財務体質が脆弱であることから、中国製品の導入を余儀なくされている。議会が代替製品への移行のために計上した予算はたった19億ドルであり、FCCが試算した50億ドルには到底及ばない。しかも現在運用されているネットワーク機器を入れ替えるのは容易なことではなく、冗長化などの対応を迫られることになる。このような状況を鑑みると、地方では中国製品を利用し続けることが予見され、地方から情報が漏洩する可能性がある。50万点に及ぶハイクビジョンの装置はアメリカのインターネットに接続され続けており、中国製品排除の困難さが浮き彫りになっている。
 ・2015年から2021年にかけて、1,681の州政府や地方政府などの行政機関は、中国製品を購入し続けている。現在導入されている製品については今後も継続して使用することが可能になっており、連邦政府は既存製品の入れ替え対策に尽力する必要がある。 

2.本記事読後の感想
  今回は規制の困難さを示すために本記事を取り上げた。アメリカでは厳しい規制をしているにもかかわらず、日本は不徹底であると言った一部保守系言論人の主張は、実務についての無知を晒すものでしかない。実際には規制は苦難の連続であり、程度の差はあれ、いかに徹底できるかにかかっている。従って、一部に不具合があったとしても規制そのものの無効性を容易に批判するのではなく、いかにしてより良いものにしていくのかを考えていくことが重要である。
  ただ現在の岸田政権は異常なほど親中的であり、先日の習近平主席との首脳会談で歓迎されていたことを考えても対中政策が不徹底になることは容易に予測できる。高市経済安全保障大臣には期待したいが、岸田内閣と言う座敷牢に閉じ込められていることから、その動きは大幅に制限されているのが現状だろう。政府に期待できない以上は、民間レベルで頑張らなければならない。ただ国民の8割がLineのような粗悪アプリを使っているような状況では、安全保障などおぼつかないだろう。

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